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第11話 面会

シュルト公爵領に着き、屋敷の大きさが実家よりも大きいことに驚く。……この何回も増設したような、外観よりも機能性を優先している屋敷はシュルト公爵家そのものを現しているようだね。シュルト公爵領を構成する伯爵領を4つ保有しているシュルト公爵家は、代々この土地に根付いており、歴史の長さではクラウス公爵家よりも断然長い。


パルマー・クラウスが来たと門番さんに伝えると、まずはリンデさんのいる離れへ案内されることに。早速ここに来た目的の1つを達成出来るとは思わなかったので、少々身構えたけど、中から出て来たのは怖いぐらいに綺麗な白髪美少女だった。多少痩せ気味だし、うっすらと腕に筋肉があるのは分かるけど、筋肉量は別に大した量じゃないだろう。個人的にはゴリマッチョでないことに驚きだよ!


まだ10歳にも満たないため、身長は140センチぐらいだろうか。完全に色素が抜け落ちた長い白髪を揺らし、橙色と赤色の瞳を持つ目を細めてほほ笑むのは、間違いなくリンデさん本人だろう。こんな美少女と婚約していたとかこの世界に転生して初めて幸福感を感じた瞬間だったよ。


「……こうして顔を合わせると、何だか不思議な気持ちになりますわね。

シュルト公爵家三女、ブルクリンデ・シュルトですわ」

「ヴァーグナー・クラウス公爵の封臣、パルマー・クラウスだ。

……え、その体で怪力持ち?」

「最近は侍女を持ち上げてますわよ?」

「ええ……」


日傘を差しているけど、直射日光には弱いせいだ。直射日光を浴びると10分で力が抜けるとか吸血鬼か何か?アルビノの性質は、遺伝するということも分かっているようだから貰い手は少ないようだけど、この美しさなら外に何回か出しておけば余裕だったんじゃ……。


「お兄様も会いたがっているので、中にある闘技場へ案内いたしますわ」


そしてリンデさんから死刑宣告を受ける。言われるがまま、リンデさんについて行くと中庭っぽいところに大きな闘技場があり、その中央に厳つい男が立っていた。まあ間違いなく、リンデさんの兄でシュルト公爵家の次男、サヴェージさんだね。身長180センチ超えてそう。


怪力の下位互換とはいえ、屈強の特性を持っているからか筋肉隆々な武人って感じ。顔はカッコいいけど、よく見るとやっぱり厳つい。案の定、リンデを貰いたければ俺を打ち倒せと言われたので、素直に闘技場に上がる。こっちはまだ身長150センチ程度だし、近寄るとマジで大人と子供の差だな。


「俺に勝てとは言わんが、力を見せよ。魔法が苦手なのは知っているから、魔法は無し。それ以外は何でもありだ。

ほら、剣を取れ」

「剣は使えないからいらないです。

それに武器は持っているので、いつでも始めてもらって結構ですよ」


サヴェージさんはやけに格好つけて、剣を投げ渡して来たので華麗に避ける。危ない。するとちょっとムッとしてくれたので、挑発をして向こうから仕掛けさせる。


筋肉隆々のサヴェージさんは、その筋肉を活かして俊敏に動き始めるけど、そんなのは関係ない。踏み込んで近づいて来た瞬間に、懐から鞭を取り出し、サヴェージさんの顔面を打つ。


今回使用した鞭は特性『痛覚変換』というものを持っているアーティファクトです。傷は付かず、その分痛みが増す鞭。一説によると太古に使われていた躾け用の鞭だとか。これを鞭術レベルⅢを持つ俺が振るうと、一瞬で意識を刈り取る凶器になる。その上で相手に傷を付けないから超便利。


そして傷がつかないということは全力で打てるということなので、マッハを超える鞭先がサヴェージさんの顔面を襲う。当然回避なんて出来るはずもなく、痛快な音が響いてサヴェージさんが崩れ落ちた。この鞭、痛みだけで人が死ぬレベルなんだけど、サヴェージさん屈強持ちだし耐久力高そうだったし、死んではないでしょ。


「お兄様?お兄様!?しっかりして下さいまし!」

「あー、たぶん大丈夫。傷が出来ない鞭だから。痛みは増すけど」


なおこの後、貴族同士の戦いで鞭を使うとか前代未聞の珍事だと言われたけど、何でもありとサヴェージさんが言っていたので許される雰囲気に。子供らしい全力投球が気に入られたみたいで、無事復活したサヴェージさんとの仲は深まったと思いたい。やたら凄い凄いと褒めて来るし。


サヴェージさんの特性を見せて貰ったけど、屈強の他にも頑丈というレアな特性を持っているし、剣術レベルⅢや水属性魔法レベルⅣを保有していた。この人も結構戦闘能力高いや。魔法ありなら勝てなかったかも。


こっちは火属性魔法レベルⅡだけど簡単な火の玉しか出せません。最大魔力量が少ないようだから仕方ないね。三発撃ったらガス欠です。幼少期から魔力トレーニングとかしていたのに何で最大魔力量が少ないのか、これが分からない。


サヴェージさんに謝罪をして、次はシュルト公爵家の当主、シュルト公爵に会いに行く。名前はフォンターナ・シュルト。毎年のように他国への略奪を繰り返しては得た金を領内の発展に使うから、他国からは暴君と恐れられているけど、民衆からの人気は高い名君です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] バーチャル筋肉なら幼いうちからの鍛えすぎとか、ボディバランス的なアレはなさそう。 [気になる点] ふっきん。 [一言] ……きっと魔力だか何だかが変なところに付いている。
[気になる点] 出てくる人皆才能ある?沢山の特性持ちなのに、主人公が特異的少なさなのは、ネラー女神による仕込みか何かでしょうか? 彼だけある意味特別な存在ですが
[良い点] 今話もありがとうございます! ……リンデさん可愛い! 主人公は果報者! サヴェージさんも良い義兄になりそうで何より。 この物語世界もまだまだ捨てたもんじゃなさそうだ。 [気になる点] …
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