表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/95

第75話 無能

完全に敵の攻勢が止まったところで、こちらからは特に攻撃を仕掛けない。大砲で炸裂弾を撃ち込むぐらいで、他の兵は防御に専念している。この砲撃だけでも敵軍には結構な被害が出ているし、もうこちらは被害を出したくない以上、こうなるのは仕方ない。


既に、敵軍の兵糧が少ないことは把握している。だって敵軍内部にいて、一緒に行軍していたわけだし、兵糧の管理もやっていたんだから敵軍の兵糧事情なんてものは丸わかりだ。そして脱出時に兵糧をほぼ全て焼き尽くしたから、数日も経てば普通の人間が食べるものは限りなく少なくなる。


既に、敵軍の騎兵の数が減っている。なぜ減っているかはお察しだな。戦場において、一番最後に食べるべき非常食に既に手を付けているんだから敵軍はかなりの飢餓状態に陥っている。一方でこちらは、輜重兵がちゃんと兵糧を管理しているので毎食普通に食べることが出来ています。別にこちらは補給路を分断されているわけじゃないし、兵糧を燃やされてもないからな。


何よりも、補給路が分断されても一月は戦闘行動が可能な量の兵糧を持ち運んでいるため、そう簡単には軍が飢餓状態には陥らない。この兵糧を目指して敵軍が突っ込んで来ているけど、こちらは小銃の一斉射撃で応対。初日より敵軍の死者は多そうなぐらい、破れかぶれの特攻だな。


同時に降伏する公爵や伯爵達が増える増える。この時点で降伏する奴は、自分の命が惜しい奴なので改宗にもほとんどが応じるし、どんどん切り崩されていくな。


やがて敵軍の総数が5万人を割ったところで、敵軍の総大将格であるマシア王が降伏。ここが全面的に降伏すれば敵軍の総数をこちらの軍の総数が上回るから嬉しいことなんだけど、何か怪しかったのでマシア王の射殺を命令。敵軍の中ではまだ有能だった奴がノコノコ降伏してきたんだから、殺さない理由はない。互いの宗教の生存をかけた絶滅戦争中だしな。


これをすると残りの兵が死兵になったり、敵軍が降伏してくれなくなるんだけど、俺と同じく恐怖での支配体制を敷いていたマシア王が死んだ瞬間、付き添っていた兵達からは自分も殺されるという恐怖の感情と、どこか安堵した感情を感じ取った。どれだけ怖かったんだよ。俺も似たようなものだけど。


マシア王国軍の全軍が捕虜になったことにより、兵数でもこちら側が上回り、とうとう抵抗が出来なくなった教皇は全面降伏と助命を願い出たので聞き入れる。マシア王は殺した方がメリット大きいから殺すが、教皇は殺す方が損をするぐらいに無能っぽいので助命は聞き入れても良い。


後任も無能とは限らないんだから、この教皇を教皇領まで送り返してグダグダ内ゲバをして貰った方が俺としては凄く助かるし。あれだけの啖呵を切っておきながら、助命を願い出ている時点で相当保身的な人物だし、貴重な敵国の無能人材は丁重に扱わないと。


まあ助命する代わりに、エストアニ王国の請求権を譲れと交渉はするけど。ぶっちゃけここまで来ると、戦争のための正当な理由とか要らないんだけど、クヌート教が根付いている地域に教皇の無能さと頼りなさをアピールするためだな。普通なら通らない要求だけど、普通じゃないぐらいには無能だと戦争中に感じたし、たぶん通る。


当然、従軍していたエストアニ王国の王は「えっ、まさかうちを売ったりしませんよね」みたいな顔をしていたけど、結局クヌート教の教皇はエストアニ王国の請求権を俺に無償で譲りました。このことを教皇自身が発表した瞬間、よくエストアニ王国軍が暴れなかったと思う。


その後は各国の王と交渉して、従軍していた兵を1000人ずつ奴隷として貰う。エストアニ王国、マシア王国、レナート帝国の3か国で3000人だな。後でカルリング王国にも要求する予定だけど、たぶん拒否されるだろうからそれを理由に攻め込もう。


これで軍を編成することは流石に出来ないけど、こいつらを使って運送業を始める予定なので体力のある人材は重宝します。最後は教皇のために良い馬車を用意して、教皇領までの無事を願ってあげよう。


……後任の教皇が無能かどうかは分からないけど、あの教皇に気に入られるなら無能なんじゃないかな。そこら辺は、諜報員達に調べさせるか。マシア王国軍の切り札であるワイバーン兵については全く調べられてなかった奴らだけど、対象を指定すると結構な精度で情報を持ち帰って来てくれるし、あの教皇がトップの領土なんて情報セキュリティは穴だらけだろうから多分調べられるはず。


無事に教皇軍を撃退したことで、大いに士気が上がったディール王国軍はその後、カルリング王国のカルリング公爵領とエストアニ王国のエストアニ公爵領を支配するために進軍を開始する。第一師団はカルリング公爵領、第二師団はエストアニ公爵領と分けて攻めてもまだ余剰戦力がある安心感が凄い。


この両方の公爵領を支配下に収めれば、ディール王国の保有する公爵領は9つ。もうすぐ帝国を名乗ることも出来る支配領域の広さだ。1つの公爵領にはおおよそ200万人前後の人口がいるので、1800万人の王である。


大陸全土を支配下に収めれば、1億人には到達するかな。それだけの人口と国力があれば、技術はどんどん進められるだろうし、この世界には前世にはない魔法技術が存在する。これを利用すれば国内のインフラを整えたり、凶悪な破壊兵器を作ることが出来るはず。……絶対にろくな死に方をしないと思うけど、可能な限りこの世界を発展させていきたいな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >可能な限りこの世界を発展させていきたいな。 もとからこういう考えの転生者なんだからさ 無双チート詰まんなーいw とかいって詰みゲーさせないで 最初から世界を発展させてって お願いしておけ…
[気になる点] 殺しようがないんだから、すり潰して毒と油混ぜて焼く様な方法が必要なんだしなー。
[一言] なんか最後いいこと言ってるけどやってることがアレだからなあ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ