表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/156

22 自宅レベルアップ

22 自宅レベルアップ


 ニックバッカ先生は、ホコリまみれの身体をはたきながら、誇り高く笑った。


「にくくくくくくくくく! いまのを見たかね!?

 いまのは『浮身(ふしん)』といって、打撃を受けた瞬間に身体を浮かせて、ダメージを最小限にする高等テクニックだ!

 そうとも知らずに有名人くんは得意そうにして、実に滑稽だねぇ!」


 周囲の生徒たちはホッとする。


「なんだ、そういうことだったのか……」


「おかしいと思ったんだよ、ワンパンKOだなんてありえないもんな」


「そうそう、1年20組のモンスーンくんならともかく! 無職のゴミ野郎にできるわけがないよ!」


 そういえばモンスーンの姿が見えないな、というか1年20組のメンツは誰もこの体育に参加していないようだ。

 そんなことはさておき、俺はニックバッカ先生に問う。


「でも、気絶してませんでしたか?」


 すると先生の顔は、沸騰したヤカンのように赤くなった。


「そ、それは……! それは……! 『死んだふり』という超高等テクニックだ!

 そんなことよりも、遊びは終わりだ! 次からは本気でいくぞ、有名人くん!」


「えっ、まだやるんですか?」


「ミート! 当然だ! やられっぱなしで……いや、手本をまだ見せていないだろう!

 さっき1発殴らせたんだから、今度はこっちが1発殴らせろ!」


 完全に子供のような言い分だった。

 ニックバッカ先生は丸太のような腕を振り上げながら、俺の前にドスドスと歩いてくる。


「え、ちょ、先生?」


「問答無用っ! さあっ、ぶっとべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーっ!!」


 俺は焦りながら、『器用な肉体』スキルを発動。

 『筋力』にかけていたポイントを、大急ぎで『強靱』に振り分ける。


--------------------------------------------------


レオピン


 職業 武道家(マーシャルアーツ)

 LV 8

 HP 10

 MP 10


 ステータス

  生命 1

  持久 1

  強靱 1 ⇒ 2501

  精神 1

  抵抗 1

  俊敏 1

  集中 1

  筋力 2501 ⇒ 1

  魔力 1

  法力 1

  知力 1

  教養 1

  五感 1

  六感 1

  魅力 1

  幸運 2

  器用 200


--------------------------------------------------


 唸る豪腕が、俺の顔面に迫る。

 インパクトの瞬間、観衆のところに戻っていたモナカが「キャッ!?」と両手で顔を押さえていた。


 ……ごちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!


 石の壁を思い切り殴ったような音が校庭じゅうに響き渡る。

 俺はブッ飛ぶどころか、その場から微動だにしていなかった。


 「ぜんぜん痛くない……?」と思わず漏らす。

 俺は辛うじて平静を保っていたが、内心は驚きに満ちていた。


 ほんの一瞬だけだったが、俺の身体は岩のように硬化し、山のようにどっしりとした。

 魔法も使っていないのに、なぜ?


 『強靱』のステータスというのは、高ければ高いほど、物理的な攻撃に耐えられるようになる。

 でもいくら上昇させたところで、身体が硬くなったり、重くなったりするわけじゃない。


 涼しい顔の俺とは真逆に、ニックバッカ先生の顔と拳は、同時に赤く膨れ上がっていく。

 そして、強烈なカウンターパンチを食らったように後ろにブッ倒れていた。


「うぎゃああああああっ!? 骨がっ!? 骨がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」


 陸に打ち上げられたクジラのように、ドスンバタンと暴れるニックバッカ先生。

 俺のまわりにいた男子生徒たちは、今度こそ恐れおののくように俺を見ていた。


「あ……ありえねぇ、ありえねぇよ……!

 あのパンチをくらって平気などころか、なにもせずに返り討ちにするだなんて……!」


「い、いや、これもニックバッカ先生の高等テクニックじゃ……!?」


「そんなわけあるかよ! 見ろ! ゴミ野郎……いや、レオピンくんの顔を!

 まるでそよ風を受けたみたいになんともねぇじゃねぇか!」


 そんなことより、ニックバッカ先生のことを心配したほうがいいんじゃないか、と俺は思う。


 そしたら、「ご、ご無事ですか!?」と声が。

 女生徒たちの観衆から、またしてもモナカが飛び出してくる


 いくらなんでも今度こそは、と思ったのだが、モナカはまた俺のほうにまっしぐら。

 ハラペコの猫かと思うほどの全力疾走でやってきて、俺の身体をあちこち触って確かめていた。



 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 ニックバッカ先生の骨折は、聖女の卵である女生徒たちには治せなかったので、タンカで保健室へと運ばれていった。


 ちょうど体育の授業も終わり、放課後となる。

 生徒たちはみな体操服を着替えるために校舎に戻っていった。


 俺は制服のままだったので、そのままひとり学園の敷地から出る。


 森の我が家への帰り道、『木こり(ウッドマン)』に転職。

 体育の授業で偏らせていたステータスを、バランスよく配分しなおした。


--------------------------------------------------


レオピン


 職業 武道家(マーシャルアーツ) ⇒ 木こり(ウッドマン)

 LV 8

 HP 10 ⇒ 1810

 MP 10 ⇒ 1810


 ステータス

  生命 1 ⇒ 181

  持久 1 ⇒ 181

  強靱 1 ⇒ 181

  精神 1 ⇒ 181

  抵抗 1 ⇒ 181

  俊敏 1 ⇒ 181

  集中 1 ⇒ 181

  筋力 1 ⇒ 181

  魔力 1 ⇒ 181

  法力 1 ⇒ 181

  知力 1 ⇒ 181

  教養 1 ⇒ 181

  五感 1 ⇒ 181

  六感 1 ⇒ 181

  魅力 1

  幸運 2

  器用 2700 ⇒ 180


--------------------------------------------------


「さぁて、戻ってひと仕事といくか」


 俺は森に戻ると、石斧を使って一心不乱に木を切り倒しまくる。

 その最中、俺はずっとニックバッカ先生の言葉を思いだしていた。


『いま現在、この学園の周囲には保護魔法が掛けられている!

 しかし明日からはじょじょにその効果が薄れていく!

 この意味がわかるか!? 明日以降、お前たちの住んでいる居住区にモンスターが入り込んでくるということだ!』


 この言葉が本当なのであれば、明日からはモンスターと遭遇する可能性が出てくるということである。


 他の生徒たちがいる居住区は人が大勢いるので、モンスターも襲いにくい。

 夜も交代で見張りをすれば、モンスターの奇襲を受けることもないだろう。


 でもひとりぼっちの俺は違う。

 しかも森の中に住んでいるので、モンスターからすればこれほど襲いやすい人間もいないだろう。


 だから俺は、自己防衛をすることにしたんだ。


「木材はこんなもんでいいかな」


--------------------------------------------------


 ギスの木材(大)

  個数80

  品質レベル12(素材レベル2+器用ボーナス1+職業ボーナス9)


  柔らかく軽量で、加工が容易な木材。

  各種ボーナスにより、建材にも利用可能。


--------------------------------------------------


 それから『大工(カーペンター)』に転職。

 家を建てられるくらい集めた木材で、家のまわりに塀と門を作り上げた。


--------------------------------------------------


 ギスの塀

  個数1

  品質レベル22(素材レベル12+器用ボーナス1+職業ボーナス9)


  高品質なギスの木材で作られた木塀。

  各種ボーナスにより石塀よりも堅牢で、地震・火事・腐食への耐性がある。



 ギスの門

  個数1

  品質レベル22(素材レベル12+器用ボーナス1+職業ボーナス9)


  高品質なギスの木材で作られた木門。

  各種ボーナスにより石門よりも堅牢で、地震・火事・腐食への耐性がある。


--------------------------------------------------


 家をぐるりと取り囲んでそびえる壁は、なかなかに頼もしい見た目だった。


 そして、思わぬことが起こる。

 家、門、塀……その3つが揃った時点で、まるでひとつになったかのように輝きはじめたんだ。


 まさか、レベルアップ……!? と思っていると、目の前にウインドウが出現した。


『自宅が拠点に進化しました!』

今日も3話更新できました、ありがとうございます!


「面白かった!」「続きが気になる!」と思ったら

下にある☆☆☆☆☆から、作品への評価お願いいたします!


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つでも大変ありがたいです!

ブックマークもいただけると、さらなる執筆の励みとなりますので、どうかよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みくださりありがとうございます!
↑の評価欄の☆☆☆☆☆をタッチして
★★★★★応援していただけると嬉しいです★★★★★

▼コミックス6巻、発売中です!
3yhrcih7iujm5f0tgo07cdn3aazu_49d_ak_f0_6ns3.jpg

▼コミカライズ連載中! コミックス6巻、発売中です!
jkau24427jboga2je5e8jf5hkbq_u0w_74_53_1y74.jpg r5o1iq58blpmbsj98lex9jb4g2_1727_3k_53_15fz.jpg 4ja22z6e9j8n5c6o2443laqx8b4v_136f_3j_53_14uc.jpg dm2ulscc6gwrdzc9cpyvkq7chn5k_wtf_3l_54_12fl.jpg l8ug24f47yvuk96t5a2n10cqlfd9_1e33_3l_54_104j.jpg jg166tlicmxb9n2r5rpfflel0ox_uif_3l_54_13bg.jpg cmau2113lvxuanohrju8z3y8wfp_8h9_3l_54_11ld.jpg
▼小説2巻、発売中です!
kwora9w85pvjhq0im3lriaqw3pv4_1al6_3l_53_11yj.jpg 2ql3dh0cbhd08b8y92kn9fasgs5d_7pj_3l_53_1329.jpg
script?guid=on
― 新着の感想 ―
[一言] 器用のステータスを移動させるスキルなのに器用以外から移動しててワロタ、設定しっかりしろ
[一言] なるほど、ニックバッカ先生、あの大袈裟な痛がりよう…間違いない「仮病」という高等テクニックですね、ええ、怪我してないのに、病気なんて患ってないのにあたかも怪我をしてる、病気にかかってるように…
[一言] スーとしますぜ。モットやって。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ