神の裁き×怒りの矛先×狂喜……6
一目散に黒雲を追い掛けるキャトルフと団員達。
そんな最中、黒雲は意思が存在するかのようにフェルドルム大樹海の真上に停滞する。
全力で駆けていくキャトルフ達の目の前で四方八方に枝分かれするように黒雲から稲妻が放たれ、激しい爆音と共に亀裂が入っていた防壁が砕け散る。
防壁の一ヶ所が粉砕された直後、全体の防壁が機能を失い、今まで外から隠れていたエルイの大樹が地上に露になる。
黒雲は更に移動すると大樹に向けて、稲妻を撃たんと光輝く稲光をちらつかせる。
そんな黒雲に対して、エルイの郷から、巨大な石が放たれていく。
「ウオォァッリャ!」
「ソウリャアッ!」
黒雲まで届かなくとも、鉄を含んでいる石に雷が反応し、放たれる度に稲妻が石に向けて襲い掛かる。
時間稼ぎだったのだろう。次の瞬間、地上からシュゲンが黒雲を切り裂かんと鋭い刃物のように加工された巨大な樹木の刃が無数に撃ち放たれる。
黒雲が四方に切り裂かれ、更に防ごうとした雷は樹木に塗られた樹液に弾かれ意味をなさない。
次第に黒雲が小さくなると、止めを指さんとシュゲンが最後の一振りを構える。
その時、散々に砕けた黒雲の欠片が地上に向けて落石のように加速しながら地上に降り注いぐ。
シュゲンは即座に黒雲の欠片を回避するようにエルイの民に対して指示を出す。
地上で待ち構えるエルイの民達は武器を手に、落下した黒雲であった物を取り囲む。
次の瞬間、シュゲンとエルイの民達は自身の眼を疑った。
無数に落下した黒雲が地上で重なり一つの塊に成り始めたのだ。
阻止しようとするエルイの民達が刃で黒雲を切り裂こうとするも、黒雲の内部は雷の塊となっており、次々に刃が触れた者から、その場に倒れ込む。
そんな姿を嘲笑うように、空に残された黒雲の中から笑い声が地上に響き渡る。
「あはは! バカばっかり、本当に使えない奴の後始末は疲れるし怠いわぁ……早く終わらせて、ゆっくりしたいのにさぁ」
黒雲が王座のように形を変える。
女王のようにエルイの民を見下ろす女、短いショートの真っ赤な髪、清楚ながらも、全てを飲み込んでしまいそうな黒いドレスを身に纏い、美しい容姿とは裏腹に退屈そうな表情を浮かべている。
「最初から一人で乗り込んでさぁ、殺られて、神より選ばれた力である魔石を奪われるなんて、本当に間抜けな役立たずが居たものだわぁ」
赤髪の女が語っていたのは、シュゲンと戦った炎使いの事であり、その言葉はシュゲンの怒りの炎を燃え上がらせた。
「さっきから聞いていれば、グチグチと耳障りな奴よ。自身の力と、魔石の力を勘違いする愚かな存在に前者の存在を愚弄する資格があるのかのぉ?」
空から地上に向けて鋭い視線が向けらる。
「誰……凄くムカつくんだけどさぁ、私を馬鹿にするとか、理解できないんだけど?」
次の瞬間、赤髪の女は地上に向けて人差し指を振り下ろす。
凄まじい稲光と共に大地を吹き飛ばす程の雷が落下する。
「取り敢えず、消えてよ? 私に意見する奴はいらないんだよねぇ、あはは!」
草木が吹き飛び、土煙が舞い上がる地上から狂ったような笑い声があがる。
「ふふ、ふあははッ! よいぞ、凄くよいぞ! 妾の力を全力で受け止めよッ! 神を語りし愚者よッ!」
細い槍が撃ち放たれ、更に太い槍が撃ち放たる。
そこから更に太い柱のような槍が撃ち放たれ、次第にそれは太く速度を上げて、黒雲へと向けて数十本の槍が撃ち放たれていく。
雷が次から次に槍を焼き払う最中、一本の柱に掴まった状態のシュゲンが黒雲に向けて拳を構えて突撃する。
「さぁッ! 本気の殺し合いと逝こうぞッ!」
黒雲が吹き飛び、その直後、前髪を掴まれた赤髪の女が姿を現すと同時に地上に向けて、引き下ろされる形で叩きつけられる。
「ギャアッ! ガハ……」




