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第72話 大聖戦

ヴァーグナーを殺してから、しばらくの時間が経過した頃。クヌート教の教皇が俺に対して聖戦を仕掛けようとしているという情報が入る。マシア王国やエストアニ王国、レナート帝国やカルリング王国が参加するし、教皇自ら軍を率いるようなので規模的には大聖戦だな。


敵軍の集結地点は、エストアニ王国の中核的な公爵領であるエストアニ公爵領。ここにレナート帝国軍、エストアニ王国軍、マシア王国軍の三軍が集うようで、教皇が自ら率いる聖騎士が2万人いることを考えると、合計戦力は5万を超えて来るかな。


……まあこれほど、もう遅いと言いたくなることはないな。というかレナート帝国軍はディール王国軍の第二師団とシュルト公国の精強な軍にフルボッコされた後なのに聖戦に参加する余裕はあるのか。


しかしまあ、破門された直後の段階で俺に聖戦を仕掛けるのは不可能だったんだろうな。聖戦とは言え、実入りが少なければ諸侯は参加しない。特に実入りが無くて、標的が危険人物でもなければ、多くの王や公爵は参戦の検討すらしないだろう。


ボルグハルト王国への聖戦の時には、マシア王国軍は参加してなかったはず。カルリング帝国が主体だった上に、性に溺れて標的になった王相手に、大軍を派遣はし辛かったんじゃないかな。とりあえず今回の戦争では、教皇の捕縛を目標に頑張ろうか。


カルリング王国からも数千人の軍が攻めて来るだろうけど、それはジェレミアス公爵が防げるレベル。もはや一公爵領の公爵相手ですら突破出来ないカルリング王国の弱体化が浮き彫りになりそう。最近では王弟派の封臣がクーデターを起こそうとしているようだし末期だな。


今回俺が標的になったのは、土地的に豊かなディスモア公爵領とクラウス公爵領を保有したからだろうか。それとも、クヌート教相手に宗教戦争を仕掛けているパルパル教の教祖だからだろうか。世界で一番の悪人だということはシステムで保障されてしまっているし、クヌート教徒への迫害もした上、聖君のヴァーグナーを殺害と心当たりが多すぎる。


……地味にディスモア公爵領とクラウス公爵領を手中に収めたのは大きい。海に面しているし、海運をこれからは使えるようになる。まだ王国として保有している艦船は0だけど。何なら水軍の概念すらないけど、将来的なことを考えると内陸国から脱したのが一番大きかった。


諜報員達からの情報によると、エストアニ公爵領への集結は25日後。そこからディール王国のエストア公爵領に侵攻するのが3日後ぐらいの話。準備期間が滅茶苦茶あるなこれ。どうやら教皇の軍とマシア王国の軍は集結速度が遅いようで、万の軍の管理が雑なことが伺える。封臣達は好き勝手進軍するだろうし、道中の村々はご愁傷様です。


そんな中世感丸出しの軍と、小銃と大砲を配備した近代的な軍が衝突するのはちょっと可哀想。小銃はまだ殺傷能力が低いとはいえ、弓よりは使えるし、魔法使いの射程外から一方的に撃ち殺せそう。ヴァーグナーレベルの魔法の使い手が複数人いたら厄介だけど、そのために耐性を上げた上級奴隷達を切り札として各師団に配属しているし、負ける予想は中々出来ない。


後は2万対5万の戦いでも、結局戦闘をしているのは正面戦力だけなんだよな。となると、後は飛び道具の差になるけど、大砲が向こうに伝わっていたとして、うちよりも高性能なものを揃えているとは思えない。


こちらの方が数は少ないとはいえ、何重にも負けようのない戦争。フラグが立ちすぎていて逆に負けそう。この戦争に勝てれば、周辺国は軍力をすり減らしたということだから、まずはカルリング王国から順番に征服していこう。


「『お前の悪行が今まで裁かれなかったのは、ただ運が良かったからだ。しかしその運は、たった今尽きた。これから神がお前に天罰を食らわせるためだ。神はお前に裁きを与え、私はお前に死を与える』だってさ」

「教皇からの宣戦布告の文面を見て笑っている場合ですか。下手したら十数万の兵が集まりますわよ」

「王だけじゃなくて、公爵や伯爵が大量に集えば、まあ10万は行くだろうけど無意味だよ。5万も10万も変わらないし、数が多いほど軍は愚鈍になる」


教皇からの宣戦布告文が届いたのでその酷さにゲラゲラ笑っていたら、リンデさんから大丈夫なのか突っ込まれたけど、寄せ集まりで10万という数を超えて来ると、恐らく兵糧の問題が一気に表面化する。その数の兵の食糧を運ぶのだけでも大変なのに、毎日食糧を行き届けるのはかなり難しい。


うちの師団でも、6000人強の軍隊に兵糧を管理する人間が150人いて、やっと全員が美味しいご飯を食べられる形だしな。炊き出しのような感じで、戦地では150人のほとんどが1日の大半を料理に費やすわけだけど、そのお蔭で軍の食事事情はかなり改善されている。


……敵軍の兵糧の焼き討ちも狙うか。戦場で飢えると、同士討ちしてくれる可能性すらあるし、狙って損はしない。流石に敵の兵糧は幾つかに分散されると思うから、その内の一個二個を焼き討ちしても効果は薄いだろうけど、戦争がもしも長期化すれば、深刻なダメージになるだろう。

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[良い点] 第80部分到達、おめでとうございます! [気になる点] >とりあえず今回の戦争では、教皇の捕縛を目標に頑張ろうか。 駄女神からとはいえあれだけチート特性もらってたヴァーグナーを斃している…
[気になる点] 神の裁きが気になるけどできるならとっくに主人公は死んでるよな? [一言] きっと死んだら皆天国行くだろうからまた善行積んじゃうなぁ。
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