傭兵の維持×大地と大樹×神の器……2
右翼側を順調に進んでいたエルイ・リアナ王国、そんな両者が右翼側にある果樹園を通り抜けようとした際にシュゲンが違和感を口にする。
「おかしいのぉ……太陽がピクリとも移動せぬか……雲も同じ形が繰り返し流れては、また流れてくる……やられたかのぉ、兵の進行を止めるのではなく、緩めるぞ」
リアナ王国、四十一代国王──ダンベルム=リアナ=ライムは即座に兵の速度を緩めるように指示をだす。
「どういう事ですか? まさか、この果樹園が罠なんですか……」
ライム女王の言葉にシュゲンは頷いて見せる。
「進行を緩める事で相手が何処まで把握しているか調べられる筈じゃからなぁ」
「わかりました、ですが、シュゲン様……果樹園の終わりが見えないのですが……」
「じゃろうのぉ……つまり、果樹園からの脱出が抜け出す事と繋がっており、相手の目的は足止めといったところか? ほんに、くだらぬ策士がいたものよなぁ」
挑発するようにシュゲンが果樹園の出口が存在していた方角に視線を向ける。
「やはり、まどろっこしいのぉ……正面から突き進むか、滾る相手が居れば、嬉しいのじゃがなぁ?」
シュゲンはそう語りながら、片手を地面に向ける。魔石を発動させると果樹園の木々が盛り上がり、まるで兵隊のように動き出す。
「樹木兵よ! ひたすらに前進じゃ! ゆけいッ!」
果樹園の木々が樹木兵となり、出口のあった方角に走り出す。
シュゲンはそこ動きと、景色を目を見開き、確りと観察する。
「ふむふむ……やはり、策士は甘いのぉ……じゃが、其れ故に活路が見いだせるわ」
緩やかに眼を細め、口元からは笑みが作られる。
そして、姿が見えなくなった樹木兵達がシュゲン達の背後から姿を現す。
シュゲン以外の者達は、驚くがシュゲンはその瞬間、エルイの戦士達に腕をあげると『突撃』を合図する。
悩む事なく、動き出すエルイの戦士達、その動きに合わせるようにリアナ王国軍も後方に続いて動き出す。
説明なく始まる進軍に対して、不安を隠せぬライム女王であったが、シュゲンの表情は不安を吹き飛ばすのに十分な程に自信に満ち溢れていた。
エルイ・リアナ王国軍が樹木兵が一度、姿を消したポイントまで差し掛かると、即座に左回りを開始する。
「此処じゃッ! 槍を前に突き立てよ!」
「「「オオォーーーッ!」」」
柵が作られた道なき道に向けて槍が向けられる。
それと同時に、シュゲンが高く飛び上がり、剣を大きく振りあげ、迷う事なく振り下ろす。
「うぎゃあーー…………」
姿なき標的に対して振り下ろされた剣が赤く染まる。
「当たりじゃな!」
その瞬間、景色が乱れだす。
「今じゃッ! 盾を前に、後方は敵からの反撃に備え、槍を間より突き立てよッ!」
「「「オリャアーーーッ!」」」
掛け声を皮切りに景色が消え去り、真実の景色が姿を現す。
見破れまいと考えていた敵兵が慌てて武器を握る姿にシュゲンは勝利の笑みを浮かべる。




