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第164話


 クラン結成から三日が経った。

 あれから、各自別れて良さげなクランハウスを見つけようと探し周り、ミケとアリスがいい感じの建物を見つけた。

 建物自体は、十何年か前の建物なのだが以外と綺麗な感じだった。二階建てで、部屋数もそれなりに有り、庭付きでもあった。鍛冶スペースとして庭を活用する事も出来る位の広いスペースのある建物で色々と高評価なのだが、一つだけ駄目な点がある。


「ちょっと、ギルドから遠いかな……」


「そ、そうだよね……」


「う~ん、でもここより遠い所にクランハウスとして買ってるクランもあるよ?」


 俺、ミケ、アリスの順で建物の感想を言った。取りあえず、他の皆にもこの建物がどうか聞いてみると「凄く良い!」とギルドから遠い点含めて高評価だった。


「別にギルドから遠くても、活躍するクランには目ぼしい依頼は、ギルドの職員が届けてくれたりするし、歩いて一時間以上掛かるとか周りの環境が最悪だ。って訳ではないから、文句はないぜ」


 ガルドさんがそう言うと、ルーネ達も「そうだね」と賛成した意見を出した。まあ、ここに住む人たちが賛成なら良いかと俺達も納得し、この建物を売っている店に行き、手続きを行った。立地的に少し、盛んな所から離れているというのも有り、安く売られていた。金額を見て、ガルドさん達も「これなら、直ぐに半分払える」と言ってくれたので、この場で俺が一括払いで建物を購入した。


「……あの金額をポンと出せる。クリフに俺は、驚くぜ」


「僕も、あんなお金普通に出せないかな……」


「私もです。まあ、クリフ君は収納スキルを持ってますからね」


「私も欲しいな~、収納スキル」


「クリフ君、金持ち……」


「凄い……」


 俺以外の皆から、そんな風に言われた俺は「お、俺だって毒竜の報酬が無かったら、こんな事しないって!」と何故か反論してしまった。そして、自分達の持ち物となった建物に戻って来た俺達は、建物の看板に〝クランハウス:導かれた者達〟という看板を立てて中に入った。


「取りあえず、綺麗な風に見えるけど埃とか凄いし、掃除から始めよう。家具は、新しく買うから既存の家具は捨てても良いよ」


 不動産の人からも「中に残ってる家具は、お好きにどうぞ」と言われたので、全て処分する事にした。

 家にあった家具は全て、裏庭に集め一気に燃やした。その際、本だけは燃やさず取っておく事にした。最初に家具を撤去した家の中は、更に広く感じた。


「さてと、今日の所はここまでにしよう。明日の朝、クランハウス前に集合な」


「「「「「は~い!」」」」」


「おう!」


 皆が返事をした後、建物から出て行き最後に鍵を閉めて皆と別れた。俺は、転移で家の地下室に帰って来た。そこには、留守番をしていたゴレ助とアーリンがトランプで遊んでいた。


「あっ、そうだ。アーリン、新しいクランハウスにも地下室があるんだが、そっちにも妖精界と繋ぐか?」


「う~ん、仮の門だけ付けておこうかしら? 念の為って事で」


「分かった。なら、クランハウスの内装が出来たらまた声を掛ける。それじゃ、俺は部屋に居るから何かあったら部屋に来てくれ」


「は~い」


 アーリンの返事を聞いた俺は、地下室から出て階段を上がって自分の部屋に向かった。部屋の中に入った俺は、窓を開けてベッドに横になった。


「ふぅ~、何も無い日々が続くってのは良いもんだな……」


 平和が一番だ、と続けて言った俺は目を瞑って、そのまま夢の世界に入った。

 夢では、久しぶりに前世の世界の夢を見た。懐かしい風景に、懐かしい友人の顔、母や祖父母との思いで、そんな夢を見た。


「――ク、クリフ!」


「ッ!」


「もう、クリフったら夕飯前にお昼寝するなんてクリフらしくないわね」


「ごめんなさい、母さん」


 突然起こされた俺は、起こしてくれた母に謝りながらベッドから起き上がった。


「あら、クリフ? 何で泣いてるの?」


「えっ?」


 母さんに指摘された俺は、手で目元を触ると若干濡れた。俺は、母に「ちょっと、怖い夢を見てたんだと思う」と答えて、一緒に部屋を出た。


(まあ、今更あっちの世界の事を思い出しても、今はこっちの世界で生きてる。それに、あっちの世界に戻りたいとは思わないしな……)


 そんな風な事を思いながら、リビングに行き今の家族と楽しく食事を食べた。

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