表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/220

『追放者達』、神鉄鋼傀儡と決着を付ける・前

長くなったので前後編に分けてみました

なので、何時もと比べると少し短いです


それと、誤字報告や評価等による応援感謝です(^^)

皆様の応援が励みになっておりますので、これからもよろしくお願い致しますm(_ _)m

 



「……良し、行ってくれたな……」




 目の前の『セイバー』と切り結びながら、横目で指示を出した女性陣がキッチリと行動を開始してくれた事を確認したアレス。



 幾らリーダーとして他の人員を纏め、指示を出す事に最近は慣れてきたとは言え、各自で判断せざるを得ない現在の様な状況下に於いて、自らの指示に従ってメンバーが動いてくれるのか、と言う事は今までに経験が無かった為に、若干ながらも不安が残されていたのだが、どうにかアレスの言葉に合理性を見出だしてくれたらしく、彼の指示に従って行動を始めてくれた様子だ。



 そうして内心で安堵感を噛み締めていたアレスだったが、状況はやはり好ましいとはお世辞にも言え無い状態に在る。


 何せ、相手は生物としての身体も持たず、疲れも知らない傀儡(ゴーレム)だ。


 そもそも弱点であるコア以外の負傷には極端に強い上に、身体全体が物理・魔法耐性の極端に強い神鉄鋼(オリハルコン)で出来ている為に、生半可な攻撃ではそもそも碌に傷すら付く事が無い。



 おまけに、外観としては『人』と同じ形をしている癖に、その関節は同じ作りになってはいないらしく、何処ぞで教えられている正当派剣術(『スキル』としてではなく『技術』として習得する類いのモノ)の様なモノを扱いながらも、時折人間では不可能な動作にて攻撃や防御すら行って来るのだから厄介に過ぎる相手だと言えるだろう。


 それは、別の個体を相手にしているヒギンズにも言える事であり、こうして攻撃を担う前衛である二人が引き付けられている限り本体を倒す事は難しいと思われる上に、向こうには修復能力も在るので時間は彼らの敵である、とも言える。



 それ故に、と言う訳でもないが、上半身を丸ごと回転させながら下から掬い上げて来る様な斬撃を紙一重で回避し、コアを狙って繰り出した突きの応酬を盾で防がれてしまったアレスは、これまで使って来なかった、『剣士』としての切り札ではなく(・・・・)、『暗殺者』としての切り札を切る決断を下す。



 決めたのならば早速、と言わんばかりに、ソレまでは短縮で行っていた魔法の詠唱を完全に破棄し、所謂無詠唱の状態で目の前の『セイバー』の顔面へと発動させる。



 当然、詠唱短縮だけでも威力は多少落ちる(練度によって抑えられる)のに、ソレすらも破棄しての魔法行使である上に相手は総神鉄鋼(オリハルコン)製である為に、ノーモーションで頭部を爆炎で包み込んだとしても、多少煤ける程度で大したダメージは入っていないし、感覚器と見られる切れ込みも潰す様な事も出来てはいなかった。



 しかし、その一瞬にて視界を遮る事が出来たのも事実であり、同時にアレスの狙いその物でも在った為に、特に躊躇う様な事もせず姿を隠す『ハインド』のスキルを発動させる。



 視覚的に認識され難くなる(練度によっては視認『されなく』なる)スキルによって姿を隠したアレスだったが、その上でもまだ彼の姿を捉えられているのか、未だに纏わり付く爆炎を切り裂きながら手にした得物を正確に振るって来る。



 …………狙い通り……。



 そう内心で呟きながらほくそ笑んだアレスは、その場に自らの魔力の塊を置いて気配として残しつつ、自らは魔力を外界から遮断して感知出来ない様にしてからその場にしゃがみ込み、振るわれた刃の軌道から対比する。



 すると、刃の向きが修正される事は無く、寸前まで彼の身体が存在し、現在は魔力と気配のみが残されている何も無い空間を『セイバー』が振るった刃が素通りして行く。



 確かにその場所に相対していた相手が存在していて、確実に手にした刃で切り捨てたハズなのに、振るった刃には何の手応えも返って来なかった。



 そんな矛盾が発生した事により、一瞬だけ思考停止に追い込まれ、動きを止めてしまった『セイバー』。



 当然、狙ってソレを行ったアレスが刹那にして絶大なるその隙を逃すハズも無く、瞬時に練り上げた魔力を手にした得物へと纏わせると、しゃがんでいた姿勢から延び上がる勢いも利用した全身の筋力による急加速にて真っ直ぐに刃を突き出し、無防備に剥き出しとなっていたコアを突き貫く!



 攻撃動作を取った事により、自動的に解除された『ハインド』によって徐々にその姿を顕にするアレスを、無機質で目が存在するのかも定かでは無い顔にて見詰めていた様な気もする『セイバー』だったが、真っ直ぐに突き入れられた刃をこじる事でコアが砕かれ、その場に駆体の元となった部品へと逆戻りしてしまう。




「……ふぅ。名付けて、『暗殺剣・虚身(うつせみ)』って処かね?

 まぁ、構想は前からしてたとは言え、ぶっつけ本番で上手く行ってくれて助かったよ。まぁ、その分得物へのダメージが大きかったみたいだけど、今日位はどうにかなるだろ。

 さて、次々」




 姿は隠しつつ気配は残しておき、ソコを相手に攻撃させて空振りさせ、出来た隙を突いて確実に仕留める。


『暗殺剣』と銘打っておきながら、その実として真っ向からの斬り合いの最中にしか使えないであろうその技の完成度と、既に幾年と使い込んだかの様にボロボロになりつつある得物を目にし、思わず溜め息を溢しつつも、ちゃっかりと足元に積み上がった神鉄鋼(オリハルコン)は回収してから手近なヒギンズの援護へと回るアレス。



 しかし、そうして援護へと回りはしたものの、既に八割方勝負はヒギンズが詰めている状態であり、本格的な参戦は無用と判断したアレスはより迅速な撃破へと至らせる為にヒギンズを支援する事に決める。



 ……そう、より具体的に言うのであれば、得物を振りかぶっている『バスター』の背後へと気配を消して歩み寄り、そのまま膝カックンを仕掛けたり。


 大剣を振り回している最中の軸足に対して足払いを仕掛けたり。


 ヒギンズが対処の仕方を間違えた攻撃に対して魔法をぶつけ、一瞬だけタイミングを遅らせる事で助けたり。


 ヒギンズが決め技と見られるモノで勝負を仕掛けた際に、わざと真後ろで気配を解放して注意を引いたり、と言った具合だ。



 それにより、より安全かつ確実に『バスター』のコアを破壊する事に成功したヒギンズであったが、その表情は『微妙』の一言に尽き、確実に




『あのまま背後から奇襲していれば、オジサンが倒さなくても勝ててたんじゃないのかなぁ……?』




 と考えているであろう事が容易に予想出来た。



 だが、あのままヒギンズに任せていた方が確実に、かつ速やかに戦闘を終わらせる事が出来る、と判断しての行動であった為に、特に悪びれる事も無く、謝る様な事もせずに涼しい顔を続けるアレス。



 そんなアレスの様子に、溜め息を一つ吐きながら、それでも『仕方の無いリーダーだなぁ』と言わんばかりの優しい瞳にて無言のままにアレスの頭をクシャリと撫でると、未だに本体との激戦を続ける仲間の元へと加勢すべく、二人揃って駆け出すのであった。

さて、後は本体を残すのみ

果たしてどうなる!?


面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価等にて応援して頂けると励みになりますのでよろしくお願い致しますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ