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決着の雄叫び×小さき女王×悪意ある宴……2

 戦士達の雄叫びが鳴り止もうとした瞬間、一筋の閃光が走る。


 叫び声すら出せぬままに、体を震わせ、倒れ込むモディカの姿に全員の時間が停まる。


「モディカッ!」


「た、隊長ッ!」


 キャトルフとグリムが叫ぶと同時に皆が閃光の放たれた方に駆け出していく。


 ボロボロに成りながら、笑みを浮かべる存在をアルガノが確認する。


 ククレア=ネルヴであった。自身の止まっていた心臓を魔石(アーティファクト)の力で再度動かし、自我等の無い状態で無差別に攻撃を開始したのだ。

 その最初の攻撃がモディカの心臓から肺を吹き飛ばしたのだった。


 モディカは一瞬、静電気にでも、触れたのであろう感覚を感じた直後に絶命していた。その顔は笑みすら浮かべ、皆と喜びを分かち合ったままの状態であった。


 誰もが受け入れられない気持ちをいっぱい、いっぱいに押し殺しながら、黒猫の団員達は冷静さを失い、全身から電流を放電するククレア=ネルヴに刃を向ける。


 一瞬で、四名が体から煙を出し絶命する。しかし、其れを合図に弓矢が射ち放たれ、ククレアの全身に矢が突き刺さる。


 痛覚すらなくなっているククレアは、千切れ掛けた腕を前にぶらりと向ける。


 千切れる可能性すら無視して、稲妻を光の弾のように収縮させると無差別に撃ち放っていく。


「……ヴッ、ガ、ラ……ガダ……ロ……ジベッ」


「何言ってるかわからないッ! でも、知りたくない……ボクはお前が憎い、憎いんだッ!」


 言葉にならない言葉を発するククレアに対して、アルガノは涙をいっぱいに流しながら、斬り掛かろうと飛び掛かる。


 アルガノの体はククレアに触れる前に、巨大な力強い腕に掴まれ、反対側に放り投げられる。


「すみません……アルガノ隊長、邪魔っす。そいつは、情報収集部隊の隊長を殺ったんす……ケジメは此方で着けさせて貰うっす!」


 アルガノが振り向いた先に居たのはグリムであった。普段は見せぬ怒りに支配された表情を露にしていた。


 普段ならば、前線を面倒くさがる情報収集部隊の面々が前に出る。


「隊長の為に……なんて口にすると、叱られますが……」


「ええ、私達の隊長は馬鹿です……あんな詰まらない相手に……本当に、馬鹿です……」


 情報収集部隊の面々が口々にワーリス=モディカの死を悔やむ最中、グリムが冷めた視線をククレアに向ける。


「いくっす……って、もう、この喋り方も必要ないんっすね……モディカ隊長。自分達は獲物を其方に送るだけっす……あの世で確りとケジメをつけるっす!」


 自身の足元から魔石(アーティファクト)をククレアの元まで伸ばし展開するグリム。


 魍魎の巣穴と呼べる光景が広がる。


 意識無き、ククレアの全身にしがみつく亡者の群れが放電で吹き飛ばされながら、確実に魔石(アーティファクト)の中に強制的に引きずり込んでいく。


「無駄っす……死者達は痛みなんて感じないっす……そのまま、亡者と仲良くするっす……不要な魂は確りと隊長に切り刻んでもらうっす」


 ククレアは静かに魍魎の巣穴へと引きずり込まれ、姿を消す。


 グリムは最後まで、全てを受け入れられないと言う表情を浮かべたまま、魔石(アーティファクト)の入り口を閉じたのである。

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