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続編の番外編[妖精さんとお孫さん]



ちょっとした小話二つ。







[話さなかった一ヶ月]



「…………。」



家族の目に映っていない、不思議な存在。


母の頭に引っ付いてる、小さな姿が妖精だと知ったのは絵本を読んでもらっていた時。


沢山、沢山読んでもらった絵本に出てくる、小さな身体の、可愛い姿。オマケに雷落とせて、悪者をやっつける妖精も居るのだと。

母と父が笑顔で力説していたのも覚えていて。



クミル君は、可愛くて強い妖精が大好きになっていました。



「…………。」




ずっとねてる。


いつおきるかな。


オヤツたべるかな。


…………おきたら。

いっしょに、あそんでくれるかな?




気になって気になって、無言でじぃっと見つめてしまったクミル君。


気になる物は飽きずにずっと見つめてしまう癖が、クミル君にはありました。



だからある日。

母の頭にくっ付いていた妖精が目覚め。


周囲を見回して、クミル君と視線を合わせて。

満面の笑顔で喜んでくれた事も不思議に思って見つめていました。



母の頭から全く離れない妖精に、しょんぼりしながら無言で見つめていたクミル君。


ずっと見ていたら、抱き上げられた時に妖精が何か言っているのに気付いたクミル君。

両親に抱っこをせがむ様になりました。




「やばいわ〜この赤ちゃんめっちゃ可愛いわぁ〜クルちゃん二号やわ〜!」


「うっうっゔぅ!それにしてもみっちゃん頑張ってんな〜無事に産まれて良かったな〜ホンマに良がったぁ〜!」


「あ!クルちゃんまた人前でスケベなベタベタして!……身内としては恥ずかしいのに!ビリビリするぞごらぁ!!!」


「……なんや、最近クミちゃんとめっちゃ目が合うなぁ。気の所為?……ま、いっか。触れへんけど、気分で撫でとこ。」



そうして母に抱っこされてる時に、撫でる仕草をされるが……触れる感触はやっぱり無くて。


表情のくるくる変わる、賑やかな目の前の妖精をとても好きになっていたクミル君は、一緒に遊べない事にとてもしょんぼりしました。



だからあの日。

父を呼んだら高い高い……母の頭上からの抱っこをしてもらえる。……なら自分が、妖精を撫でてあげられるかも。


その考えになったクミル君は、笑顔で父の足に抱きついたのでした。







[孫の為なら]



「……ばっちゃ、クミルもビリビリ?ビリビリ?」

「あー。アレはなー。悪い子に落とすモンやからなー。クミちゃんは良い子やから大丈夫やで?」


「……ぅー……ビリビリ……。」

「ん?……あいつはな?人攫いって言って、クミちゃんとばっちゃの遊ぶ邪魔……うーん、ちゃうな。……あ、クミちゃんいじめる悪者や!だからビリビリ。ばっちゃ偉いやろ!」


「!おおー!ばっちゃ、えりゃぃ!いいこねー。」

「ふふん!そうやろそうやろ!?」



黒髪は、世間一般の常識として、魔力の高い証とされています。オマケに、身体も丈夫な場合が多い。


なので魔力タンク扱い、もしくは魔法の実験体として狙われたりします。

どんなに危険があっても、欲しいと思う人が居るんです。



例えそれが、血染めの死神の異名を持つ、黒騎士の息子であっても。



女神様の魔法の腕輪装着のおかげで、威力をあげた美智子さんの雷は、どんな防御結界(王子様の結界も貫いた。怯えてた)も突き破ります。


その威力は、まさに雷神の一撃。




ここに、黄色い妖精=最強の護衛が生まれました。




血染めの死神の息子は、雷の神の加護持ち……そんな噂も裏社会に流れ。



そんな裏社会の住人は、クミル君が産まれてから、少しずつ、確実にその数を減らしました。


治安が良くなって、それぞれの町にも喜びの声があがっています。










黒白まだら頭の新米お爺ちゃんが、こっそりしっかり頑張ってると知ってるのは、番いの女神様と、クミル君以外のスティーア家の人達だけでした。









じじばば、まごによわい。


そして、よそのひとにきびしい。


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