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愛すべき偶像よ。2


それは、中学生の頃だった。

食卓に少ないが肉刺しが出てきた。


これは『馬刺し』と言われ食べた。

その『馬刺し』は美味しかった。


嗚呼、美味しかった。食べた『馬肉』は冷たくて……

ただただ、美味しかった。


「おい、お前さぁ、うぜぇんだよ!!!」

そいつは二本足で立っていてた。頭から首にかけて『たてがみ』が生えていた。顔は前に出ていて一般的に馬と言われるような顔立ちだった。手は無く腕の先は硬かった。きっと、『ひづめ』なのだろう。


俺は『たてがみ』を引っ張り路地裏に連れ込んで殴った。


こいつは『第二種』の『キメラ』だ。

『馬肉』としてあの頃に食べてたんだからこいつは『家畜動物』の『キメラ』だ。


壁に打ち付け顔をボゴボゴになるぐらい殴った。


だって、俺だって殴られたから……

殴られてたんだから、俺は、『キメラ』を虐めても……


「……いいんだよ。俺は、俺様は!!!『人間様』なんだよ!!!」


ボロボロな馬の顔を一発殴り言葉を発しまた、一発殴り言葉を発しを続け涙がボロボロ零れた。

「俺は、『人間様』だから、お前らが、言う、『人間様』、だから、殴っても、殴っても、俺の、痛みを、知れ、知ってくれよ……」


顔を殴るにつれ拳が赤くなり馬に、『キメラ』に言われた。


「僕を殴って痛くないの?」


痛いのはお前だろ。なんで、痛いも言わずに俺の心配するんだよ。

お前もナメてるのか?クラスのやつらみたいにお前も俺を!!!


「……うるせぇ」

痛くないわけじゃない。めちゃくちゃ痛い。

だけど、拳の痛みよりか心の痛みを無くしたかった。


ボロボロな馬の『キメラ』を後にして帰った。

顔をタユンタユン揺らしながらお腹もタユンタユン揺らしながら顔がぐちゃぐちゃになるほど涙が出た。


その日を最後に学校を休んだ。

学校なんて知るか、親なんて知るか、


……『キメラ』なんてキメラなんて知るか!!!




数週間経った。

「みんな、学校行ってる」


『おい、ブタ』『消えろよ。邪魔』『死ねばいいのに』


『僕を殴って痛くないの?』



「痛いよ……」

布団にくるまっている俺は腕が……というより心が痛かった。


それも、これも、全部、全部、俺を虐めたやつのせい

キメラを殴っても俺は許される。


だって、俺は……キメラが恐れる『人間様』なんだから


それだって、俺を虐めたやつがいなかったらキメラを虐めることなんてなかった。



殴ることなんか無かったんだ。

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