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傭兵の維持×大地と大樹×神の器……5

 挑発に苛立つグヤルは表情を更に歪めた。


「私より下の存在が……群れて勝てると思うなッ!」


 得物()魔石(アーティファクト)で造り出すグヤル。


「じゃから、さっき言うてやったじゃろ、大将戦……即ちッ! 一対一の死闘じゃとなッ! 」


「ハアァーーーッ!」

「ウリャァーーーッ!」


 互いの剣が触れあった瞬間、シュゲンの重く凄まじい一撃が一気にグヤルの剣を捩じ伏せる。


「ヌガァーーーッ!」


 シュゲンの剣を必死に受け流したグヤル、その剣は止まる事なく、土人形の肩を斜めに切り裂く。


「うわぁ、やりやがったな!」


「躱さず、受け続ければ良かっただけの話じゃ、さぁ! 行くぞッ!」


 地上に降りたシュゲンはそのまま、土人形の両足をあっさりと切断して見せる。


 グヤルも地上に足をつけると、先手を取ろうと速攻で攻撃を仕掛ける。


 力の差があり、剣技においても、その差は明白であった。


 それでも、一歩も引かず立ち向かうグヤルの姿にシュゲンは笑みすら浮かべた。


「馬鹿にしてるのか、私はグヤル=テスト……自然五精神に選ばれた存在なんだッ! なのに、なのに、クソォ!」


「見た目同様に、頭の中も子供じゃな、力を得れば、偉いのか? 選ばれたから特別なのか? そんな他人任せの存在に何の意味があるッ! 心無き力は身を滅ぼす……それが今となった訳じゃがなぁ……ハアァッ!」


「まだだ、私は負けてないッ! ハアァーー!」


 両者が剣をぶつけた瞬間、凄まじい地響きと震動が起こる。


 グヤルは予想だにしない震動に何が起きたか理解できないと言った表情を浮かべる。


「気になるじゃろ、貴様が感情に流され、周囲をみれなんだ事を悔やむがよいッ!」


 震動が収まると同時にシュゲンが突如、グヤルから距離を取る。


 既に肉体の限界を迎えていたグヤルにそんなシュゲンを追う体力は既に有りはしなかった。


 シュゲンは勝利を確信すると不敵に笑みを浮かべる。手を天に掲げ、グッと拳を作る。


「光無き大地は死地になる……草木芽生えぬ大地に意味をなさぬ。光を知り、風を感じよ。草木の薫りをその身に感じるがよい」


 土で出来たドームがヒビ割れ、再度、地面が震動する。


 地面からは土がこぼれ落ち、真下から樹で造られた足場が姿を現し、天井が崩れ塵となり、青空と風が吹き抜ける天高くまで伸びた枝は鳥籠(とりかご)のように絡み合いすべてが通常の世界に戻っていく。


「な、なんなんだ……何で……これは」


「わからぬか? 詰みじゃよ……すべてを終わりにしようじゃないか? のぉ、浅はかなる者よ?」


「シュゲン様ッ! 万歳ッ!」

「シュゲン様ッ!」


 太陽に照らされたシュゲンの姿に歓声が上がる。


 グヤルは苦し紛れに魔石(アーティファクト)を全力で発動する。


 しかし、それは、すべての終わりを意味していた。


「……何も、おきない……」


  絶望を口に出すグヤルにシュゲンはゆっくりと近づき、魔石(アーティファクト)をその手から奪い取る。


「魔力切れじゃ、幾ら膨大な魔力があろうとも、あれだけの土人形を作り出し、空間を作り出したのだから、勝負ありじゃ……力無き者の気持ちを確りと受け入れるがよい」


 絶望に支配された心は、現実から逃げるように駆け出していく。


「はぁ、はぁ、はぁ、くそ、くそ……くそッ!」


 シュゲンはそんなグヤルの背後から掴み、腹に拳を入れ気絶させる。


「間一髪じゃな……気づいていなかったのかは、知らぬが……死に急ぐでない」


 シュゲンとグヤルの先には陸地は無く、天高く聳え立つ樹木の上に立っていたのだった。


 グヤル達が感じた震動は陸地から大樹が天に伸びた為であり、敢えて剣でのみ戦った理由は魔力の温存とグヤルの注意を目の前に向ける為であった。


 すべてはシュゲンの盤上にしかれた策により、終焉を迎えたのである。

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