24 拠点を強化しよう
24 拠点を強化しよう
俺は光の御殿のように輝く我が家を、夢の中のような光景で見つめていた。
「まさか、拠点ができるだなんて……!」
大工のアルバイトをしたときに、親方から教えてもらった。
施設に塀と門があり、レベルが合算で50を越えると『拠点』になるって。
親方はこうも言っていた。
「といっても拠点になるのは、砦くらいに大きくて立派な建物だけだ!
そのへんの民家じゃレベルがぜんぜん足りねぇから、拠点になったりはしねぇよ!
まぁ、伝説の匠が手がけたような家なら、もしかするかもしれねぇけどな!」
俺はその時、親方の言葉をおとぎ話のように聞いていた。
自分には縁のない話だと思っていたのに……。
俺はいまだ信じられない気持ちで、ステータスウインドウを開いてみる。
するとそれは、俺のステータスの下に確かにあった。
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拠点
LV 1
規模 さびれた一軒家
人口 1
拠点スキル
活動支援
拠点内の活動において、ステータスにボーナスを得られる
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「これが、拠点のステータス……!? 世界でも、選ばれた者しか与えられないという……!」
拠点のスキルは拠点のリーダー、すなわち国王となった人間のためのもの。
国王が拠点の管理者に任命した人物も、その力の一部を使うことができる。
いずれにしても王族クラスという、この世界の最高権力者のみに許された特権だ。
信じられない気持ちでいっぱいでいると、俺の身体は拠点と同じ光に包まれていた。
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レオピン
職業 大工
LV 8 ⇒ 9
HP 1810
MP 1810
ステータス
生命 181
持久 181
強靱 181
精神 181
抵抗 181
俊敏 181
集中 181
筋力 181
魔力 181
法力 181
知力 181
教養 181
五感 181
六感 181
魅力 1
幸運 2
器用 180 ⇒ 280
転職可能な職業
生産系
木こり
鑑定士
大工
石工師
革職人
探索系
レンジャー
トレジャーハンター
戦闘系
戦斧使い
ニンジャ
武道家
NEW! 罠師
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「拠点の主になったから、レベルアップしたのか……。
今までに比べると、納得のレベルアップだな。
しかも新しく増えた職業は、まさにおあつらえ向きじゃないか」
俺はさっそく転職してみた。
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レオピン
職業 大工 ⇒ 罠師
職業スキル
ピットトラップ
落とし穴を仕掛けることができる
ワイヤートラップ
ワイヤーを使った罠を仕掛けることができる
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「よし、さっそく家のまわりの防御を固めよう。と、その前に……」
俺は一時的に『石工師』転職し、そのへんの岩を削って新しい道具を作った。
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森林石のスコップ
個数1
品質レベル12(素材レベル1+器用ボーナス2+職業ボーナス9)
成形した森林石のスコップ。
各種ボーナスにより、レベルの2倍までの硬さの土や石を彫ることができる。
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できたてのスコップを手に家の門をくぐり、庭で作業開始。
穴を掘って、その底にギスの木を尖らせた槍を立てる。
あとは穴の上を、木の枝や葉っぱで覆い隠せば……。
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ギスの木槍の落とし穴
個数1
品質レベル23(素材レベル12+器用ボーナス2+職業ボーナス9)
ギスの木の槍を立てた落とし穴。
各種ボーナスにより発見が困難で、またいちど落ちると這い上がるのは難しい。
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まずはひとつ目、っと。
次に、庭の木のそばの草むらに、もうひとつ罠を仕掛けた。
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ダイジャヅルの糸のワイヤートラップ
個数1
品質レベル28(素材レベル17+器用ボーナス2+職業ボーナス9)
ダイジャヅルの糸に、石のナイフを組み合わせた罠。
ワイヤーに引っかかると宙づりにされる。
各種ボーナスにより発見が困難で、またいちど吊り下げられると脱出は困難。
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「こんな原始的な罠がレベル20オーバーとは……我ながら、とんでもないものを作っちまったかな」
塀の外にも罠を仕掛けようかと考えたのだが、それはやめておいた。
モナカが家に来たときに、引っかかったりしたら大変だからな。
モナカはお行儀がいいから、塀を乗り越えて入ってくるようなことはしないだろう。
でもいちおう念には念をいれて、庭に立て看板を立てておく。
『危険! トラップあり!』
モンスターはよっぽど高レベルのヤツでないと、人間の言葉を理解しないらしい。
この森に出る程度のモンスターであれば、この警告は読めないはずだ。
家の外に出ると、森は一面のオレンジ色に染まっていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
その頃、校長室は大変な騒ぎになっていた。
ランクダウンを言い渡され、どうやって名誉挽回しようかと話し合っていた校長と教頭。
その壁一面に掲げてある水晶板に、ピコーンとメッセージが現れたのだ。
『拠点反応あり! 我が校の生徒が拠点を立ち上げました!』
ふたりは我が目を疑う。
「拠点!? そんなはずはないのである!」
「そうざます! 始業してたったの2日で拠点なんて、作れるわけがないざます!
校長、たしか我が校では、2年後の予定だったざますよね?」
「その通りである! 開拓系の学園で、拠点を立ち上げた最速の記録が、始業から793日目であった!
それを塗り替えるべく、我輩は特別な教育カリキュラムを組んでおったのである!」
「ということは、魔導装置が間違ってるざますね!
光の点があるところの、魔導装置が故障しているざます!
用務員に命じて、ただちに直させるざます!」
教頭はそう言いながら、壁の水晶板に近づいてメッセージをタッチする。
すると表示が切り替わり、『王立開拓学園』の周辺地図になった。
地図には、拠点ができた位置を示す光点が明滅している。
「ほーら、やっぱり間違いざます! 居住区から大きく外れた森を示してるざます!
ここはゴミ捨て場で、誰も……」
ふたりはバッ! と顔を見合わせた。
「まっ……まさかっ!? そんなはずは、そんなはずは……!」
教頭は祈るようにつぶやきながら、水晶板を操作する。
光点にタッチし、現れたウインドウのメニューから『監視』を選択する。
すると地図は切り替わり、光点の位置の現在の様子を映し出した。
そこには長い影を伸ばしながら、気持ち良さそうに伸びをするレオピンの姿が。
その背後には、壁と門を有した、一軒家ながらも立派な家があり……。
拠点の証である光をまとい、夕日に負けないほどに輝いていたのだ……!
「きっ……きぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」
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