光の神×黒神のネルヴ×残酷なる者……6
「全員で、前方二本の足に攻撃! 弓矢を扱える者は当たらなくても構わない、左前方から頭を狙い矢を放て!」
「聞こえたであろう! 妾達も黒猫に続けぃ! エルイの戦士は民の為、民は森の為に! ノルテ・トルトゥーガを封印ではなく、討ち取るのじゃ!」
「「「オオォォ──ォォオオッ!」」」
キャトルフの指示に従い、シュゲンがエルイの民を動かす。
弓矢がエルイの民から、黒猫の団員にも渡されると、木々の上から次々に矢が空に向かい吹き上がる風のように射ち上げられる。
ダメージは与えられないが、キャトルフの狙い通り、ノルテ・トルトゥーガは二つの首を左に向かせる。
その瞬間、キャトルフとアルガノが先頭に立ち、獣戦士達が一斉に前足を強襲する。
剣を通さぬ強固な皮膚に獣人達も斧や鉈を武器にしている者達が勢いよく襲い掛かる。
それと同時に、情報収集部隊副隊長デルモ=グリムが魔石を発動する。
右側、残り三本の足から、真ん中の足を選ぶと死人達を使い、収納スペースに引き込もうと最大まで収納用の入り口を広げる。
「やっぱり、力がスゴいっす。でも、一度吸い込まれたら、死人達は離さないっす。先ずは一本先制って、感じっす」
グリムがノルテ・トルトゥーガの動きを封じると情報収集部隊の隊長であるワーリス=モディカが残り二本の足も含めて攻撃対象とし、攻撃を開始する。
「確りと押さえときなさい、グリム! ダイヤより硬いそうじゃない……でも、素敵な二枚目には敵わないだろうけど……」
黒光りする巨大な刃がギロチンのように三本の足にセットされる。
「さぁ、“ロンズーデーライト”の刃を堪能しなさい!」
刃を通さぬ程の皮膚に向けて巨大過ぎる刃が勢いよく落下する。
「ヴアァァッ──ッアア!」
空気を激しく震動させる程の叫び声、即座に耳を塞ぐと同時に激しい土煙が上がる。
舞い上がる土煙が真っ赤な雨に濡らされ、次第に消え去る。
そこには、片方側、三本の足が完全に切断され、倒れるように傾いたノルテ・トルトゥーガの姿が存在した。
「少し残酷過ぎたかしら? でも、狩る側と狩られる側なんだから、仕方ないわよね? さあ、楽しい拷問を始めましょう!」
ノルテ・トルトゥーガの最悪はワーリス=モディカの存在であった。
世界の誰もが倒せなかった存在に対して、あっさりと処刑の刃を振り下ろす存在であり、本来ならば首を狙えば全てが終わっていた戦いに対して、敢えて片方の足のみを狙い、足掻く様を堪能しようと考えるような人物であった。
ワーリス=モディカの使った【ロンズーデーライト】は隕石などの内部で生まれる世界で二番目に硬い存在である。
しかし、その存在を正確に知らねば、本来は魔石の力を用いても、発動することは出来ない。
本当の意味で、ワーリス=モディカがノルテ・トルトゥーガにとって最悪な相手であった理由は、モディカという女性が何よりも貪欲に知識を欲し、誰よりも賢くあることで、相手を支配したいと考える存在であった事実だ。
戦いは、世界一殺す事が不可能な化物の弱点を見抜いた世界一残酷なサディストの手により、呆気ない勝負の幕切れを迎えようとしていた。




