決着の雄叫び×小さき女王×悪意ある宴……1
倒れた巨大な亀の甲羅、それと同時にモディカが黒猫とエルイの民に、ロンズーデーライトの刃を使い造られた拷問用の道具を武器として使わせた。
「今回の相手は普通の武器は通じないわ。全力で解体よ。いいわね!」
キャトルフはモディカの用意した武器の中から、細く刃が平べったい剣を直感で選び、手に取る。
モディカは不敵に笑みを浮かべた。
「団長は見る目がありますねぇ、“首切り刀”を選ぶなんて……私の魔石の中で、最も技術がいる道具と言うより……処刑方法の一つなんですよね」
刀に刻まれた模様に吸い込まれるような不思議な感覚を振り切りながら、キャトルフは刀を手にノルテ・トルトゥーガへと歩いて歩いていく。
「団長、忘れ物ですよ……刀は元来、鞘と番です。私の聞いた話だと、鞘無き剣は、死を覚悟し死に行く際の光景とか、鞘はお忘れなく、アルガノが泣くと、うるさいので」
キャトルフは渡された鞘を受け取ると腰に着けていた剣と対になるように括り付ける。
初めて扱う、細い刃、しかし、その刃はずっしりとした存在感があり、キャトルフに試し斬りをするように求めているようであった。
「俺の魔石は、連続で使用できない。無理をすれば、また当面、発動出来なくなるからな、助かるよ」
「団長の魔石は、かなり我が儘よね? ふふ」
モディカの微かな笑い声。
そんな中、アルガノはモディカの用意した“ロンズーデーライト”を自身の魔石に重ね、吸収させる。
「モディカ、感謝する。ボクの知る武器の中で一番の切れ味になった」
アルガノは照れくさそうに呟くと、魔石を両手斧へと変化させる。
キャトルフとアルガノが戦闘に復帰すると黒猫の団員達が一斉に後を追う。
ノルテ・トルトゥーガも危機感を感じてだろう、尻尾を大きく動かし、木々を凪ぎ払う。
まるで突風を作り出すように止めどなく動く尻尾、そんなノルテ・トルトゥーガに対して、キャトルフが鋭い視線を向ける。
無言のままに刀を抜く。
風すら切り裂くような一太刀が尻尾の先端を切り裂く。
その瞬間、尻尾の動きが乱れ、大きな隙が生まれる。
「黒猫ッ! 掛かれッ!」
キャトルフの声は黒猫の団員達を一斉に駆け出させた。
それと同時に、黒猫本隊がキャトルフ達の元に合流する。
予想より早い到着にキャトルフは笑みを浮かべた。
「団長。遅くなった。まだ獲物はいきてるぅ? なんてな、おいおい、随分デカイ奴だな? あはは、ヤバ!」
風薙が笑いながら本隊を率いて姿を現す。
獣帝軍も同様に姿を現すと暴れていたノルテ・トルトゥーガが畏縮する。
それはまさに、一瞬であった。
左右の首がキャトルフとアルガノの刃により、切断される。
激しい血飛沫が雨のように降り注ぐ最中、巨大な頭部が地面にめり込むように落下する。
黒猫、獣帝軍、エルイの三勢力はその瞬間、歓喜に包まれた。
「「「ウオォ───ォオオッ!」」」
本来ならば勝てぬ筈であった相手に対して、勝利を勝ち取った事実は大気を震わせる程の雄叫びとなる。




