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戦場の街×聖職者協会×優しい闇……4

 無数の矢の雨が一斉に【ウォルベア】から放たれる。

 そんな頭上からの攻撃を黒猫の団──索敵部隊、隊長のシシリアが巨大な土のドームを作り防ぐ。


 聖騎士団とグレストロ軍が驚きを露にする最中、太陽すら覆い隠すドームの上には、黒猫の団── 情報収集部隊、副隊長ヤハナ=シャナの姿があった。


「矢は持ち主の元に帰れなくて可哀想、だから私が返してあげる」


 シャナはドームを影で包み込むと、影の兵士が姿を現し、影の弓に敵から放たれた矢を構える。


 聖騎士団とグレストロ軍はその瞬間、息を飲む。


「あ、あいつらマジかよ!」

「た、盾を前にッ! 来るぞ!」


 矢に対して、防御の構えを取る聖騎士団側が盾を斜め前に構えた瞬間、ぶれる事なく矢の雨が撃ち返される。


 矢が激しく襲い掛かると同時に正面から四勢力連合が一気に駆け出していく。


 聖騎士団とグレストロ軍は勢いを()がれたまま、強大な四勢力連合の突撃を受ける。


 右翼はエルイ、リアナ王国軍が進み、左翼からは獣帝国ガルシャナ軍が突き進む。


 正面からは黒猫の団が一直線に【ウォルベア】を目指して突撃する。


 更に【ウォルベア】の後方からはリアナ王国の本隊が【ラタナ】要塞から進軍しており、四方向からの進軍は【ウォルベア】を一瞬で包囲する事となる。


 その流れに即座に気づいたグレストロ軍の将軍は、すぐに軍の撤退を決める。

 もとより、グレストロ軍からは軍の一部のみが支援として参戦していたが勝利はないと即座に理解した結果であった。


 前衛に向かわせたグレストロ兵を置き去りに、グレストロ軍の将軍と大部隊が後方から迫るリアナ王国軍の包囲網を突き破り、逃亡する。


 その事実は【ウォルベア】で戦う聖騎士と聖職者協会に凄まじい絶望を与えた。

 士気が失われ、聖騎士団の中にも命を惜しみ、敵前逃亡を開始する者すら現れ出す。


 黒猫の団、団長アルベルム=キャトルフは其れを好機とし、声をあげる。


「敵は崩れたッ! すべてを喰らい尽くせッ! いくぞッ!」


「「「オオォォーーーッ!」」」


 勢いを更に強める黒猫の団に感化され四勢力連合軍が一気に声を高らかに上げ前進する。


 聖騎士団も必死の抵抗を見せる者達がいたが、黒猫の団を前に本当の戦場を知らぬ者達が太刀打ちできる訳もなく、次々にその身を大地に沈めていく。


 獣帝国ガルシャナ側も問答無用の武力を前に左翼を制圧し、第四の関所として侵入を赦さんとしてきた扉を粉砕する。


「左翼門は、我ら、獣帝国軍が制圧したぞッ!」


 ペリグロッソの雄叫びがこだまする。


 その瞬間、右翼側の士気が下がると其れを皮切りに、シュゲンを筆頭にエルイの戦士達が左翼側、聖騎士団の指揮官の首を目指し突撃する。


「指揮官を討ち取る! 皆、抜かるでないぞ、よいな!」


 シュゲンの言葉に武器を構え、頷くエルイの戦士達、褐色の肌に興奮を押さえられぬといった笑みから見える八重歯、聖騎士達からすれば、悪魔のように見えたことだろう。


 しかし、そんな事を考えられたのは、一瞬であった。

 シュゲンの樹液から作られた刃は瑪瑙(メノウ)のように美しく、その鋭さと切れ味は胴体と下半身を軽く切断する程であった。


 シュゲンは悩む事なく敵と認識した存在に対して刃を振るう。


 そんな最中、聖騎士達の前に指揮官と思われる隊長各が姿を現す。


「やめろッ! 俺が相手になってやる!」


 大柄な男が部下の前に立ち、剣を構える。


「主が、この戦場を指揮する存在かのぉ? もし、そうならば、大変に残念じゃ……」


 そう口にするとシュゲンは挑発するように手を動かして見せる。


「なめるなッ! 俺はハンゼ司教様より、剣を習った。今までの兵と一緒に思うな!」


 軽く欠伸を浮かべるシュゲン。


「ふぁ~なんでもよい。妾は退屈なのじゃ、ほんに、キャトルフと行動したいと願うも、叶わぬとは悲しみの極みよなぁ」


 シュゲンの発言と行動に苛立ち、剣を構えた男が見た目からは想像できない凄まじいスピードで先手を取ろうと走り出す。


「うりゃあーーーッ!」


 凄まじい掛け声と共に更に速度を上げた男がシュゲンの間合いに入ると剣を振り下ろす。


「早い!」


 シュゲンがそう呟いた瞬間、凄まじい血飛沫が宙を舞い、それは噴水のように大地を濡らした。

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