85話 七章エピローグ
都内某所。外資系ホテルの一室。
薄暗いスイートルームの片隅で、一人の美女がパソコンを前に震えていた。
喜びで身震いが止まらなかった。
今までどれだけ手を尽くしても、なんの成果も得られなかった。どれほどツテを使っても、全く情報が得られなかった。
それなのにまるで、天啓と言わんばかりに有力情報が現れたのだ。それまでの真偽不明な情報とは、一線を画すような情報が現れたのだ。
まさに僥倖。
天は彼女を、見捨てなかった。
「あはっ……♡ あはは……あはははは……♡」
瞳を潤ませながら、熱のこもった眼差しをディスプレイに向ける。
シエル・アイスランドの姿に少しイラッとしたが、それでも彼女は、蕩けた表情で少年を見つめた。
「あは……あはは……楽しみ……♡ ここまでドキドキしたのは久しぶり……♡ ふへ……ふへへへへ……」
彼に出会ったら、まずは口づけを交わそう。
勿論、ライトキッスなんてお子ちゃまがするようなヤツじゃない。大人が繰り出す、見るものがドン引きするようなディープなキスをかまそう。
そして、その勢いで愛撫を始めるのだ。服の上から服の中へ、舐め回すようにネットリと。
感情が昂ぶってきたら、そのまま押し倒すのも面白い。多少驚くかもしれないが、彼女のような美女が抱きつけば、幾ら英雄とは言え、まんざらでは無い筈だ。
涎を拭いつつ、桃源郷へ向かっていた意識を現実へと引き戻す。
もう一度、ディスプレイに視線を戻した少女は、妖艶な笑みを浮かべた。
もう既に、この画像は保存済だ。
全国各地の探偵事務所に、調査依頼済だ。
金なら腐るほど持っている。富豪の財力を駆使し、全力で特定を進めてやる。
もはや時間の問題だ。特定が出来次第、直々に赴こう。
出会ってさえしまえば、あとは簡単。彼女の魅力には、誰も抗えないのだから。
「はぁ……早く連絡が入らないかなぁ……もう待ちきれないんだよ……早く私の存在を知ってほしい……」
長い銀髪に、大きな三白眼。たわわに実ったバストを揺らしながら、彼女はディスプレイを指で弾いた。
「シエルは本当に惨めね……彼も私に奪われるんだから……ふふ……あはっ! あはははははははは!! あははははははははははは!!」
仄暗いスイートルームの片隅で、美女はしばらく、高らかに笑い続けた。
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今回の流出がキッカケで、彼女を始めとする邪な連中が現れだした。
それまで半信半疑だった少年の存在が、完全に明るみになったからだ。
ネット上で噂される、少年に対する逸話。
まるでおとぎ話のような、英雄の存在。
そんな少年に、世界中の悪人が注目し始めたのである。
私腹を肥やすため。もしくは私利私欲を満たすために。
尋常じゃない数の好意と悪意が、四分咲タカシに集まりだした。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。また、たくさんの評価・ブックマーク・ご感想もありがとうございます。
皆様の応援のおかげで、ちょこちょこランキングにも載せてもらえました。本当にありがとうございます。うれしいっす。
ある程度お話しがまとまりましたら投稿を再開しますので、その際には宜しくお願い致します。
それとは別に、12月20日に販売する2巻について、加筆内容や特典についてご報告させていただければと思います。
まずは特典ですがSSを5本書かせて頂きました。内容については各話下部にあるリンクを特設サイトに差し替えておりますので、ご確認していただければと思います。
文字数の関係で、本書に載せられなかった内容や、生体兵の設定、戦地の様子なども書かせて頂きましたので楽しんでもらえればと。
ちなみに今回もサイン本を用意してもらいました。こちらについてはPASH様の公式Xにて随時案内予定となっておりますので、そちらをご確認いただければ幸いです。
次に加筆内容についてご報告いたします、加筆は、一巻同様、約2万文字ほど書かせて頂きました。
内容につきましては、約1章分ほどのサイドストーリーを書いておりますので楽しんで頂ければと。内容についても、それなりにボリュームがあるかと思います。
そして、コミカライズについても情報が解禁となりましたのでご報告致します。
コミックPASH!neo 様で12月23日に連載開始を予定しております。漫画家は沙和先生で、私のクセが強い作品を、高い画力でまとめて頂いた天賦の才を持った先生となります。
近日中に連載が開始されますので、是非ともご覧になって下さい!
最後にここまで応援して下さり、ありがとうございました。
無事に2巻が発売になりましたのも、ここまで執筆が出来たのも、全て皆様の応援があったからこそだと思っております。
本当にありがとうございます。
今後も楽しめる作品作りに努めますので、引き続きよろしくお願いいたします。
それでは( ゜Д゜)ノシ








