表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の心はおじさんである【書籍漫画発売中!】  作者: 嶋野夕陽
14章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1406/1571

ヨンの装備

「よし行くぞ、すぐ行くぞ」


 他の冒険者を蹴散らさん勢いで歩き出したヨンだったが、入り口付近で背の高い冒険者にぶつかって尻もちをついた。あまりにもフィジカルが弱すぎる。


「あ、くそ、どけ、どけってば、俺たちが見つけたんだぞ」


 一生懸命かき分けようとしているが、どうにも上手くいかない。


「なんだてめぇ、このガキ」

「誰がガキだ、ぶっ飛ばすぞこの野郎」

「あ、お前、ヨンか……」


 冒険者が面倒くさそうにつぶやいたところで、ジーグムンドが現れてヨンをつまみ上げる。


「すまん、うちのが」

「いや、怪我してたんじゃねぇのかあんたら」

「治った」

「治るわけないだろ、大けがって聞いたぞ。あんたらが怪我してるっていうから、皆遠慮なく遺跡に入っちまってるぜ。俺たちみたいなのだけならともかく、鶏共もどこで何を聞きつけたのか一攫千金狙って入ってるくらいだ」

「危ないと報告したはずなんだが」


 自分たちが怪我をして逃げ帰るような遺跡だ。

 ジーグムンドは、警鐘を鳴らす意味でギルドに報告をしたつもりだ。

 それがこれだけの賑わいになってしまっては逆効果である。


「いや、それは分かってるんだよ。だからこそ、街としても強い冒険者を送り込んで、そのやばいのが外に出てこないよう見張らなきゃいけないし、何か相当のもんが隠されてんじゃないかって話にもなるわけだ」

「死人が出るぞ」

「もう戻ってきてねぇ奴もいるさ。でも、冒険者なんてそんなもんだろ」


 そう言われると返す言葉もない。

 冒険者がまた遺跡の入り口に向かって行ってしまうと、ぶら下げられたヨンが騒ぐ。


「ジーグ! 急ぐぞ、絶対中を荒らしてる馬鹿がいるって!」

「……一応見つけにくい場所だし、中は広い。たどり着けた奴はそういないはずだ」


 そう言いながらもジーグムンドも気にはなっているようで、そのままハルカたちと共に人をかき分けて遺跡の中へ向かった。

 遺跡の中はひんやりとして少しばかり埃っぽい。

 人がたくさん分け入ったせいで空気が攪拌されているのだろう。


 通路は意外と広く、三人くらいは横並びになれるくらいある。

 入ってしばらくは光源が所々に取り付けられており、ランタンを使う必要がなかった。この辺りは入り口であり、あとから遺跡冒険者が掘って補強工事をした場所なので、そもそもまだ遺跡ではないようだ。


 やがて急に開けた場所へたどり着くと、壁の明かりがなくなって、あたりが一気に暗くなった。


「ここから先が遺跡になる」


 ハルカがいつもの癖でパッと光源を用意すると、ジーグは目を細めてヨンは思わず目を覆う。


「それ、めっちゃ明るいな。便利じゃん、点けといてくれよ」

「あ、はい、じゃあつけときます。必要な所は照らせますので、その都度教えてください」

「よしわかった、じゃ、急ぐぞ」


 先頭きって歩き出したヨンは懐から何かを取り出す。

 なんだろうと思ってよく見てみると、それは混沌領でコボルトたちが携帯していたのと同じ魔素砲のように見えた。


「それ……、使えるんですか?」

「ん、これなんだかわかるのか?」

「ええ、まぁ……、似たようなものを見たことがあります」

「へえええ、どこで見つけたんだ!? なぁなぁ!」


 魔素砲を片手に歩み寄ってきたヨンに、両手を上げて降参ポーズでハルカは一歩下がる。


「あ、いや、また今度話しましょう。今はほら、新しい遺跡の探索に行かないと……」

「あ、そうだった。でもそれ教えてくれよ。これ、行方知れずの父親の形見なんだよ。どこで見つけたか全然教えてくれなくてさ、探してんだよなぁ」

「そうなんですか……」


 ぼやきながら先頭に戻っていくヨン。

 もしかするとヨンの父親は混沌領に来たことがあるか、どこかでコボルトたちと知り合ったのかもしれない。

 不思議な縁であった。

 それにしても魔素砲は、古の科学者であり、コボルトたちの保護者であり、〈ノーマーシー〉の名付け親である能間譲が、コボルト専用でカスタマイズした武器のはずだ。

 ヨンが使えるということは、間に誰かしらが入ってカスタマイズしている可能性がある。日記によれば設計図は能間の頭の中にしかないはずなので、相当な頭脳の持ち主が絡んでいることは間違いない。


 あれらの武器が自由に使えるようになってしまうと、あまりよろしくないことが起こりかねない。今のところ他で魔素砲を見たことがないので、野心家が改造を施したのではなさそうなことは幸いだ。


 遺跡をしばらく進んでいくと、後方を歩いていたモンタナがぴたりと足を止める。


「モンタナ、どうしました?」

「……待つですよ」

「ん、なんだ、どうした、隠し通路見つけた?」


 なぜかワクワクしながら戻ってきたヨンに、モンタナは冷静に後ろを指さして答える。


「人、いっぱいついてきてるです」

「なんだと、このぉ!」


 すぐさま歩き出そうとしたヨンの服をモンタナが掴んで引き留める。

 サイズ感はあまり変わらないが、バリバリの前衛であり、身体強化がしっかりしているモンタナの力は意外と強い。


「あ、ちょっと、放せって。一言言ってやらないと」

「俺が行く」


 ジーグムンドがぬっと出てきて歩き出すと、その横に背の小さな影が一つ。

 レジーナがなぜか一緒に歩いている。


「俺が行く」

「うるせぇ」

「手を出すなよ」

「うるせぇ」


 暴れられそうな空気感には敏感なレジーナだ。

 何とかしてくれというジーグムンドの助けを求める視線もあり、心配になったハルカとその仲間たちも付いていく。すると後ろの方からヨンたちも付いてきて、結局全員で後をつけてきている連中の下まで向かうことになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ここで追い払う事に成功してもハルカの光源がある限り居場所がバレそうです。
障壁を通路にずっと張っておくのもありでしょう。
なかなか抜け目ない連中 冒険者はこうでないとな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ