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【2025.02.15 書籍発売】追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜【受賞しました  作者: やきいもほくほく
四章

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「マドレーヌは宝玉を聖女の力で浄化するのではなく、穢しているの……!」


「他の聖女たちはどうしているのですか?」


「……っ、もう何もかも手遅れなのよ!」



王妃は限界が訪れたのだろうか。そのまま泣き崩れてしまった。

城の中には重苦しい空気が満ちていた。

フランソワーズは三人の隣を通り過ぎて、宝玉が置かれている場所まで歩き出す。


(まさかこんな風になってしまうなんて。わたくしにどうにかできるのかしら……)


フランソワーズは胸元でギュッと手のひらを握った。

正直、この状況を見て不安で仕方がない。

けれど、どうにかして食い止めようとフランソワーズは宝玉の間へと足を進める。

部屋に近づくたびに凄まじい圧迫感に足が竦む。

けれど前進みつつも取っ手に手をかけるが、扉が開かないことに気づく。

ステファンが不思議そうにフランソワーズに声をかける。



「フランソワーズ、どうした?」


「扉が開かないんです……!」


「……扉が?」



ノアとイザークが扉を押すが、二人がかりでも開かないようだ。

ステファンが取っ手に触れても同じだった。

先ほど王妃が言っていた『入れない』という言葉が頭がよぎる。

どうやら力ずくでも扉は開かないようだ。


(力では扉は開かない……なら、わたくしがやるしかない!)


フランソワーズは扉の取っ手を握りながら目を閉じた。

国全体に影響を及ぼすほどなのだから当たり前だが、その力はステファンたちに憑いていた悪魔よりもずっと強いのだろう。

いつも宝玉を浄化するように力を込めると、パキッと何かが割れる音が聞こえた。

フランソワーズが瞼を開けると同時に扉が開いていく。

ステファンが扉に手を掛けた瞬間、凄まじい風が吹き込んでくる。



「きゃっ……!」



足がもつれそうになるのをステファンが片手で腰を支えてくれた。



「フランソワーズッ……大丈夫か?」


「はい、ありがとうございます!」



ノアとイザークと共に、なんとか部屋の中に入ると暴風がピタリと止んだ。

フランソワーズは顔を上げるとそこには宝玉に手を当てて、泣きながら笑っているマドレーヌの姿があった。

その目は赤く血走っていてガタガタと震えているように見える。

ステファンとは違う模様ではあるが、彼と同じように体中、真っ黒なアザが覆い尽くしている。



「タ……スケ……テェ……ッ」



そう言ったのと同時にマドレーヌの顔までアザが広がった。

彼女の口からは、けたたましい叫び声が聞こえた。

フランソワーズが一歩踏み出した瞬間、再び風に吹き飛ばされそうになる。

ステファンが吹き飛ばされそうになったフランソワーズを再び支えてくれたようだ。

フランソワーズが近づけないように悪魔が必死に抵抗しようとしているのだと思った。


(ステファン殿下の時と同じだわ……!)


それを裏付けるようにマドレーヌが、奇声を上げながらステファンに掴み掛かろうと迫ってくる。

ノアが鞘がついた剣をマドレーヌへと突きつけるが、マドレーヌは凄まじい力で鞘に噛みついた。

マドレーヌの体をイザークが抑える。

そのまま噛み砕くつもりなのか、ミシミシと鞘が軋む音が聞こえた。



「ここは私たちに任せてステファン殿下はフランソワーズ様をっ!」


「わかった! フランソワーズ、行こう」


「はい!」



呼吸ができないほどの強風がステファンとフランソワーズを襲う。

ステファンに支えられながらフランソワーズは宝玉へと進んでいく。

あまりの息苦しさに呼吸が浅くなる。

ステファンも苦しいのだろう。表情が険しくなっていく。



「フランソワーズ、どうすればいい?」


「せめて宝玉の近くに行けたらっ……!」



フランソワーズの言葉に頷いたステファンは剣を抜いてから、床に突き刺してフランソワーズを宝玉の元へ運んでいく。


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[一言] 62話と63話が同じ内容でダブっています。
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