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戦場の街×聖職者協会×優しい闇……2

 バルメルム大陸で起きた戦いは、この時点から大きく動き出す。


 両軍が【ウォルベア】を目指し、動き出すと、何も知らず生活指していた住人達は恐怖を感じていた。


 神々の加護と水神の力により、守られていると信じていた【ウォルベア】の民の中にも、市街地のみならず、次々と増えるグレストロ兵達の様子を見て戦場になる事を悟る者が現れていた。


 戦闘に巻き込まれまいと【ウォルベア】から立ち去る者が現れ出していた。


 聖職者協会は次第に目立ち始める流れを止める為、【ウォルベア】に存在するすべての門を閉ざし兵を配備すると出入りに対して聖職者協会の許可証を提示させるようになる。


 当然ながら、許可証の申し込みは出来ても、発行までには、膨大な時間が掛かる。

 その間に強行しようとする住民も現れ出していた。


 聖職者協会──教皇室


「嗚呼、神よ、愚かなる獣とそれに操られし哀れな魂を清め、救いたまえ……我々はあなた様の忠実なる存在、どうか、力を御貸しくださいませ、我々は……我々は」


 五体の女神像とその背後に置かれた巨大な神像に対して祈りを捧げる老人。


 聖職者協会の最高指導者であり、バルメルム大陸に存在する複数の聖職者協会を束ねる人物である。


 異世界から来た迷い人はその昔、ウォルベアにて、助けられた際に大司教の優しさと人柄を“神のような人”だと語った。

 しかし、神に使える存在ですと言葉を返されたと言う、その際、異世界からの迷い人は“神に近い存在”を意味する言葉として、【教皇】と言う言葉を残した。


 教皇は、聖職者協会のトップの証であると同時に力の象徴として用いられる事となり、新たな歴史として【ウォルベア】には教皇歴と呼ばれる時代が始まる。


 教皇歴が始まったのは【教皇】と言う言葉が異世界から持ち込まれた後、120年の歳月が流れた後の事であった。


 しかし、そんな教皇歴に暗雲が立ち込めていた。

 リアナ王国で起こった大臣側からの反乱戦争は【ウォルベア】の立ち位置を確りと示さねばならぬ結果となる。


 どちらにも加担しない中立な立場でなければならない事実と、既に敗北間近の【リアナ王国】、勝利を手にして勢いの冷め遣らぬ【新国家グレストロ】天秤にすら掛ける必要がない程に明らかであった。


 教皇は、【リアナ王国】に対しては、あくまでも“中立”であると送り、【新国家グレストロ】に対しては、『前向きに考える』と言う内容を送っていたのだ。


 しかし、度重なる失態はキャトルフ率いる黒猫のみならず、リアナ王国のアストゥトにまで、その実態を晒す結果に繋がった。


 本来ならば、リアナ王国から攻撃をされれば、大義名分により、多数の隣国が動いたであろう、しかし、現状を見れば、リアナ王国は他の三大勢力と連合を組み、隣国は連合内にある【獣帝国ガルシャナ】の存在を恐れて動けずにいる状態であった。


 祈りを終えた教皇の元に信徒が慌てて報告をする為に走ってくる。


「教皇様、大変でございます。黒猫の旗印、獣帝国の旗印、リアナ王国の旗印と見知らぬ旗印、合わせて四つの旗を掲げた大部隊が近づいていると報告が!」


「く、来ましたか……すぐにいきます。聖騎士団と、団長クラスには警戒体制を、ただし、仕掛けるなと伝えてください」


「はい」


 信徒は慌てて、教皇の言葉を伝えに走る。

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