寝耳に水
最終章になると思います。この章で色々とまとめて行けたらと思います。
ベヨシュタット再建には、多大な時間がかかった。
『――議会の方は、上手く機能しているのか?』
「ああ。貴族院の力が弱まったおかげで、前よりも民の意見を反映できる政策がどんどんうてる。快適な政治だ」
首都ベヨシュタットの城の一室にて、俺と剣王は他愛もない話を続けている。
『ほう、政治は快適な方がいいのか』
「そういうな、朋よ。方便だ」
あれから一ヶ月。ベヨシュタットはより強固な国へと生まれ変わった。そして俺とこの国との信頼も強くなった。
「全て、お前のおかげだ」
『……いえ、俺だけでは無理でした』
俺は一人でここに立っているつもりはない。ギルドの仲間、それに行く先々で力を貸してくれた仲間のおかげでここに立っている。
「少し疲れただろう。しばらく休むと良い」
『そうさせてもらうとしよう』
流石にこの一ヶ月間の間、国の立ち直しに尽くしてきたために疲れたところもあるにはある。言われるままに、少し余暇を貰うとしよう。
『では、失礼する』
そう言って俺は部屋を後にし、部屋を出て行った。
「……あっ! そういえば――って、もういなくなっている。一つ言い忘れた事があったんだがあるんだが……まあいい。ギルドの方によるのなら、シロの口から言い渡されるだろう」
◆◆◆
久々に空席が埋まる。もちろん、俺の席だ。
《殲滅し引き裂く剱》は、ようやく通常通りの営業体制に戻るワケだ。
「ったく、あんたがいない間こっちは大変だったんだから」
帰って早々にキリエからいろいろと愚痴を聞かされる。これも久々だ。
イスカも随分と心配してくれていたようで、国を見回るついでに随分と俺のことについて聞きまわっていたらしい。そのせいであのクズ共からは俺とシロの次に標的にされていたとか。
まあ、潰した輩の事などどうでもいいか。
「あらあらぁ、随分と憑き物が落ちたみたいな表情をしているわねぇ」
『……お前はあの刀を知っているから、気づいて同然か』
「まぁねぇー。でも、今の方がいいかもしれないわぁ」
『どういう意味だ?』
「そのままの意味よぉ」
ベスは相変わらず意味深な笑みを浮かべてこちらを見つめているが、シロさんから聞いたよりも随分と機嫌は良いみたいだ。
なんでも任務の実行中に殺人癖が出かかっていたようで、しょっちゅう現地民などに突っかかったりしていたらしく、シロさんはそのフォローにまわるので忙しかったという話だ。
「それがしは信じておりましたぞ! ジョージ殿が弱いものの味方であり続けていたことを!」
『そこはぶれないですよ』
グスタフさんは途中俺と顔を合わせているからそこまで久しいという気持ちは無かったが、それでもここに俺がいることが出来ているのはこの人のおかげもある。シロさんとコンタクトが取れなければ、俺はいまだにあの森で孤軍奮闘していたに違いない。
『早速だが、今の《殲滅し引き裂く剱》に仕事は無いのか?』
「しばらくは復興の話でもちきりだから、それらしい仕事も無いわよ。外に仕掛けようとしても、内側のごたごたをまず片付けないと」
キリエの言う通り、確かに今は国内のことで忙しい、か。
『ならば、俺はしばらく休む。剣王からも働きすぎだと言われたからな』
「まあ、あんたが一番今回働いたし……す、少しは休めばいいんじゃないの!」
なんと。キリエからそんな言葉が出るとは思いもしなかった。本来なら「馬車馬のように働き続けなさいよ愚図!」っていいそうなものだが。
『確かにこうして皆と顔を合わせることもできたし、俺はしばらく休むとする――』
「ジョージさんいますか?」
俺は出て行こうと円卓の席を立ちあがった瞬間、後ろのドアから見知った顔が覗き込む。
『シロさん? 俺ですか?』
「ええ。剣王から話を聞いていますか?」
『ああ、休みの話で――』
「違いますよ」
シロさんはニコニコしてその場のメンツを一通り見回し、そして俺にとんでもない爆弾発言をぶつけてきた。
「結婚の話ですよ」
『……はぁ!?』
「な、ななな……なによそれぇ!?」
よかった、俺が言いたいことをキリエも代弁してくれた。だがどうしてキリエはそんなに取り乱しているんだ? イスカに至ってはガタガタ震えだすし、ベスはいきなり殺気全開になるし。
『一体どういう事ですか!?』
「え? そのままの意味ですけど……ああ、深く考えないでください。あくまでゲーム内でのシステム上でのお話ですから」
『いやいやいや、それでも意味が解らないのだが』
「簡単な話ですよ」
シロさんそんなに簡単に言わないで。
「――まあ、平たく言えば政略結婚的なものですから」
『……は?』
いまだに全貌がつかめない俺は、その場で首を傾げるしかない。
「デューカーの方から、闘王の女性と結婚してもらうお話ですよ」
……刀王と闘王が結婚?




