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私が愛してと言ったから2


首には赤い点があった。

気づいたのは『あの人』と合わなくなった3日後のことだった。


「なんだろう……注射痕?」


もう、痛みは無かった。


『あの人』が帰ってくるのは3ヶ月後だった。


15年前……確か、私が9歳だった頃……

父親は蒸発した。


子供だった私は父親が消えたということがどういうことか分からなく母親に「いつ帰ってくるの?」って何回も聞いてた気がします。


「もう、いいじゃない……あの人のことなんか……」


泣いていた母親を知っていた。見ていた。

ただ、見たくなくて同じ質問をした。


『いつ、帰ってくるの!?』


「うるさい!!!あんたも私を必要としてないんでしょ!!!あいつのところに行けばいいでしょ!?」

母の声は震えていた。


父親が消え、母親も消えた。

それは私の家族を知らない他人が、赤の他人が、

いや、血の通ってない赤じゃない他人が通報した。


「すみません。児童相談所です。」


そこからは暴れた。

『やめて』とか『私の子よ』とか『あなたも消えるの?』とか……

来るなら、もっと早く来て欲しかったよ。


11歳の誕生日……私は施設に送られた。


私の子供の記憶はこれ以上ない……

これからは私の大人の記憶……

大人になりたい子供の記憶……


『セックス』それは子供を作る行為

中学生になって知った。


でも、中学生の私にはそんなのどうでもよかった。

ただ、愛されたかった。


若さと言うのは残酷なもので少しのお金で私は買われた。

もちろん、施設から逃げるように夜から逃げ施設の人が起きる朝には帰ってきた。

寝る時間は数時間で子供と大人の半人前の身体にはその睡眠量は足らなかった。


ただ、愛されたかったと言うだけで……

中学3年になる頃、おじさんに買われた。

買われたというのは語弊ではあるが私の中では同じことだ。


施設暮しと言ったのが悪かったのか?

子供を作らなかったのが悪かったのか?

少ないお金でピルを飲んだのがいけなかったのか?


私は何をして生きるのか、何のために生きるのか、

分からないまま出ていった。


「おじさん……」

熱く握った手はゆっくりと離れておじさんは言った。

「おじさんもそういうことをしていた。だから、罪滅ぼしという訳では無いけどもう、そういうことはしないし好きな人として欲しい」

おじさんは何故か悲しそうだった。


「私、おじさん好きだよ」


ゆっくり逃げる手を掴んで私は言った。

あの親のようにまた捨てられるのではないか?

その恐怖だけでいっぱいだったから


「強がらないでいい……我慢をしなくていい……無理だけはしないでくれ……」

強く痛いほどに抱きしめられた。


おじさんは泣いていた。






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