表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/183

水路の悪夢×屍の宴×新たなる者達……4

 色々な思いが混ざりながら、複雑に絡み合った糸が一本に纏まるように夜の闇が光に飲み込まれていく。


 炊き出し後は、数多の魔石(アーティファクト)を使い、巨大な温泉がウォルベアの中心街にある広場に造られる。


 皆が不思議な光景に戸惑う最中、巨大な温泉を二つに割るように建物と建物の間に樹木の仕切りがつけられる。


 そんな巨大な温泉をウォルベアに全部で五つ造るように命令を出したのは、黒猫の団、副団長──風薙 颯彌であった。


 黒猫や四勢力連合から理由を聞かれた際に風薙は笑いながら即答する。


「決まってるだろうが? 皆、疲れて埃まみれで、汗だくじゃんか、全身を洗わないと心まで汚れたままになるだろう」


 誰もがお互いが敵であった事実を気にする中で風薙は皆が上手くいく方向について考え始めていたのだ。 


 完成した温泉と言うには殺風景な造りの巨大風呂に男女が別れて向かっていく。


 シュゲンにより造られた脱衣場から温泉に向かうと、白い湯気と街の建造物が重なり合う不思議な光景が広がっていた。


 洗い場に座り、土埃で汚れた全身を綺麗なお湯で洗い流す住民達は誰もが幸せそうな表情を浮かべていた。


 本心はどうあれ、生きている事実と湯の温もりが心を解き放った瞬間であった。


 湯上がりの着替えに関しては後方支援大隊、総大将のモルガ=グレイヴが必要以上の衣類と食糧をウォルベアに運び込んでおり、住民達は素直にそれを受け取る事となる。


 心境の変化が現れたのは住民だけでなく、女王ライムにも起きていた。


 ウォルベアの住民と触れ合う事で国とは何か、国民とは何かを、考えさせられる結果となっていた。


 戦なき、夜は兵士達の溜まった疲労を解放する結果となり、朝から体を動かす者が目立っていた。


 当然、女王ライムも馴れぬ行動をしたせいで、疲労感を皆に感じさせるように歩き方を必死に工夫しながら姿を現す。


 四勢力連合が朝から昼にかけて、出発の準備を整える。


 ウォルベアを出発する際、四勢力連合の一つ、エルイの郷の戦士と、長であるシュゲンは、一時的にウォルベアに残る事を皆に報告する。


 大きな戦力低下を意味する事態に“ざわめき”が生まれる。


 そんな時、全四勢力連合の前に声が響く。


「騒いでんじゃねぇッ! 静かにしろ!」


 キャトルフの声に皆が静まり返る。


「いいか、今回のエルイの民に対する待機は俺が頼んだモノだ! 住居と防御を可能にする存在は彼等しかいない。長であるシュゲン殿にも了承を貰った!」


 エルイの長であるシュゲンは木々を操り、住居などを作る事が可能であり、更に防衛に関してはウォルベアの周りに巨木を策のように作り展開する事も可能である。


 新国家グレストロに反旗を翻した以上、予想だにしない奇襲が起こる可能性を考慮した結果の判断であった。


 皆は、キャトルフの言葉に従い、気持ちを改め前を向く。


 多くの住居とエルイの民達に見送られ、ウォルベアから、旧リアナ王国、第三の関所である【ラタナ要塞】を目指して進んでいく。


 四勢力連合が新たな動きを見せ始めると同時に、新国家グレストロも同様に大軍勢を動かし始めていた。


 新国家グレストロの国王となった元リアナ王国の大臣は、最終防衛ラインは第二の関所が存在していた【ガドロヌ】であると口にした。


 既に指揮が低下し始めた新国家グレストロの最後の足掻きとも取れる動きに対して、四勢力連合の情報収集部隊はその動きを即座に本隊へと報告に走る。


 四勢力連合を上回る兵力を有する事が可能となった新国家グレストロ上層部は指揮に関わらず、勝利を確信していた。


 しかし、四勢力連合は、その内情を知ると勝利を確信して笑みすら浮かべていたのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ