第190話
ルードさんとの激闘を勝利で収めた俺に対して、会場は一瞬何が起こったのか理解していなかったが数秒後、大歓声が響き渡り、司会の人も大盛り上がりをしていた。その歓声で気絶していたルードさんは立ち上がり「俺が負けたのか……」と言った。
「結構な僅差でしたけどね。あそこで当たっていたら俺の負けでした」
「ああ、あの一撃には俺の全てを掛けていたからな……まあ、負けたもんは仕方ない。クリフが俺よりも強かったって事だからな」
ルードさんはそう言うと手を差し出して来たので、俺も手を差し出し互いに握手を交わした。それから、俺達は会場の中央で王様直々に表彰された。
その後、俺達は会場から出て行き俺は皆の元へと向かった。
「クリフ君お疲れ様。凄い試合だったね」
「お疲れクリフ」
皆は俺の事を労いつつ迎えてくれたが優勝者である俺は今現在この会場で一番目立っており各方面から人が押し寄せてきたので皆と一緒に宿まで逃げ帰った。そして、宿に着いた俺は大会で魔力を使いすぎて疲労感がヤバかったので皆に「夕食まで寝てる事にするよ」と言って部屋に行き、ベッドに横になった俺は直ぐに眠りについた。
「ん~、良く寝た~」
眠りについた時はまだ外は明るかったが今は既に日が落ちかけているので、大分寝ていたんだなと理解し、ベッドから降りた俺は宿屋の食堂に移動して来た。
「クリフ君起きたんだね。もう少ししたら起こしに行こうと思ってたんだよ」
食堂に来ると、アリス達は皆居て談笑をしていた。俺はその輪の中に入り、少し話をしていると宿屋の女将さんから「優勝したんだってね。おめでとう」とお祝いの言葉を言われた。
「あっ、そういえばクリフ君が寝てから少しして四天王の人が来て明日、城に来てくれって言ってたよ」
俺はアリスから言われた言葉に「そうなのか? 分かった。明日、城に行ってくるよ。皆はどうする?」と聞くと、流石に城に行くのは嫌みたいで街の散策に出かけると言ったので明日は一人で城に行くことが決定した。そして翌日、俺は一人宿を出て城へ向かっていた。道中、色んな人から「優勝おめでとう」とお祝いの言葉を言われて獣人国でちょっとした有名人となっていた。
そんな中城に着いた俺は、門番からも知られていて握手を求められた。門番と握手をした後、城内に入った俺は廊下を歩いているとニャトルさんが居て、俺に気が付いて近づいて来た。
「クリフ君、昨日ぶりだね」
「昨日ぶりです。それと語尾は普通なんですね。あの、俺が呼ばれた理由知ってますか?」
「何となくしってるにゃ、優勝したクリフと話がしたいって王が言ってたにゃ」
ニャトルさんの語尾がコロコロ変わる事に対してはもう反応せず、その様に教えられた俺は王様が居る部屋に案内してもらった。そして、ニャトルさんが俺を連れて来たと言って中に入ると、そこには昨日俺に優勝カップを手渡してくれた王様が居た。
部屋の中に俺だけ入ると、ニャトルさんは部屋から出て行き扉を閉め、王様と二人っきりとなった。
「まあ、まずは座るとよい。ここは儂の私室じゃからな、気楽に話すが良い」
「ありがとうございます」
俺はそう言って、ソファーに座ると王様も奥の椅子から移動して来て向かいのソファーに座った。
「あの、それで俺を呼んだのはどういった要件なのでしょうか?」
「むっ? ただ興味が湧いたのじゃ、主はあのリグルの孫じゃろ? 以前から手紙を貰っていて興味があったんじゃ」
「爺ちゃんを知ってるんですか?」
「うむ、奴が獣人国に来た際に手合わせを何度もしたぞ、王族の儂に向かって本気で魔法を打ってきたやつじゃからな、忘れもせんわ」
王様はそう言うと「ガハハハッ」と笑い、その後も爺ちゃんとの昔話を続けられた。




