戦場の街×聖職者協会×優しい闇……1
キャトルフを中心に連合軍となった各勢力が一番に取り組んだ事は身分による上下関係の廃止であった。
数多の国が一つの集団となれば、必ずや諍いが起こるのが世の常である。
話し合いの場において、それを良しとしたのは、エルイと黒猫であった。
逆に反対を口にしたのは、リアナ王国のアストゥトと獣帝国のペリグロッソであり、キャトルフの提案に賛成できない状況になっていると口にしたのである。
両者は、立場を明確にする事で互いの諍いが無くなると言う考えを口にした。
【リアナ王国】と【獣帝国ガルシャナ】には、深く因縁が存在すると語り、両者の意見を危機ながら、悩むようにうつむくライム女王の姿があった。
しかし、キャトルフは、敢えて同席していたリアナ王国女王ライムに対して、意見を求める。
「なら、女王に聞くとしよう。かなり簡単な質問だ。この戦いが終わった後、【リアナ王国】と【獣帝国ガルシャナ】は互いに関わりを絶つのか? 最悪の場合は敵同士に戻るのか?」
「アルベルム=キャトルフッ!」
「キャトルフッ!」
アストゥトとペリグロッソが立ち上がり、声を張り上げる。
「アストゥト! ペリグロッソ様も、感情を押さえてください。私達は四勢力の代表なのです。アルベルム様、私は四勢力の友好を望みます。エルイの皆様と黒猫の皆様の意見にリアナ王国は賛同致します」
「な、ライム女王陛下!」
「アストゥト、立場や地位等は、仲間の前には無意味です。今より、リアナ王国は友の助けを貰い、勝利に向かう時なのです」
アストゥトはキャトルフが領土を要求した事実を口にしようとしたが、ライム女王の言葉を前に、喉まで出かけていた言葉をすべて飲み込んだ。
「畏まりました。ですが、リアナ王国の女王である以上、我々は女王陛下に対しての態度を変える事は御座いません。ご了承頂けますね……」
リアナ王国が賛同したことで、ペリグロッソも同様に、獣帝国ガルシャナの内部は別とし賛同の意思を示した。
エルイの長であるシュゲンは話を聞きながら、“クスクス”と笑う。
「本当に気難しい奴等じゃ、だが、キャトルフは、そんな者達を良く面倒見ておるのぉ」
その後の話し合いは、更にスムーズに進んでいく。
最初の攻撃対象は話し合いの結果、【ウォルベア】に決まる。
新リアナ王国の拠点となっているリアナ王国軍事要塞【ラタナ】の本体へと作戦の詳細を伝える為、リアナ王国特務隊から早馬が駆けていく。
夕暮れと同時に、四勢力が動き出す。
暗くなる大空に身を隠しながら、武装した大部隊は【ウォルベア】を目指していくのであった。
しかし、この四勢力連合軍の存在はその勢力故に目立ち過ぎたのだ。
【ウォルベア】は、リアナ王国の動きを監視しており、四勢力の動きを悟った聖職者協会は警戒を強める事となり、他国に魔の手を伸ばしていた新国家【グレストロ】との協力関係を強くする結果に繋がる。
四勢力が【ウォルベア】へと進行すると同時に【グレストロ】からも大部隊が動き出していた。




