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『追放者達』、依頼を探す

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 ドヴェルグの工房で武具を受け取った『追放者達(アウトレイジ)』のメンバー達は、それらを装備して冒険者ギルドへと向かって行く。



 サイズ合わせの段階で、多少予想外のハプニングが発生した為に既に太陽は中天に近付きつつ在るが、それでもまだ朝と呼んでも間違いでは無い時間帯であるが故に、ギルドで装備の肩慣らしも兼ねて何か受けてみよう、と言う事になったのだ。



 そんな訳でギルドへと向かって歩いて行く六人と九頭へと、またしても周囲からの視線が注がれて行く。



 行きの場合は数日前に目撃された際の噂話が主軸となっていたが、今の彼らは絢爛と称しても間違いでは無いであろう豪華な戦装束に身を包んでおり、とてもでは無いが無責任な噂話の種にしても良い様な雰囲気を纏ってはいない。


 寧ろ、そんな事をすれば、されないとは頭では理解していても、即座に切り捨てられそうな気配すらしてきている為に、彼らには視線のみが注がれて行く。



 時折、Bランク程度の連中がそんな装備付けやがって生意気な!と言った風な破落戸や先輩風を吹かせた冒険者崩れが彼らに絡んで来ようとしたが、時に従魔達が挙げた唸り声による威嚇にて、時に男性陣がわざと放った殺気にて即座に戦意を粉々に粉砕されてしまい、実際に彼らへと絡みに行く前に無力化されてしまった為に騒ぎは起きずに済んでいた。



 おめかし(新しい装備)してドヤ顔をしながらすり寄って来る従魔達(ヴォイテクを含む)を適当にあしらいながら進んでいると、目的地である冒険者ギルドへと到着した為に、従魔達には入り口脇にて待機して貰い、アレス達だけで中へと入って行く。



 何時もの様に、他のメンバーは先に席を確保し、アレスが一人で依頼を漁りに行こうとするのだが、今回は『何故か』セレンもソレに同行すると立候補し、アレスも『何故か』ソレを拒まずに二人連れ立つ形で掲示板へと向かって行く。



 ソレを、生暖かな視線にてニヤニヤとしながら見送る仲間達へと殺気を込めた視線を送り(偶々近くにいた無関係な冒険者数名が巻き込まれて気絶した)ながら掲示板へと向き直り、張り出された依頼を物色して行く。




「……処で、今回は何を探すのですが?

 こうして着いてきたは良いものの、今回は装備の肩慣らしだ、と言う事しか私は聞いていなかった事に思い当たったのですが……?」



「…………あ、あ~、そう言えば、言ってなかったですね。

 今回狙うのは、取り敢えずは変な特殊行動を取らない、出来るだけランク高めで革が防具の素材になりうるヤツ、ですかね?」



「そうなりますと……必然的に討伐系でBランク以上と言う事になるのでしょうか?

 ……ですが、その様な依頼は、残されていない様な……?」



「……あちゃ~。これは、やっぱり出遅れた、ってことかねぇ。

 まぁ、流石にアレだけ寄り道して時間を食ってればこうもなる、か……」



「…………そ、それにつきましては、大変申し訳無く……!」



「……いや、俺も不用意な事を言ってしまって申し訳無い。

 誰にでも、アクシデントと言うモノは在るのだから、あまり気にしない様にして下され」



「…………はい……」



「……さて、そうなると、ちょっとどうしようか困ったな……。

 このまま『何も無かった』って事にして皆の元に戻るか、それともダメ元で聞いてみるか……」



「では、聞くだけ聞いてみるのは如何でしょうか?

 丁度、普段から担当して下さっているシーラ様が担当しておられるブースが空いた様ですし、行ってみませんか?」



「……そう、だな……。

 じゃあ、取り敢えず聞いてみて、それでも良さそうなのが無ければ、今日は適当な依頼で小金でも稼ぐとしましょうか」



「はい!」




 途中で罪悪感を感じていた様子であったセレンだが、アレスの取り成す言葉で思い直したらしく、以前と変わらぬ柔らかな微笑みを浮かべ始める。



 ソレを見た途端に跳ね上がる鼓動に戸惑いつつ赤面し始めているのを隠す様に、彼女が指摘した通りに空いていたシーラのいるブースへと向かって行く。



 すると、向こうも暇をしていたらしく、彼らに気が付くと手を振ってこちらに来るように、とアピールすると同時に、普段は一人で来るハズのアレスの隣に人影が在る事に驚いている様子であった。




「ようこそ、冒険者ギルドへ!アレス様、お久し振りですね!それと、今回は珍しくお一人では無いのですね?どの様なご用件でしょうか?」



「いや、今回は偶々、一緒に見に行く、って言い出しましてね?

 それと、また何か良さそうな依頼の紹介をして貰っても良いですかね?

 こちらの出す条件に合致するヤツなら、多少面倒な相手でも構いませんので」



「……ふむ?と言う事は、先日の依頼で手にされた装備が、ここ数日にて完成したのでその肩慣らしに、と言った所でしょうか?

 ついでに、使った素材の補給も出来ればそれに越した事はない、と言う感じですか?」



「……ノーコメントで。ただ、概ね外れてはいない、とだけ言っておきましょうかね。

 ついでに、手に入る素材は革系統なので在ればソレをお願いしたいんですが、今在りますかね?」



「ランクの方は、高ければ高いほど良いそうですので、私達で受けられるモノであればその中でお願い致します」



「了解致しました!

 では、少し探してみますので、失礼致します」




 そう会話を打ち切ってから、軽く頭を下げて奥へと引っ込んで行くシーラ。


 しかし、離れ際に彼らへと向けられた瞳の奥には、確実に好奇心の光が灯されており、何か聞き出されるのでは無いのか?と、内心嫌な予感がアレスの脳裏を過っていた。



 とは言え、そんな事を表に出す事は出来ないし、必要も無い為にセレンと他愛も無い事を二三話して時間を潰す。



 すると、またしてもあの時と同じ様に、古くなって変色しているモノや、まだ真新しく見えるモノも一緒くたにされているバインダーを、シーラが抱えて受付へと持ってきた。



 その紙量に相応の重さが在るらしく、重そうな音を立てながら、カウンターへとバインダーを下ろすシーラ。



 うっすらと埃すら被っている様にも見えるソレを捲り、中身を改めて行くが、とある箇所にて手を止めると、開いていた部分の用紙を外してアレスとセレンへと手渡して来た。




「提示された条件に照らし合わせますと、こちら等どうでしょうか?

 ランクはA。対象は『森林剛猿(グレートウータン)』。依頼内容としては、東側に在るフルフーレ山の中腹に出没し始めた『森林剛猿(グレートウータン)』の群れの殲滅。人里から離れている事から、緊急性は無い、との判断で掲示板に張り出されていなかった依頼ですが、どうでしょうか?

 ちなみに報酬は、『森林剛猿(グレートウータン)』一頭に付き金貨一枚出されるみたいです」



「……流石に、今回は『騙して悪いが……』って依頼じゃないですよね?」



「それは、大丈夫です。今回の依頼主は冒険者ギルドですので。

 偶々発見した冒険者からもたらされた情報が元になっての依頼ですので、間違いは無いハズですし、報酬の踏み倒しも心配しなくて大丈夫なハズです。

 …………ですが…………」



「…………ですが?」




 不自然に言葉を切ったシーラに、続きを促すアレス。



 言うべきかどうするべきか、と悩んでいる様子のシーラであったが、既に当事者候補から促されてしまっている上に、コレは()()()()()()()()()()()()()であったが為に、若干渋りながらも続く言葉を口にするのであった。







「…………実は、未確定で不確実な目撃情報しか無いのですが、アルカンターラ東のフルフーレ山の奥地にて、ドラゴンが目撃された、との情報も寄せられておりまして……」








……おや?何やら不穏な情報が……?


面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価等にて応援して頂けると励みになりますのでよろしくお願い致しますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 猿にしても◯天大◯とか、竜にしてもバハ◯ー◯何か二つ名を持っていそうな。気のせいか?
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