11 オートメーション
11 オートメーション
俺は『センタタキの塗り薬』を作るのを楽にするために、水車を作り上げる。
それだけでなく、コムギソウの製粉を楽にするために製粉小屋へとカスタマイズしていた。
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ギスの自動製粉小屋
個数1
品質レベル120|(素材レベル214+器用ボーナス5+職業ボーナス18+限界ペナルティ117)
高品質なギスの木材で作られた、自動製粉小屋。
脱穀、製粉、ふるい分けを全自動で行なう。
各種ボーナスにより、高速かつ高水準での製粉が可能。
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そう、これさえあれば、あっという間にコムギソウを小麦粉にすることができるってわけだ。
『限界ペナルティ』というのが付いているのが気になったが、レベルは100オーバーと、かなり超高品質な仕上がり。
さて、その素晴らしさがどれほどのものか、さっそく試してみるとするか。
マーチャン、ペイパー、校長、教頭、みなが唖然として立ち尽くしているなか、俺は水車の動きを止めていたストッパーを一気に外した。
……ごごごごごごごごごごごごごーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!
まるで凍っていた巨人が息を吹き返したかのように、回り始める水車たち。
それにあわせ、巨人の内臓のような機械たちが、脈動するように活動を開始した。
水車小屋のあちこちで、ウインウイン、ガチャガチャと賑やかな狂想曲が奏でられはじめる。
俺は荷車に積んでいたコムギソウの束を水車小屋の中に運び込み、スタート地点である脱穀機の前に立つ。
脱穀機というのは足踏み式が一般的だが、コイツは水車の力で自動的に輪転するスグレモノだ。
「あとはここに、コムギソウを乗せれば、っと……」
……バリバリバリバリッ!
毛を刈るような勢いで、コムギソウはつるっぱげの1本の茎になった。
実や枝は、脱穀機の下にあるベルトに落ち、ゴトゴトと次の工程へと運ばれていく。
マーチャンとペイパーが「「ああっ!?」」と同時に叫んだ。
「あ、あれはもしかして、魔導ベルトコンベア!?」
「ぱ……パアッ!? ば、馬鹿な!? 魔導ベルトコンベアといえば、王都の最新鋭の工場にしか、導入されていないんだぞっ!?」
「そうみたいだな」と俺は答える。
「小学校のとき、社会科見学で工場に行ったことがあって、そこで見たことがあるんだ。
試しに作ってみたんだが、思ったよりうまくいったよ」
そうこうしているうちに、コンベアで運ばれたコムギソウの実は、『もみふるい』にかけられる。
粒の小さい実だけが下のコンベアに落ち、ふるいを通れないもみがらは、やがてふるいの枠から落ち、コンベアの外側にある箱にたまっていく。
しっかりと実だけが選別され、最終工程へと向かう。
回り続けている石臼に吸い込まれた実は、ガリガリと粉砕され、粉となって最後のコンベアに乗った。
最後のコンベアはスタート地点に戻ってくるようなルートになっている。
俺の隣にある木の受け皿に、小麦粉がどばどばと溜まっていく。
それは砂金と見まごうほどに、美しく光輝いていた。
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小麦粉(ハイクオリティ)
個数1000
品質レベル51|(素材レベル31+均一ボーナス10+クオリティボーナス10)
コムギソウの種子を挽いた粉。食用となる。
各種ボーナスにより、食べると幸せな気持ちになれる。
どの調理法でも調理ボーナスが付き、調理に失敗しなければ食事効果が付与される。
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「えっ……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」
『自動製粉装置』で作られた小麦粉は、なんとハイクオリティ。
輝く小麦粉がベルトに乗って、俺のそばまでやってきて、黄金の山を作り上げていく。
その様はまるで、巨大な金脈を掘り当てた鉱山よう。
周囲はゴールドラッシュに沸いていた。
「えっ!? えっ!? えっ!? えええっ!? うそうそ、うそでしょ!?
ハイクオリティの小麦粉なんて、王様への献上品でしょ!?
それなのに、なんでっ!?」
「ペイッ!? ほ……本来は、世界最高峰の小麦粉を、宮廷専属の『製粉職人』が手作業で製粉して、ごく希にしかできないのに……!?
こっ、こんなボロ小屋で、作れるわけがないっ!?」
「こ、これ、お金にしたらいくらになるの!? いくらになるのぉーーーーーーっ!?!?」
製粉小屋の中はすっかり大パニック。
俺はそんなことよりも、すでに別のことが気になり始めていた。
……このままじゃ、受け皿がいっぱいになるな……。
コムギソウをぜんぶ粉にすると、およそ3.5トンになる計算だ。
このまま続けたら、この小屋が小麦粉で埋まっちまだろう。
受け皿がいっぱいになったら水車を止めて、別のところに移し替えるという手もあるが……。
正午までに製粉を終わらせるとなると、なるべく水車は回しっぱなしにしておきたい。
なにか、いい手はないものか……。
そう思った瞬間、俺は渡りに船のごとくレベルアップの光に包まれていた。
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レオピン
職業 大工
LV 19 ⇒ 20
HP 1010
MP 1010
ステータス
生命 101
持久 101
強靱 1001
精神 101
抵抗 101
俊敏 1001
集中 101
筋力 101
魔力 101
法力 101
知力 101
教養 101
五感 101
六感 101
魅力 1
幸運 5
器用 600 ⇒ 700
器用貧乏
器用な成長
器用な肉体
器用な転職
NEW! 器用な足指
絶対防御『不動』
転職可能な職業
生産系
木こり
鑑定士
神羅大工
石工師
革職人
木工師
魔農夫
陶芸家
菓子職人
花火職人
NEW! 裁縫師
探索系
レンジャー
トレジャーハンター
地図職人
地脈師
戦闘系
戦斧使い
ニンジャ
武道家
罠師
調教師
ギャンブラー
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「ついにレベル20の大台か! 『器用貧乏』のスキルが増えてるぞ!」
俺は喧噪のなかでひとりごちつつ、さっそくそのスキルの効果を確かめてみる。
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器用な足先
器用さを活かし、足の指が手先のように器用になる
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「これは要は、足をもうひとつの手として使えるようになるってことか……?」
もしそうなら、座ってするタイプのクラフトの作業効率が倍になるな。
そして俺は、製粉小屋でいっぱいになった小麦粉をどうしようか悩んでいたのだが、まさにおあつらえ向きの職業が得られた。
「『裁縫師』か。これがあれば、一気に問題解決だな……!」
俺は小屋のなかにあった、大小ふたつの木箱を机と椅子がわりにして、脱穀機の前に陣取る。
そして『器用貧乏』の『器用な転職』を発動、さっき得たばかりの職業に転職した。
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職業 木工師 ⇒ 裁縫師
職業スキル
ソフトシーム(アクティブ)
糸や植物を編む
ハードシーム(アクティブ)
木材や金属を編む
刺しゅう(アクティブ)
布に細工を施す
手芸(アクティブ)
布で小物の作成する
裁縫(アクティブ)
布で衣類を作成する
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「よーし、さっそくやってみるとするか。ちょうど材料もあるしな」
脱穀の様子を横目でみつつ、俺はもうひとつの作業を開始した。
コートのポケットから『ギスの木槌』を取りだし、脱穀済みのコムギソウをトントン叩いて柔らかくする。
柔らかくなったところで、コムギソウどうしをより合わせ、1本にまとめれば……。
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ストロープ
個数1
品質レベル58|(素材レベル31+器用ボーナス7+職業ボーナス20)
乾燥させたコムギソウをより合わせ、1本の縄にしたもの。
各種ボーナスにより、通常のストロープよりも丈夫で切れにくい。
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マーチャンがいぶかしげに尋ねてきた。
「……それってもしかして、ロープ?」
俺は「ああ」と答えながら、脱穀機に新しいコムギソウをセット。
脱穀を終えたばかりのコムギソウを、2本目のロープとして編んだ。
「コムギソウからロープが作れるだなんて、知らなかった……。
もしかしてこれも、編み物の一種?」
「ああ、『ストロー編み』っていうんだ」
「でもこんな時に、ロープなんて作ってどうするの?」
「袋を作るんだよ。受け皿の小麦粉があふれる前に、袋に詰め替えて外に運び出すんだ」
となりで淡々と積み上がっていく小麦粉は、すでに俺の座高くらいの高さになっている。
「あ……なるほどぉ……!」
マーチャンが感心しているうちにロープができあがったので、今度はそれを『ストロー編み』、すなわち『ソフトシーム』のスキルで編み上げていく。
長い紐だった『ストロープ』は、一枚の生地になった。
「よし、これで完成だ……!」
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ストロクロース
個数1
品質レベル85|(素材レベル58+器用ボーナス7+職業ボーナス20)
ストロープを編み上げて作った布。
各種ボーナスにより、通常のストロクロースに比べて丈夫で、保温性と通気性にすぐれている。
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