傭兵の維持×大地と大樹×神の器……3
慌てふためく聖騎士達の正面から進撃するシュゲンとエルイの戦士達は、無慈悲な程に冷静であった。
盾と槍を用いて聖騎士からの反撃を寄せ付けず、シュゲンに至っては指揮を出していた隊長各を即座に見つけ出し、その首を奪う程であった。
見破られないと言う過信が生んだ大敗退であり、エルイ・リアナ王国軍は、犠牲者を出さずして、百人近い聖騎士を屠る事に成功したのだ。
シュゲンは勝利を喜びながらも、余りに手応えが無い事実に違和感を感じずには要られなかった。
そんな最中、シュゲンは戦場の血生臭い香りが薄れると同時に周囲から風や水の匂いが感じ得ない事実に気づかされる。
「これは……やらかしたやも、知れんなぁ……」
シュゲンの呟きにライム女王は首を傾げる。
「何がですか、シュゲン様?」
周囲を気にしつつ、シュゲンはライム女王に対して、今も罠が継続している可能性を示唆した。
「シュゲン様、それって!」
「騒ぐでない、敵の手中なら、尚更じゃ、上に立つならばドンと構えよ」
シュゲンは、真っ直ぐにライム女王の方に表情を向けながら、目で周囲を警戒する。
そんな最中、リアナ王国軍の兵士が異変に気づき、声をあげる。
「何かが変だ! まるでさっきまでと同じだ!」
その声に周囲が“ざわめき”出す。
シュゲンが一番恐れていた事態が起こり出す。
兵士達が周囲を警戒する最中、見えていた景色が次第に土の壁に覆われ、天井からは日の光が消えていく。
「誰か! 炎の魔石を有している者は灯りを! 急ぐのじゃ!」
シュゲンが声をあげるも一瞬の暗闇がすべてを包み込む。
それと同時に不安に包まれる空間、そんな最中に兵士の一人が叫び声をあげる。
「ぎゃあぁーーー!」
慌てて炎の魔石を使う兵士が天井に目掛けて火の玉を打ち上げる。
暗闇に光が戻った瞬間、兵士の一人が血を流しながら、片手を押さえて、倒れ込んでいる。
直ぐに近くにいた兵士が駆け寄り、手当てを開始する。
「おい、誰にやられた! 答えよ!」
シュゲンの言葉に兵士は沈黙している。
「毒でしょうか、意識がないようです」
手当てをしていた兵士がそう告げると直ぐに互いの背後を気を付けるように指示が駆け巡る。
暗闇に光る炎に照らされたエルイ・リアナ王国軍は、完全に敵の手中の中に身を置いている事実に気づかされる。
そんな最中、シュゲンは足元に違和感を感じる。
それは他の兵達も同様であり、泥濘に足を見つけ出し踏み込んだような感覚は更に皆の冷静さを奪っていく。
「いやぁーーうぅ……うぅ!」
突如、響く悲鳴……シュゲンは即座に耳に響いた方向に視線を向ける。
ライム女王が土で出来た人形に押さえられており、口を塞がれている姿が目に入る。
それと同時に、至る所から、兵士達が声をあげる。
「クソォ! 何処から!」
「はあッ! 気を付けろ」
周囲に突如、姿を現す土の人形達。
兵士達が必死に応戦する最中、シュゲンはライム女王の救出に向けて駆け出していく。
最悪な状況での戦闘で次々に兵が倒れる最中、シュゲンの剣が土人形に向けて振り下ろされる。




