聖職者協会×信徒の祈り×再生の光……1
正面から一気に流れを作る黒猫の団に対して、聖騎士達の奮闘も虚しく、正面の市場まで進行を進めていた。
左右で激しい戦闘が起こっている事実を理解しながらもキャトルフは真っ直ぐに中央に構える聖職者協会の本部を目指すように指示を出す。
「いいか! 此れは死んでいった仲間達への弔い合戦だ。これ以上の別れを俺は望まない……全員で勝つぞ、いいなッ!」
「「「オオォーーーッ!」」」
キャトルフの言葉に勢いが更に増す黒猫の団。
そんなキャトルフの背中を軽く叩く風薙の姿があった。
「団長、良かったぜぇ……皆に気合いが入ったしよぅ、ただ、本当に誰も死なない戦いなんて無いわけだしぃ……気を引き締めていかねぇとだよなぁ」
風薙のひねくれた言葉にキャトルフは微かに笑みを作る。
「だからこそ、生きる価値がある、黒猫の団に敗北はない。風薙、先頭を駆ける。着いてきてくれ」
「オレもアルガノも、そのつもりだぜぇ?」
キャトルフ、アルガノ、風薙の三名が筆頭となり、市街地を抜ける。既に聖騎士の大半が戦場で命を落とした状況下で黒猫を止められる存在はない。
右翼、左翼を進軍していた他の三勢力(獣帝国ガルシャナ軍、リアナ王国軍、エルイの民)が中央を間近に合流する。
シュゲンとライム女王が先に黒猫と合流を果たし、戦果と被害を伝える。
戦果として、敵の撃退と【土神】の巫女グヤル=テストの生け捕り(捕虜)に成功した事実をキャトルフに告げたのだ。
そんな最中、気絶していたグヤルが目を覚ます。
「此処は……くそッ! 離しやがれ! 私にこんな事して、絶対に殺してやるからなッ!」
中央を前に集まる異郷の集団を目にして、状況を即座に理解するグヤルが声をあげる。
そんなグヤルに対して、アルガノが近づき、軽く頬を数発、平手打ちする。
“パチンッ”
“パチンッ!”
「何すんのよ!」
“パチンッ!”
「取り敢えず、うるさい……殺すって言うなら、今すぐに首にでも噛みついて食い千切れば……」
その場の空気が凍り付く。
グヤルは黙ったまま、下を向くと口を閉ざした。
キャトルフが軽くアルガノの頭を“ポン”と叩く。
「やりすぎだ。気持ちはわかるが、捕虜への虐待は俺達のルールに反してるから、駄目だ」
「……うん……わかってる、でも、殺すって言うなら、殺される覚悟が無いといけないんだ。覚えとけ、人間……」
睨み付けるように視線を向けるとアルガノは、それ以上グヤルに語りかけようとはしなかった。
しかし、グヤルの精神に追い討ちを掛けるように、獣帝国軍が傭兵団と風の巫女ソル=シシルとの戦闘結果を語る。
黒猫の団も、ペリグロッソ軍の報告に耳を疑い、キャトルフは拳を強く握った。
三傭兵連合、シャノワ=グランドール隊長、以下、傭兵団の全滅が告げられた。
キャトルフは込み上げる涙を我慢できず、一滴の涙が頬を伝い、落下する。
多くの犠牲は怒りとなり、その矛先を教皇へと再度向ける。
黒猫、獣帝国、リアナ王国、エルイの四勢力が聖職者協会へと進行を再開する。




