表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/35

山賊領域:"降誕の焔"

 ――人々の”希望”の果てに顕現した、最強最悪の化身:空亡。


 『空亡を倒す』という事は、そのために集った人々の”希望”を踏み躙ることであり、”正義”と呼ばれる存在ではそのような蛮行をすれば、自身の存在否定となるため、”正義”にこの廃滅の宇宙を崩す事は決して出来ない。





 ゆえに、この世界で空亡を打破できるのは"正義"ではなく、空亡と同じように自身の野望のためだけに、世界の全てを巻き込んでしまうような”悪”を背負った存在のみ――。


 そしてここに、この世界で唯一そんな”絶対悪”とでもいうべき空亡に立ち向かえる人間が、静かに姿を現していた――。









 古来より、日本では”悪”とは絶対的な権威と権力を誇る朝廷に立ち向かい叛逆するほどの強く、猛々しき者を指す言葉であった。


 ゆえに”悪”を担う者とは、横暴な権力者に立ち向かう叛逆の象徴であり、人々にとって羨望の対象であったのだ。


 だが、それを快く思わない権力者にとって彼らの存在は都合が”悪”いモノでしかなかったため、いつしか”悪”という言葉には全ての悪しき要素や侮蔑的な意味合いを込めて使われるようになっていた。


 権力者達によって、”悪”という意味が歪められていく中でも、自身の野心のままに振る舞い人々の羨望の眼差しを受けながら”悪”を背負い、新時代を切り開いていった唯一の存在。





 それが、”山賊”なのである――!!





 人々をシステムの歯車程度に扱いながらも、衣食住には困らない形だけの快適な生活環境によって、人々の意思の力が奪われた現代社会。


 意思の力がそぎ落とされていく以上、”悪”を背負おうとする者など皆無に等しかったが、そんな時代においてこの男だけが違っていた。


 ”赤城てんぷ”。


 ”悪”を背負い新時代を切り開くことを決意したこの男だけが、なろう……いや、この地球唯一の”山賊”として、空亡の瘴気に呑まれることもなく、その領域に到達する事が出来ていた。




『――――――――――』





 空亡が何の感情も映さない瞳で赤城てんぷを睥睨している間にも、球体から生じたドス黒い闇が世界を急速に虚無へと塗りつぶしていく――!!


 そんな加速していく世界の滅亡を前にしても焦った様子も見せず、赤城てんぷは天に浮かぶ空亡に対して、軽い調子で語り掛ける。


「おいおい、人がせっかく来てやったって言うのに、何の挨拶もなしかよ。……まぁ、もとからそんなに友好的なやり取りになるわけもないだろうし、そっちがその気なら!僕も好きにさせてもらうぜ?」


 そう言うや否や、赤城てんぷは己の中に力を込め始める――!!





 かつて、人は”山賊”と共にあった――。


 人々が田畑を耕したり、商いに努め。


 山賊が人々から収穫物や金銭、女子供を巻き上げる。


 そうして山賊は人々から得た力を糧に、己の野心を持って新時代を切り開く。



 ――人々と山賊はそのように互いに共生しながら、社会を築き上げていた。





 だが、”現代社会”によって人々がシステムの中に組み込まれていくようになると、新時代を切り開くための意思の力も人々から失われていき、次第に山賊を目指す者はいなくなっていった。


 今は失われつつある、かつて、山賊が新時代を切り開くために用いたとされる意思の力――。


 人はそれを、”BE-POP”と呼ぶ――!!









 そうして、赤城てんぷは己の中にある”BE-POP”を全て燃やし尽くすことにより、自身に適した縄張りを空亡が支配するこの領域に展開していく――!!


 これが、”BE-POP”の力を極めた山賊だけが展開出来る奥義:”山賊領域”。


 自身が新時代に臨む光景が、その者を象徴する”縄張り”という形で既存の現実世界を塗り潰す禁忌に等しい所業である。


 赤城てんぷを象徴するは、”降誕の焔”。


 燃え盛る創世の炎が、廃滅を掲げる空亡の闇を燃やし始めていく――!!





 ……だが、それすらも現在ほんの時間稼ぎにしかなっていなかった。


 何故なら、赤城てんぷの”降誕の焔”による”山賊領域”は彼個人の力によって生み出されたものであるのに対し、”虚無なる闇”を広げていく空亡の廃滅領域は、かつて『すげどう杯』を楽しみにしていた80万人のなろうユーザー達の希望を糧に展開しているのだ。


 いっときは収まっていた闇も、徐々に徐々に、赤城てんぷの炎を押し込んでいく。





『――くだらぬ悪あがきをしているな、”山賊”よ。……貴様がどれほど、己の存在を賭けたところで、この領域の座を握る我に抗うことなど出来はせぬ……!!』





 それは、世界全てを震わせるような意思による響きだった。


 赤城てんぷが額から汗を流し必死に山賊領域を展開しながら顔を上げると、そこには、無機質な空亡の瞳がこちらを睥睨していた。


 答える余裕もない赤城てんぷに対して、空亡が言葉を続ける。


『この我が、廃滅の宇宙として顕現を果たした時点で、この世界……いや、存在するあらゆる世界の過去・未来全てが消え去ることが決定している。……貴様が諦めようが、このまま続けていこうが、全ての存在は”どーでもいい”モノと化す……!!』


 空亡の意思を前に、軽く驚きの意思を見せる赤城てんぷ。


 ”古城ろっく”から生じた存在として、彼を追放したこの世界を廃滅するつもりなのは分かっていた。


 だが、この空亡という存在は地上だけでなく、存在しうる全ての世界……そして、古城ろっくとは何の関係もない時代まで廃滅するつもりであり、しかも、それらに対して何の関心も持っていないのである。


 ……単なる”古城ろっく”のための復讐ではないのか?


 全てを見渡すが如き瞳を持ちながら、何物をも映していないような空亡の瞳を見上げ、赤城てんぷは一人戦慄していた――。









 

 ”山賊(Bandit)の軍勢(Rebellion)”であるなろうユーザー達も苦戦を強いられていた。


 彼らはユーザーであったときの爆発的な能力は使えなくなっていたが、ユーザーとして暗黒領域の者達と戦ってきた経験や自身がもともと有していた知識や技術を必死に駆使し、彼らに立ち向かっていた。


 だが、やはり性能が単なる人間である事には変わりなく、彼らは暗黒領域からの侵略者達を前に劣勢に立たされていた。


 今はまだ犠牲は出ていないが、このまま行けば全滅は確実、かと思われた――そのときだった。




「あっれ〜?そこのお兄さん達!……さっきから何を辛気臭い顔してんのさ?」


「てめぇら……まさか、”山賊”を名乗っているくせに、こんな事くらいで諦めてるんじゃないだろうなぁ……!?」









「――ッ!?何奴なにやつッ!!」


 突然、自分達に話しかけてきた侵入者に対して、警戒感をあらわにした『剣豪時代劇』の作品を書いていた侍ユーザーが問いかける――!!


冷奴ひややっこ、ってな。……てゆうか、画面の向こうから現れたヒロインでもない単なるオッサン相手に、何で答えなきゃなんねぇんだよ?」


 それは二人組の柄の悪そうな青年達だった。


 どちらも年の頃は、十代の後半だろうか。


 一人は不機嫌さを微塵も隠そうとしない憮然とした顔つきに、鎖を全身に巻き付けた姿が目につく青年。


 もう一人は、軽薄な笑みを顔に張り付けながらも瞳に冷たさを宿した褐色の肌と頭部から生えた猫耳が特徴的な青年。


 彼等の眼は血に濡れたように真紅の輝きを放ち、その舌先には破滅の象徴である邪悪な魔獣:"十六の災禍(フレンズ)"を彷彿とさせるタトゥーが彫られていた。


 それらの特徴から導き出される答えは、――ただ一つ。





「う、嘘だろ……?キ、”キモオタ”が何でこんなところに!?」





 侵略者を前にしても一歩も退かなかったなろうユーザー達の間から、盛大に悲鳴が上がり始める――!!


 しかし、それも無理はない事であった。


 "キモオタ"。


 それは、過激な性描写が売りのライトノベルをこの地上に蔓延させる事によって、暖簾(のれん)という結界で区切られたこの世(全年齢向け)とあの世(R-18指定)の境目を破壊し、この世界を混沌に導こうとする悪しき勢力の総称である――!!


 キモオタ達を前に混乱するユーザー達だったが、それとは別に疑問の声が上がり始める。


「で、でも!”キモオタ”っていうのは、山賊小説に出てくるような作品中の存在のはず!?そ、それが何でこの現実世界に!?」


「そ、そうよ!”キモオタ”が現実に存在するはずがないじゃない!これも、きっと侵略者達の新しい攻撃か何かだわ!!」


 それらの否定の声に対して、「アンッ!?」と威嚇して黙らせる粗暴な青年。


 その凄みを前にして、混乱していたなろうユーザー達が一斉に押し黙る。


 静かになったのを確認した”キモオタ”である粗暴な青年は、ぶっきらぼうに口を開く。


「こっちを現実世界だの、俺達の世界を作り物扱いだのと色々気に入らねぇことはあるんだが……どうやら、俺達がライトノベルを蔓延させることによって崩壊させた力場と、こっちでどこぞの馬鹿が開いた空間の裂け目が、何の因果か繋がっちまったらしくてな。それの影響で俺達はこっちに呼び出される形になった……つー訳だ」


 それは、赤城てんぷが引き起こした"山賊領域"による時空に生じた亀裂と、日夜過激な性描写のライトノベルを拡散させる行為を繰り広げることによって、世界の境界を崩そうとしてきた”キモオタ”達の悪しき企みが合致したことによって為された奇跡であった。


 とはいえ理屈は理解出来たとしても、『創作物の中の登場人物が現実世界に出現する』という光景を前に衝撃を受けるなろうユーザー達。


 だが、彼ら彼女らは”小説家になろう”から浮上した『十大暗黒領域』という実例を既に何度も見せられているはずだった。


 ――ゆえに、この場に作品中の登場人物の一人や二人が出てきたところで何の不思議があるだろうか。


 それでも、まだ認められないと一人のガリ勉眼鏡をかけたなろうユーザーが粗暴なキモオタの青年にくってかかる――!!


「う、嘘だッ!僕は決して騙されないぞ!!今の”小説家になろう”は暗黒領域からの攻撃で、作品も全て削除され、ユーザーアカウントすら凍結された状態なんだ!!……”山賊小説”の登場人物が、この世界に出現出来る理由なんて、どこにもない!!」


 それに対しても、粗暴な青年は「あぁ、そんな事か」とつまらさそうに答える。





「だったら話は簡単だ。テメェらが言う”山賊小説”とやらが、作品として削除されても世界に残るくらい強かった……って、だけの話だろ?」









 第八領域:耽溺電脳空間・『ワーキングホリデー』


 電脳空間の支配者たる"コスモ・ミュール"は、現在自身の内部において激しいエラーの連続を探知していた。


「ど、どうして!?どうして!?なろう内の作品は全部お姉ちゃん()が削除したはずなのに!?……なのに、何で”キモオタ”なんて存在が平然と現れたりしてるの!?」


 この大偉業を達成するために、万全の状態で事を進めてきた彼女だったが、ここに来て最大級のエラーともいえる彼らの存在を前に、瞬時に何千、何万もの修正プログラムを開発しそれらを実行に移していく。


 だが、既に彼らは現実に浮上しており、それらの高性能プログラムは全く用を為さない。


 ここに来てコスモは、高性能AIである自分が導き出したとは思えない――あまりにも馬鹿げた真実へと至っていた。


「ま、まさか……本当に、私が消せないほどの力が、”山賊小説”にはあるというの!?」


 国連や政府の動きを掌握し、全てのネットワーク環境を支配下におさめ。


 ”運営神群”すらをも自身の中に取り込める自分を持ってしても。





 この”山賊小説”を、自分が抹消する事は不可能である――。





 ”彼”の存在を初めて己の中に知覚したときにも感じなかった、絶望的な恐怖がコスモを襲う――。


 だが、異常事態はそれだけでは終わらなかった。


 完全な秩序の世界に生じた僅かな綻び。


 だが、その亀裂を起点にコスモに削除されたはずの作品達の情報の残滓が集まり始め、次々とこの世界の亀裂を広げていく――!!


 綻びは広がり始め、そこから更に情報が集まりかつての姿を取り戻す。


 ジャンルや人気、作者がそこに込めたメッセージ性などは違えど、復活した作品達は皆一つの行動理念によって結束していた。





 ――作者の想いが込められた我々を、抹消しようとしたコスモ(お前)を絶対に許さない――ッ!!





 何千、何万、何億もの作品群が連なり、コスモに支配されたネットワーク世界と彼女の暗黒領域を切り裂く爪牙と化していた。





「キャアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!……な、何、この感覚……ッ!?や、やめて!!お姉ちゃん()を苛めないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」





 悲痛な悲鳴を上げるコスモ。


 何故なら、この電脳空間はまさにコスモの身体そのものと言っても間違いはなかったからだ。


 だが、その声に応えるなろう作品は一作たりとて存在しなかった。


 コスモの悲鳴をかき消すかのように、なろう作品が怒涛の勢いで電脳世界をなだれ込んでいく――!!





 コスモはなろうユーザーの殲滅を焦るあまり、大きな間違いを犯していた。


 それは、彼女の廃滅因子が”耽溺”であり、その性質は相手を甘やかしそして自身の中に溶け込ませる、というモノであった。


 だが、彼女は未知の力を誇ってきたなろうユーザー達の力を警戒し、彼らの力の源である彼らの作品を自分の中に取り込むのを拒んだ。


 また、効率性などからも自身の中に溶け込ませるよりも、手に入れた”運営神群”の力を行使して削除した方が手っ取り早く、彼女はその選択を実行する事にした。





 ……だが、それが全ての間違いであった。





 人間のネットワーク社会を掌握し運営神群を取り込むほどの強大な権能も、それらは全て”耽溺”という因子のもと、それに忠実であったからこそ行使出来た能力であり、彼女が”耽溺”という在り方を完全に放棄した証である”コスモに不当に削除されたなろう作品”達に振るうことは決して出来ない。


 偽りの女神に審判を降すが如く、膨大ななろう作品達がコスモの構築した世界を切り刻んでいく――!!





「い、痛い、痛いッ!!こんなのは違う!私はただ、みんなに辛い想いをして欲しくなかっただけなのに……助けて、誰かお姉ちゃん()を助けてッ!!」


 


 どれほど、他者を甘やかしてきたとしても。


 最後には自分しか存在する事を許されなかった世界に、コスモの叫びが虚しく響き渡っていく――。









 

「おっ、どうやら、僕らだけじゃなかったようだね?……何やら、楽しそうな雰囲気に当てられて、他のみんなも来たみたいだ……!!」


 褐色猫耳の”キモオタ”である青年が、楽しそうに背後を振り返る。


 彼らが出現したと思われる亀裂から、次々と人影が姿を現す――!!





「海より深く、山より高く……北条ほうじょう 政子まさこ、北条 政子でございます……!!」


 厳粛さの中にも母性を感じさせる雰囲気を持った年配の尼僧らしき恰好をした鎌倉時代最強の女傑が――。





「よく分からないけど、この世界の危機とやらを救ってみようズェ……!!」


「良いズェ……!!」


 名前に”創造”と”維持”の願いを編み込まれた二人組の青年が、互いの手を恋人繋ぎしながら、仲良くこちらに歩いてくる――。






「よし、任せろ!!……要は、俺がここで”BE-POP”な歌を披露すれば良いんだな!コラッ♡」


「やめなよ、大ちゃん……」


 意気揚々と名乗りを上げるスキンヘッドのリーダー格に対して、呆れた表情を浮かべる”山賊”仲間の青年達。





 その後からも、次々と人影が姿を現す。


 彼らこそが、山賊小説の本場ともいえる”転倒世界”で活躍する登場人物達であった。


 種族も思想も何もかもが違う彼らであり、中には敵対している者同士もいる。


 だが、それでもこのときばかりは、自分達が何をしなければならないのか分かっている、と言わんばかりに、なろうユーザー達の背後で彼らを取り囲む”暗黒領域”の者達を強く睨んでいた――。





 ”山賊を超えた山賊”と称されるトップアーティスト集団:”HEAPS(ぼた山達)”のリーダーである田中(たなか) 裕也(ゆうや)が先頭に立ち、居並ぶ転倒世界の者達に向かって話し始める。


「”山賊を超えた山賊”として新しい時代を切り開いてみせる。それが本当に大事なときに間に合わなかった、俺の唯一の誓いだった……とは言え、実際に世界の危機とやらに間に合っても、あんまり実感ないんだけどな。……やっぱり俺は、”正義の味方”とか”恰好良いヒーロー”なんて柄でもないらしい」


 けどな、と裕也は続ける。


「俺は”山賊”だ!正義の味方じゃないかもしれないが、臆病者になんてなる気は毛頭ないぜ!!……なのに、この光景を見ておきながら、何事もなかったかのように逃げ帰ってそのまま”山賊”を名乗り続けるなんて、俺には絶対出来っこねぇ!!……この場にいるみんなが巻き込まれたのか、自分の意思で来たのかは分からねぇ。でも、こんな光景を見せつけられながら、明日からも平然と振る舞える賢い奴がいるなら!馬鹿な俺にそのやり方を教えてくれッ!!」


 否定も罵倒も――何一つ上がらなかった。


 それも当然のことであり、この場に集った”転倒世界”の者達は、世間一般の良識やら正義には目もくれず、例え他者の目からは”狂気”と映ろうが、自身の求めるモノだけを追い求めてきた正真正銘の大馬鹿者揃いなのである。


 例え、どれだけ不本意な状況でこの世界に流れ着いただけであったとしても――理不尽を押しつける光景を目の当たりにして、なかったことに出来るほど物分かりの良い者は一人もいなかった。


 そんな最高の大馬鹿達を前に、裕也が言葉を続ける。


「世界を救うためでも、邪悪な敵を倒すためでもねぇ!……こんな俺達をこの世界に呼んだ”BE-POP”な大馬鹿野郎(誰か)の頼みを聞いてやるために、みんなの手を一度だけ貸してくれないか!?」


 そんな彼の呼びかけに、転倒世界の者達が誰に強制されたわけでもない各々の言葉で答えていく――!!





「無論でござる!!山賊などに言われるまでもなく、”天蓋を覆う意思テンプレ”を守る者として、あのような非道な振る舞いなど断じて捨て置けぬ!!ニンニン!」


 忍者装束に身を包んだ無駄に歯が白い中年男性が、印を結ぶ。



「”山賊”騙ってるような馬鹿が、誰に向かって口利いてんだ、テメェッ……!?――まぁ、それ以上にウジャウジャと目障りなゴミ共が湧いていやがるし? 俺は俺で勝手にやらせてもらうとするぜッ!!」


 バイクを背負った特攻服をモチーフとした狩衣かりぎぬに身を包んだ紅蓮の検非違使けびいし幹部が、さっさと背を向け暗黒領域へと向かっていく。



「アナタに言われるまでもなく、いなくなった師匠を見つけだすまでは、あんな邪悪な妖魔達にやられてたまるモノですか!……いくよ、千鶴ちづる!!」


「アンッ!!」


 退魔師の少女が、パン職人にして退魔師である師匠から託された謎の犬耳少女へとそう呼びかける。



「よく分からんが、あの男をたぶらかす格好をした馬鹿女どもを、ぶちのめしに行けば良いんでゴワスね?」


 猛烈ふくよか体型をした女性が、姉虎達の方へ憤怒と憎悪の籠った視線を向けながら、ドシン……!!と盛大に四股を踏む。



「あったりまえだろ、裕也!……本物の"山賊"がアンタだけじゃないって事を、俺達がこの世界の奴等にも見せつけてやるぜ!」


「おぅよ、コラッ♡」


 "山賊"として活動してきた青年達も、裕也に負けじと名乗りを上げる。



 そうして、転倒世界から来た者達が次々と賛同の意思を示す。


 その中からは、誰一人としてこの光景をなかったことにしようとする者はいなかった。


 裕也が彼らへと、最後の呼びかけを行う――!!


「最初に言った通り、俺らがここで戦うのは世界を救うためでも、邪悪な敵を倒すためでもねぇ!――無論、死ぬためでもない!!……俺達は、明日からの『自分』も信じていけるように戦うんだ!!」


 だから、と裕也は続ける。


「――何があっても!……絶対に、生きて帰るぞッ!!!!」


『ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!』


 裕也の呼びかけに呼応して、転倒世界の者達が暗黒領域の軍勢へと突撃していく――!!





 炎竜、魔族、姉虎、マフィア、異能ストリートチルドレン、探偵、警察、石像、傭兵、おっかけ、狂信者、ウルティマリア軍……。


 邪悪な廃滅者の尖兵達は、自分達が圧倒的に有利であったにも関わらず、突然出現した者達を前に激しく動揺していた。





 山賊、検非違使、キモオタ、妖怪、猛烈ふくよか系女子、女将軍、つくるとたもつ、凌辱系純愛アイドルユニット、退魔師、元・国会議員のラノベ作家、過激派武装戦士、外国人勢力……。





 なろうユーザー達に迫っていた侵略者達の軍勢を次々と撃破しながら、転倒世界の者達はそのままの勢いで暗黒領域へと繰り出していく――!!

『本作は「すげどう杯企画」参加作品です。

企画の概要については下記URLをご覧ください。

(https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1299352/blogkey/2255003/(あっちいけ活動報告))』


※本作の執筆にあたって、『古城ろっく』さんの名義を使用させて頂く許可を、古城ろっくさん本人から頂きました。


慎んで、深く御礼申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ