水路の悪夢×屍の宴×新たなる者達……3
多くの犠牲と血肉が流れた【水の都ウォルベア】での戦闘は終結を迎えた。
獣帝国軍からの被害が多く、傭兵部隊の全滅は黒猫の団員達にも多くの怒りと悲しみを与えた。
死者の中には骸すら残らぬ者すら存在した。
犠牲は覚悟していた、すべての者達が自身の覚悟を胸に千字に赴いたのだから、結果がどうであれ、その事実は揺らぐことはない。
戦場となったウォルベアでは、四勢力連合の被害と同様の被害が住民、聖騎士、聖職者協会から出ていた。
一部の聖職者協会、上層部の暴走と権力を振りかざした結果であり、その代償は長きに渡る聖職者協会の壊滅と水の都ウォルベアの終わりに繋がる結果となったのだ。
四勢力連合は死者を弔う為の時間が取られる事となる。
四勢力連合は聖職者協会の本部に一時的拠点を置く事とした。
「団長、アルガノ獣戦士特攻隊長がお目覚めに成りました。風薙副団長も戻りました」
回復師ゲルダの治療により一命を取り止めたアルガノは、その後、拠点とされた聖職者協会本部に運ばれていた。
風薙は他の団員と四勢力連合の面々と共に情報収集部隊副隊長であるシャナの調べた住民達の場所に部隊を送り、住民の保護を行う事に決め、行動を開始していたのだ。
夕暮れを前に四勢力連合の代表者とウォルベアの新たな代表者が招集されていた。
四勢力連合
旧リアナ王国──女王、四十一代国王。ダンベルム=リアナ=ライム。
獣帝国ガルシャナ──総大将、サンジャラム=ペリグロッソ。
エルイの郷──族長、シュゲン。
黒猫の団──団長、アルベルム=キャトルフ。
水の都ウォルベアからは、神父を新たなウォルベアの代表として、聖職者協会の生き残りし者達の姿があった。
その一人に水の巫女であった水神【コリエンテ】の巫女──エリスト=ミリアも同行していた。
主要メンバーが集まると話し合いが開始される。
最初の議題はウォルベアの立ち位置についてであった。
神父──エルド=バルはリアナ王国、女王ライムの前でウォルベアはリアナ王国に戻る事を誓った。
話し合いは更に自然五精神の巫女に対する後継者の選択を禁止する事となる。
ウォルベアの住民達も新国家グレストロが見捨てた事実を理解し、四勢力連合に協力する事を受け入れた。
話し合いが終わるとキャトルフは四勢力連合とウォルベアの代表達をつれて、外に設けられた臨時の野戦病院と家を失った者達の為に作られた仮設テントのある広場に案内される。
「此処で今日、最後の仕事だ。炊き出しを手伝えよ。先ずは、現実を知ることから始めよう」
そう言うとキャトルフは割烹着をライム女王にも手渡す。
「あ、あの? これは……?」
不思議そうに割烹着を見つめるライム。
「早く来てくれ、俺も早く手伝わないとだからな、ペリグロッソも此れをアルガノに持っていってやってくれ」
戦いが終わり、不安に包まれた住民達に振る舞われた温かい料理は大きく荒んだ心を温めた。
その日、鍋からあがる湯気が夜空を流れ、住民も戦士達も戦闘の終わりを肌に感じたのであった。




