聖職者協会×信徒の祈り×再生の光……3
三者が顔を見合わせる最中、最初に動いたのは、アルガノとスエルであった。
全ての椅子や教壇が流された広い室内が三分割され、アルガノがバトルアックスを手に襲い掛かる。
スエルは長いロッドで攻撃を受け流していく。
「単調ですね……分かりやすくて助かります」
「言うね……でも、受け流すだけだと、勝てないよ」
互いに得物をぶつけ合う両者、アルガノの猛攻をギリギリで受け流していくスエル。
アルガノは自身の攻撃が受け流される状況と、魔石の形状を変える隙が生まれない事実に困惑する。
圧倒的な戦闘能力の差があるにも関わらず、次第にアルガノがスエルのペースにのまれていく。
「随分と辛そうですね? 諦めて貰えれば楽なのですが?」
「誰が! ボクはマスターの為に戦う、死んでも負けを認めない!」
闘志を滾らせるように鋭い眼光で睨み付けるアルガノ。
スエルは呆れるように視線を合わせるとロッドを握る手に力を入れる。
「ハアァッ!」
先方に力強くロッドが突き出される。
ロッドの先端が七色に輝き、鋭い刃となりアルガノを襲う。
アルガノは其れを好機とし、槍状になったロッドを回避するのではなく、片手でロッドを掴み掛かる。
スエルはアルガノの動きを見て、小さく呟く。
「単調……」
アルガノがロッドを掴んだ瞬間、スエルが握る部分以外の箇所、全てから剣山のように鋭い七色の刃が飛び出していく。
「グッ! あは……単調なのは、お互い様……」
血が滴る手をグッと握り直すアルガノ、表情は痛みに耐えていたが、負けを認めるような素振りは一切ない。
「あなた、何を考えてるの!」
「勝つ方法……」
獣人特有の怪力でロッドを一気に自身に引き込み、上に軽く手をあげると下に向けて叩き伏せるように振り下ろす。
「うっ! うわ!」
勢い良く叩きつけられるスエルの声を聞き、アルガノが不敵に笑う。
ロッドからスエルの手が離れるとすべての刃がロッドの内部に戻っていく。
「此れも魔石なんだよね? まあ、いいけど」
血塗れの手で壁に向けてロッドを投げつけるとロッドが壁に突き刺さる。
それはスエルの勝利が難しくなった事を意味していた。
「諦めて欲しい。貴女はマスターの知り合いだから、生きて欲しい」
「馬鹿ね……私の命に価値なんて無いわ……私がこの場にいる理由は……」
会話を始める両者を見た、聖騎士長は風薙との死闘の最中、一瞬の隙を見つけ、懐から銃を取り出す。
異世界人である風薙は即座にそれが銃であると理解する。
銃口の先にはアルガノがおり、風薙は慌てて、狙いを反らさせる。
しかし、“ダンッ!”と言う、無情の重低音が響き渡る。
「アルガノッ! 避けろッ!」
「カヤンッ!」
風薙とキャトルフの叫び声。
アルガノとスエルの会話を切り裂くように、火薬と鉛の臭いが室内に広がる。
アルガノの腹部から、生々しい真っ赤な血が流れ出す。
風薙は双剣を我武者羅に振るう、片方は敵に対する怒りの刃であり、片方は自身に対する罪の刃であった。
「はは、お前達は終わりだ……私の狙いが、獣人だと思うか……あはは」
アルガノの先には額を撃ち抜かれたスエルの姿が存在した。
「な、なんでだよ、話じゃ、お前の娘じゃなかったのか!」
「ああ、私の娘だ……全ては、神の……世界を……あはは」
狂った世界に苛立ちと困惑を感じる風薙の刃により聖騎士長は絶命した。




