神の裁き×怒りの矛先×狂喜……5
昔を懐かしむように酒を酌み交わす二人の姿に真っ赤な顔で頬を膨らませるアルガノ。
そんなアルガノを見つめながら、軽く手を動かして“此方においで”と合図をするシュゲン。
「な! 行ってやろうじゃないか……マスターはボクの旦那様なんだから……」
敵意を全身から放つアルガノがキャトルフとシュゲンの席に呼ばれ、同時に風薙もその場に呼ばれる。
「主は勢いがあるのぉ、妾を前に立派な態度と誉めてやるわ」
「あ、当たり前! マスターはボクの旦那様! 寧ろベタベタしないで!」
シュゲンはキャトルフを見つめる。
「幼き妻を娶ったのぉ? 当時の妾よりも、小さき乳で子を育てられるのかのぉ……?」
真っ赤になるキャトルフとアルガノの表情を見つめて“ケラケラ”と笑うシュゲン。
その横でアルガノに首を絞められている風薙の姿があり、他の団員や獣帝軍すら声が掛けられない有り様であった。
そんな賑やかな宴が終わりを迎え、一日の休息が終わる。
エルイの郷で、食糧と水を手にしたキャトルフ達は約束を守り、フェルドルム大樹海を後にする。
その際に、シュゲンはキャトルフを含む全員に対して発言する。
「主らの体は毒水を既に恐れなくてよい存在になっておる。主らにエルイの加護があるように願っておる。去らばじゃ」
「感謝します。シュゲン様」
「うむ、次はアルガノとの乳飲み子を連れて遊びに来るがよいぞ。歓迎しよう」
アルガノが真っ赤になる中、笑ってエルイの郷を後にしたのだ。
フェルドルム大樹海を出て、二時間足らずの時が流れる。
キャトルフ達は休憩を移動を開始すると晴天であった空が突如、黒雲に包まれていき、凄まじい雷が大地に襲い掛かる。
地上にいた獣人達が慌てて、声を上げて駆け出す。
「木の下へ、急げ!」
獣帝軍と黒猫の団は雷を回避しながら移動する。
有り得ない程の地鳴りと落雷が放り注ぎながら、次第にフェルドルム大樹海へと移動していく黒雲を見つめるキャトルフ。
「先日の騒動で防壁に亀裂が入ってるってのに、あんなのが防壁に接触したら、大変な事になるじゃないか! くそ!」
「どうすんだ、団長? 今からなら、引き返せるが、この人数が移動したら的にしかならないぜ!」
風薙の言葉にキャトルフは即座に決断を口にする。
ペリグロッソと風薙には目的地である【ウォルベア】にそのまま、獣帝軍と黒猫の団を向かわせ、キャトルフは三十名程の小隊で【フェルドルム大樹海】に向かうと言うものであった。
当然、普通に考えたならば、その提案は受け入れられる物ではなかった。
しかし、キャトルフは考えを変える事はなかった。
黒猫の主力メンバーを引き連れて、フェルドルム大樹海へと急ぎ向かっていったのである。




