光の神×黒神のネルヴ×残酷なる者……4
ククレアの腹部に深く捩じ込まれたキャトルフの拳、何の偽りも存在しないその拳が触れた瞬間、ククレアは勝ちを確信し、痛みに耐えながら、最大級の放電を行った。
「体内から焼き焦げろッ! あははッ!」
キャトルフはククレアの言葉に対して、鼻で笑って見せた。
その瞬間、二人の現実と状況が違っていたのだ。
放電した筈のククレアの体内からは電気が消え去り、その事実を理解すると同時に凄まじい激痛が襲い掛かっていた。
「うわぁぁッ! いだい……なんなの、なにをした! うわぁぁ!」
キャトルフは哀れみの眼差しを向けながら、何が起きているかを語った。
「お前のタフさに対して、一定の推測をたてた。単純な話だ。お前の体内から雷を否定したんだ」
痛みで意識が飛ばぬように耐えていたククレアは、唖然とした表情を浮かべる。
「わ、私から電気を奪った……だと、は、はは、なら、今の私は……」
「嗚呼、単なる痛みに苦しむ哀れな女に過ぎない……」
「……ッ、けんな……ハァ、ハァ、ふざけんなッ! 私は神に選ばれて……」
「もう、聞き飽きた……お前達は神なんかじゃない。それが事実だ」
キャトルフの言葉に怒りを爆発させ、消え去る雷を必死に放電しようとするククレア。
そして、キャトルフはククレアに対する雷への否定を解除した。
その瞬間、ククレア本人すら耐えられぬ程の凄まじい放電が天高く上がり、雲を吹き飛ばし、光の柱となる。
その場にいた者達は皆が光の柱を見て、決着が着いた事実を悟った。
真実を知らぬ聖騎士達は、ククレアが裁きを下したと士気を高め、激しく抵抗を見せた。
しかし、聖騎士達がククレアにより、助けられる事はない。
抵抗の結果、前方と後方から挟み撃ちとなり、更にククレアが自らの雷により、身を焦がした事実がキャトルフの口から聖騎士団に語られる。
事実を知り、絶望と無念さを隠しきれない聖騎士団は最後までククレアの敗北を認めず、有りもしない希望に声をあげる。
「ククレア様……何故、来ないのですか……我々は、ずっと、耐えてきたのに、貴女の強さを信じて来たのに……うわあぁぁ!」
聖騎士達が次々に現実を受け入れる最中、キャトルフは黒猫の団に命令を出す。
「この場にいる、聖騎士どもを……すべて駆逐する」
聖騎士達が再度、絶望の表情を浮かべる最中、キャトルフの剣が振り下ろされる。
「ぐあ!」
慌てて、後退りをする聖騎士達。
「我々は降伏する……頼む、命だけは助けてくれ、慈悲を、どうか慈悲を!」
必死の懇願に対してキャトルフは無表情のままに口を開く。
「お前らの神に救いを求めるんだな……俺達は“戦場の死神”黒猫だ……」
「ギャアァァ!」
無慈悲な一撃が聖騎士の頭蓋から胴体を縦に切り裂くと、他の聖騎士達は慌てて駆け出す。
逃げる聖騎士達を次々に葬る黒猫とエルイの民、すべてが終わるまで、時間は掛からなかった。
只一つの誤算は逃げた聖騎士の一人がキャトルフ達が入ってきた洞穴に逃げ込んだ事であった。
洞穴の正体を知らぬ聖騎士は黒猫とエルイの民に殺されるならと……自らを銃で撃ち抜いた。
それは正に最悪の選択であった。
防壁は破損し、その力は発動しない。
凄まじい地響きと共に洞穴の周辺が大きく盛り上がる。
「なんだ、地震か……まさか、新手か?」
「違う、此れは……急ぎ、エルイの戦士を集結させぃ! 最悪の事態になる! いそぐのじゃ!」
キャトルフとシュゲンが慌てる最中、大樹と同等の巨大な二首の亀と言うには余りに邪悪な存在が姿を現す。
「く、やはりか……この場で食い止めねば、バルメルム大陸その物が食い潰される事になる……」
シュゲンの言葉に皆が覚悟を決める。




