表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拝啓 自分様  作者: 荒川 晶
各々の日
43/43

エピローグ~『あの日』と「この日」~

『拝啓 自分様

俺は橋本祐樹です。過去に飛ばされこうして手紙を書いています。未来の俺はどうしているのでしょうか』

「橋本先生! 定期検診を受けてなかった妊婦の受け入れ要請です。どこも受け入れ拒否されているようで陣痛の感覚が非常に短くなっているようです。かなり前の検診では逆子の可能性が高いと言われたようで……」

『俺はとある先生から命の尊さを学びました』

「病室は?! オペ室は?!」

「あいてないです!」

『そこにいる俺はあの先生と同じ後ろ姿をしているのでしょうか』

「病室は何とかしてくれ。オペは早急に済ます。オペ室に連絡をいれてくれ。今日は四件に変更だと」

「わ、わかりました」

『父さん、母さん、もしもこの手紙を読んでいたら、俺が医大生だったことを誇りに思ってください』

「受け入れろ!」

『父さんも母さんも大好きです。生きて戻れたら、医者として精一杯生きて行きたいと思います。

          敬具』



『拝啓 自分様

私は佳川藍です。ずっと昔の時代にきてしまっています。未来の私へ。どうしてますか』

「佳川先生、待ってください!」

『私はずっと一人で行動することができない人でした。周りと同じようにただただ何も考えず生きてました』

「はやくしてー。おいてくよー」

『だけど私は色々な人に出会い、色々な考えを知って、色々な生き方を知りました』

「そんなこと言っても……こんな山の中に墓が眠ってるんですか」

『大切な人もいました。私の無二の友達です。彼が私の意思の後押しになっていました』

「色々な資料を調べたところによるとこの辺りはまだ手をつけられてないのよ。年代的にもあの人の墓はあるはずよ」

「そう言って何度目ですかー」

『自分の信念に従って生きたいと思うようになりました。未来の私は自分の信念を貫いてますか』

「うるさいわね。失敗は成功のもとよ」

『まだはっきりとした夢は描けないけれど、大切な人たちの意思を、身近に感じることができる仕事をしたいと思っています』

「原田左之助がどこで死んだとか、先生は本当に原田さんが好きなんですね」

『家族のみんな、友達のみんな、これを読んでないことを祈ってます。もし読んでいる時は、こう言います』

「そんなあなたも一緒にモンゴルに探しに行ったり、こうして山登りしたり、充分、原田左之助が好きよ」

「へへ、まあそうなんですけどね」

『みんな大好きです。ありがとう。

               敬具』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ