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『追放者達』、環境を整える

ここ最近、見た覚えの無い勢いでPV・ポイント共に上昇して来ております


こんな拙い作品を応援して下さる皆様に感謝ですm(_ _)m

 



「……さて諸君。こうして、我々の拠点たる家屋を手にした訳なのだが、こうしたい・ああしたい、と言った意見は在るかな?

 今ならば、まだギルドにたいするワガママとしてごり押しする事も出来なくはないぞ?どうなのだ?うん??」



「……リーダー、そのキャラ付け、似合っておらぬから止めた方が良いぞ?」



「……私は、嫌いでは無いですが……」



「ぶっちゃけ変」



「なはは、オジサンはノーコメントかなぁ~」



「なのです!」



「おい!?反応が酷いな!?

 と言うか後半二人!?直接的な批判が無いだけで、むしろ他の三人よりも酷いぞ!?」




 ギルドからの調査隊も帰還し、正式に物件を己のモノとした『追放者達(アウトレイジ)』のメンバー達は、各自で泊まっていた宿へと一旦引き返し、私物を回収して部屋を引き払ってから再度集合したのだ。


 ……したのだが、全員を荷物を置く様な時間も与えずにリーダーたるアレスが号令を下して食堂へと集め、意味深に口を開いてから一番最初に飛び出して来た言葉であった為に、他のメンバーからは中々に辛辣な反応が返って来た、と言うのがこれまでの流れであった様子。



 とは言え、幾らアレスがトンチキな事をやり始めたとしても、そこには必ず意味が在るハズだから、と言う事で、各自で荷物を下ろしに行く事もせずに食堂に据えられていた椅子へと腰掛けるメンバー達。




「……それで?突然にその様な事を口走り始めたと言う事は、それなりに変わった事、困った事が起きたと言う事であろう?ソレを言って貰えねば、当方らとしてもどう対応すれば良いのか分からぬぞ?」



「そうです!私達は『仲間』なのですから、何かお悩みでしたら遠慮無く仰って下さいね?

 ……まぁ、私としましては、『仲間』以上の関係になる事も、吝かではゴニョゴニョ」




 確かな信頼と共にそう口にする二人へと視線を向け、その後何故か気まずそうに逸らしてから再度アレスは口を開くと、パチリと指を鳴らして見せる。




「……いや、そんなに大層な話じゃないんだけどさ?

 こんな感じ(・・・・・・)で色々と弄れる様になったみたいだからさ?何か希望があれば聞くけど?って程度の事なんじゃよね……」



「……この程度って、一体何をしたのよ?指鳴らしただけでしょう?」



「…………いや、タチアナちゃん。これって、結構ヤバい事だとオジサン思うんだけど……?」



「……は?アレの何処がよ?

 と言うか、一体何処を、見て…………!?」




「「「「「「「「…………くぅん……?」」」」」」」」




「「「「…………はい?」」」」




 ヒギンズが背後、何も無いハズの食堂壁へと視線を固定し、驚きに満ちた声を挙げていた為に、ソレに釣られる形で視線を向けたタチアナ。



 そんな彼女の視線の先には、予想の通りに漆喰で塗り固められた様に見える白い壁……だけでなく、何故か外へと繋がっている様に見える、大きなアーチを描いている勝手口の様なモノが出来ていた。



 一見、その勝手口の先は建物の裏庭に繋がっている様にも見えるが、元ダンジョンと言う特殊な環境と、まだ完全には見て回っていないし、何よりまだ手を入れていない為に荒れ放題となったまま、と言う事情から断言は出来ない。



 ……が、確実にそれまで見えるハズも無かった光景であり、異常事態である事は間違い無いだろう。



 そんな光景が広がっていたが故に自らの目を疑い放心していたタチアナだったが、外で放し飼い状態にしてあったナタリアの従魔達がその勝手口に気が付いたらしく、何かしらん?と言わんばかりの様子で覗き込んで来たが為に、確実に敷地内の外部と繋がっている、と言う事が確定したが為に、それを行ったアレスと最初に気が付いて観察していたヒギンズを除いた他のメンバー達が、揃って驚きの声を挙げる事になったのだった。



 新しく開けられた勝手口から、森林狼達が興味深そうに周囲の臭いを嗅ぎながら入ってくる。


 正確に言えば既に魔物化している為に種族も変わっているのだろうが、調べても良く分からなかった上に本人(本狼?)も特に気にした様子を見せていなかったので、放置されていたりするのだが、その振る舞いは特に変わらず、見た目も大きくなった程度なので、周囲の臭いを確認し、特にナタリアを初めとしたメンバー達から怒られないと判断すると、以前と同じく各自で懐いているメンバーの元へと移動して『撫でれ』と言わんばかりの様子でじゃれついたり、馬程の大きさへと変化した身体を擦り付けたりし始めた。



 そんな彼らの柔らかな毛並みに指を遊ばせ、自身の大きさから一頭だけ勝手口から覗き込むだけに止めていた月紋熊のヴォイテクを空いている方の手で招きながら、他のメンバーへと現状の説明を行う為に口を開く。




「まぁ、見ての通り、無かったハズのモノが突然出来た訳なんだか、コレってどうやら勝手口を作るだけじゃなくて、ある程度ならこの建物の内部空間の間取りを弄ったり、新しく部屋を作ったり出来るみたいでさ?

 なんでこんな事出来る様になったのかは知らないけど、それでも出来るんだからやらないと損じゃない?って訳で、こんなのが良い、こう言うのが欲しい、とかの要望が在れば聞くぞ?

 とは言え、家具の類いまでは自由にならんから、何故か備え付けられてるヤツ以外が欲しければ、各自で調達して貰う事になるだろうけどぅえっ……!?」



「…………はっ!?ちょ、ちょっと凄いことを聞いて意識が飛んでいたのです!?

 と言うか、いつの間に入ってきたのですかヴォイテク!?は、早く退くのです!?リーダーが潰れちゃうのです!?」



「……ヴッ……?」




 中々に衝撃的な事実を口走ったアレスだったが、その終わりに手招きしていたヴォイテクが『もう大丈夫かな?』と判断してかじゃれついて覆い被さり、カエルが叩き潰された様な濁った声を出しながら彼の巨体の下敷きにされてしまう。



 それにより、漸く衝撃から復帰したらしいナタリアが飛び上がり、ヴォイテクに退く様に指示するが、本人(本熊?)はイマイチ理解していないらしく、円らな瞳を彼女へと向けながら可愛らしく首を傾げて見せる。


 ……もっとも、その小山程も在りそうに見える巨体でそんな事をされても万人受けする可愛らしさを発揮できているとは言えないが、そこは触れるべき部分では無いだろう。



 とは言え、下敷きにされている本人からすれば、下手をしなくても生きるか死ぬかの状態に在るし、他の従魔たる森林狼達は彼の異常に気が付いているからか、ヴォイテクを噛んで引っ張って動かそうとしたり、はみ出しているアレスの手足を咥えて引き摺り出そうと試みたりする。



 そして、苦しみからもがいていたアレスの手足が地面へと落ちて沈黙し、漸くソレに気付いたヴォイテクが退いて救助され、セレンが半泣きになって回復魔法を掛けたりする事態にまで発展したが、どうにか無事に復活し、反省して項垂れるヴォイテクを撫で回して元気付けたり、それを見ていたセレンにご褒美として同じ様に撫でる事を要求されたりしながらも、取り敢えず当初の目的である希望の聞き取りと部屋割りを終え、その通りに間取りを配置し直す事に成功するのであった。





 なお、最初に気が付いたのがアレスであった、と言うだけであり、基本的には全員が同じ事が可能であり、尚且つ指定した部分は他のメンバーによる操作を拒絶する事も可能であった事が判明するのだが、それはまた別のお話である。




次くらいからまた話が動き始める予定です


面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価等にて応援して頂けると励みになりますのでよろしくお願い致しますm(_ _)m

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