決着の雄叫び×小さき女王×悪意ある宴……4
朝日がフェルドルム大樹海を照らす、生きる意味を知り、多くの仲間の死を受け入れた夜が終わりを迎える。
グリムは死んだ者達の墓に酒を注ぐ、モディカの為に作られた墓石の前に花を手向ける。
「そろそろ、行くっす。モディカ隊長、また来るっす……」
多くの思いがフェルドルム大樹海のエルイの郷に刻まれる。
グリムはその後、情報収集部隊に元【影】のヤハナ=シャナを副隊長として迎え入れる事を告げた。
情報収集部隊からは驚きの声があがる。
本来の情報収集部隊から副隊長が選ばれなかった事実もあるが、信頼関係の存在しない対象を副隊長として見ることが出来ないと言う訴えすら存在した。
「本気ですか、グリム副、いえ、グリム隊長!」
夜の内に、ヤハナ=シャナを副隊長として、迎え入れると情報収集部隊の団員に伝えていた。
そんな最中、一人が声をあげる、グリムは、その問いに真っ直ぐとした視線を向けて返答する。
「情報収集部隊の副隊長の役目を本当に理解しているんすか? 情報収集部隊の副隊長は隊長が間違いを犯した際に隊長を廃除しなくちゃいけないっす……」
「う……」
「自分はそれを受け入れて、モディカ隊長の元で副隊長になったっす……情報収集部隊は黒猫の生命線になる存在っす……」
グリムの発言に情報収集部隊の団員達は分かっていながらも言葉を失った。
「な、なら……新たな副隊長はグリム隊長が間違いを犯したら止めれるんですか!」
「止めるんじゃなく、自分を殺せるだけの力と覚悟があるっす。寧ろ、無理を承知で嫌な役目を頼んだ形っす」
情報収集部隊の副隊長は正式にヤハナ=シャナに決まる。
護衛兼相談役として、カルナ=カルミナが同時に情報収集部隊に配属される。
キャトルフからの配慮であり、能力があれど、幼いヤハナ=シャナへの気づかいであった。
グリム指揮で新たな情報収集部隊は不安を残しながらも副隊長を決め、本来の任務を遂行する為に新たな道を進む覚悟を改める。
蟠りも有りながら、まとまりを見せる情報収集部隊に対してキャトルフが微かな笑みを浮かべる。
そんな最中、数十騎の騎馬と一台の馬車がフェルドルム大樹海へと凄まじい地鳴りと土煙を上げながら進んでいた。
馬車に印されたマークは旧リアナ王国の物であり、護衛の騎馬部隊は武装を確りと整えた騎士達であり、休み無く夜道を駆け続けたのであろう、疲労が馬に明らかに現れていた。
「騎士達を休ませぬで大丈夫なのか、あれでは、騎士と馬が可哀想じゃないか?」
「陛下、問題はありません。少し先で休息の予定となっております」
業務的な返答が返される馬車の中、(旧リアナ王国、特務隊中佐)現女王特務隊グラウド=アストゥトと新リアナ王国女王の姿があった。
リアナ王国、四十一代国王──タンベルム=リアナ=ライムを乗せた馬車はアストゥトと特務隊に護衛されながら、黒猫と獣帝軍のいるフェルドルム大樹海(エルイの郷)へと向かっていくのだった。




