34 新たなる肩書き
34 新たなる肩書き
俺は1週間もの間、カケルクン校長から居住区の出入り禁止を言い渡されていた。
理由としては、学園に外部からの取材が入るので、その準備をするためらしい。
なんで取材を受ける準備をするだけなのに、俺を排除しようとするのが気になったが……。
いずれにせよ、この手の理不尽な仕打ちは前校長の頃から慣れっこだったので、まあいいかと思う。
でも前校長の時のような、森の動物たちに被害が及ぶような悪だくみだけは許すわけにはいかない。
俺は居住区を出禁となった1週間を、森のパトロールに費やすことにした。
ついでに家畜となる動物を捕まえて歩いていたおかげで、牧場はだいぶ賑やかになる。
というか、柵の中は家畜たちでいっぱいになってしまい、手狭に感じられほどになっていた。
それそろ牧場を拡張しないとな……と思っているうちに、例の取材の日がやって来る。
当日は補習を言い渡されたので、俺は早朝からサー・バイブ先生とつきっきりで、授業という名のしごきを受けていた。
それは夜遅くまで続き、クタクタになって家に戻る。
家の前ではキャンプファイアーのような焚火が焚かれていて、大勢の人影があった。
何事かと思って近づいてみると、そこには、いつも農作業を手伝ってくれている、顔なじみのメンバーが勢揃い。
みんなは俺が帰ってきたことに気付くと、嬉しそうに顔をほころばせ、そして一斉にひれ伏した。
「おいおい、いったいどうしたんだ? こんなに大勢で、あらたまって……」
すると、先頭で伏していたモナカとコトネが顔をあげる。
ふたりは焚火の炎を映したうるんだ瞳を、夕陽のように燃えあがらせながら言った。
「レオくん!」「お師匠様っ!」
そして、彼女たちの背後にいた者たちが続く。
「僕たち、私たちは……! 『レオピン親衛隊』に、なりましたっ……!」
「え……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」
いつもはみんなを驚かせている俺が、みんなに驚かされてしまった。
「それってもしかして、『連盟』を……!?」
「はいっ!」とピッタリ揃った返事が返ってくる。
「ええっ? でも『連盟』の結成には、校長の承認が必要のはずだろ……!?」
あの校長が、俺との連盟を認めるだなんて到底信じられない。
モナカとコトネが興奮気味に、しかし姉妹のように息のあった連携を繰り出した。
「はい! 本日、校長先生にお願いして、正式に認めていただきました!」
「これでわたくしたちは、晴れてお師匠様にお仕えすることができるようになったのです!」
どうやらこの調子だと、モナカとコトネが主軸となって動いたらしい。
「あの校長を認めさせるだなんて、いったいなにをやったんだ……?」
そうつぶやきながら、俺はチラリと付き人たちを見やった。
オネスコ、シノブコ、トモエの3人組は、しぶしぶといった様子で土下座している。
全力で反対する立場のあのトリオが、黙っているということは……まさか、本当に……!?
「でも、無職の俺なんかと連盟を組んで、本当にいいのか? モナカとコトネは、家柄に傷が付くんじゃ……」
「レオくんは、傷なんかじゃありません! お姉ちゃんもきっと、わかってくれると思います!」
「たとえ家の者が反対したとしても、わたくしたちは決めたのです! お師匠様に、お仕えしようと!」
「「もうこれ以上、あなた様が認められないのは嫌なのですっ!!」」
「わたしはみんなに伝えたいんです! レオくんはこんなにすごい人なんだ、って!」
「お師匠様は、貴族や王族の方々よりも……勇者様や賢者様よりも、尊敬に値するお方ですっ!」
東と西、ふたりの聖女は鬼気迫る勢いだった。
名家の人間というのは、自分の名を挙げることだけに必死で、勇者や賢者とくっつきたがるのが普通だ。
しかし彼女たちは無職の俺のために、こんなに一生懸命になってくれている……。
そういえば、こんな少女が、もうひとりいたな……。
俺は、ソイツとの約束を思い出す。
気付くと、コトネがひしっと、俺の足にすがりついていた。
「お願いです、お師匠様……! わたくしたちを、お師匠様のおそばに置いてください……!」
少し遅れて、モナカがおずおずと、俺のズボンの裾をきゅっとつまむ。
「それとも、ご迷惑ですか……? レオくんは、わたしたちのことが、お嫌いなのですか……?」
今にも泣き出しそうなふたりの頭に、俺はポンと手を置く。
「そんなわけはないさ。ふたりとも、いろいろ大変だったんだろう? 俺のために、本当にありがとうな」
ふたりが家柄も世間体も捨てて、ここまで勇気を振り絞ってお膳立てしてくれたってのに……。
それに手を付けないんじゃ、男がすたるってもんだ……!
俺は顔をあげ、高らかに宣言する。
「よぉし、お前たちの勇気、確かに受け取った! 今日からお前たちは、俺の正式な仲間だっ!」
「「れ……レオピン様っ!」」
涙をあふれさせながら、俺の腰に抱きついてくるモナカとコトネ。
伏せていたみんなは、燃え上がる炎のように顔を起こす。
「あ……ありがとうございますっ! レオピン様っ!」
俺と心をひとつにするかのように、声を揃える仲間たち。
すると彼らの背後にあった俺の家が、燃える炎に負けないほどの輝きを放ちはじめた。
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拠点
LV 9 ⇒ 10
規模 ちいさな牧場と訓練場 ⇒ ちいさな村
人口 1 ⇒ 72
眷獣 3
傍人 71 ⇒ 0
家畜 馬14 鶏35 牛11 ヤギ16
拠点スキル
活動支援
拠点拡張
拠点防御
農業支援
第二の故郷
眷獣支援
料理支援
畜産支援
安住の地
訓練支援
NEW! 村長就任
代表者に『村長』の肩書きが与えられる
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そして、いままでになかった現象が起こる。
輝いていた俺の家、その光の粒子が天の川のように、俺の身体を包みはじめた。
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レオピン
NEW! 肩書 村長
職業 調教師
LV 22 ⇒ 23
HP 2510
MP 2510
ステータス
生命 251
持久 251
強靱 251
精神 251
抵抗 251
俊敏 251
集中 251
筋力 251
魔力 251
法力 251
知力 251
教養 251
五感 251
六感 251
魅力 1
幸運 5
器用 600 ⇒ 700
NEW! 村長
NEW! 村長令
100人までの村人に、20パーセントの能力ボーナスを与える命令を出せる
NEW! 追放令
村人を追放する
転職可能な職業
生産系
木こり
鑑定士
神羅大工
石工師
革職人
木工師
魔農夫
陶芸家
菓子職人
花火職人
裁縫師
パン職人
漁師
NEW! 魔贋作師
探索系
レンジャー
トレジャーハンター
地図職人
地脈師
戦闘系
戦斧使い
ニンジャ
武道家
罠師
調教師
ギャンブラー
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