表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パーティーから追放された万能型暗殺者がエルフの聖女、獣人の盾役、魔人の特化支援術士、小人の従魔士、オッサン槍使いと出会ったのでパーティー組んでみた結果面白い事になりました  作者: 久遠
『追放者達』岩人族の国を救う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

185/220

『追放者達』、スタンピードの原因と遭遇する

 



「………………こいつは、一体……何なんだ……?」




 予め目星を着けていた謎の建築物へと突入し、その奥にて意味在り気な扉を発見した『追放者達(アウトレイジ)』達は、その扉の奥へと突入したのだが、ソコで衝撃的なモノを目にする事となり、自然と言葉を失った彼らの耳には周囲の魔道具が駆動する音と共に、誰のモノとも知れない微かな呟きが聞こえて来るのみであった。



 ……いや、寧ろ『衝撃的』と言うのは適切な表現とは言い難いかも知れない。


 何せ、この場にいる面々の中で、彼らの目の前に広がる光景が何なのか、何を意味するモノなのかを理解出来ている者は、誰一人として居なかったのだから。




「…………これって、ガラスケース、か……?」



「……うむ。当方にも、その様に見えるのであるな。

 ……しかし、この大きさは如何なるモノであるか?巨大、と言うにはあまりに()()()()()のであるぞ……?」



「……そう、ですね……。

 外から見て回った限りですと、やはりこの部屋とその大半を占めるガラスのケースが、この建築物が内包するスペースの殆どを占めていると見て間違いは無さそうですね……」



「…………いや、さっきからアンタ達部屋の広さやらガラスケース()()にしか注目してない見たいな口振りだけど、もっと注目しなきゃならない肝心のモノが在るでしょうよ?

 誰がどう見たって、その巨大なガラスケースの殆どを満たしている、バカみたいにデッカイ『粘性体(スライム)』のオバケの方がヤバい存在でしょうが!?」



「……元々、こっちに来て初めて見た魔物だったのですが、ここまで大きなモノは初めて見たのです。

 もしかして、コレが今まで遭遇した『粘性体(スライム)』のお母さんだったりするのですかね?」



「さぁ、そこはどうなんだろうねぇ?

 見た所、コレの中で動いている様子は見えないし、何より魔核っぽいモノは見えないから、もしかしたらもう死んでる可能性も在るんじゃないのぉ?密閉されているみたいだし、ただ単に保存されてただけ、って可能性も在るとオジサン思うんだよねぇ」



「……だが、だとしたら、外に溢れてるアイツらは一体何処から来たって言うのだ?

 コレが母体となって周囲に撒き散らしていた、と言うのが一番分かりやすいスタンピードの原因だと踏んでいたのだが、ソレが違うとなると当てが外れる事になるぞ?」



「…………なぁ、アイツらが何言ってるか、理解出来るか?

 ちなみに、オレは分からない。何となく、目の前のデカブツがヤバそうかな?って程度しか分からないけど、お前は?」



「……幾ら私が『賢者』だからって、育ちが同じ孤児院なのだから、頭の出来に期待するのは間違い。

 精々、私に分かるのは何でこんなモノが在るのか分からない、どうやって例の『粘性体(スライム)』が増えているのかも分からなくなった、と言う程度。まともに学んだ事の無い私に期待されても困る。むしろ、あそこまで頭の回るアレスが異常。流石アレス」



「まぁ、ソレは確かにな!

 ……なぁ、あんまりグズグズしてても仕方無いんだし、取り敢えずコレぶっ壊して見ても良いか?そうすりゃ、嫌でも事態はうごくだろう?」



「「「頼むから、そう言う短慮は止めてくれないか(であるか)(ないかい)!?」」」




 それぞれで見識を口にし、何が問題なのかを検証して行くメンバー達を尻目に、物騒な事を口走り始める脳筋剣聖(アリサ)へと、この場に居る中では比較的危機意識の高い面子(アレス、ガリアン、ヒギンズ)が慌てて制止する。



 止められた事により、腰に差している得物に掛けていた利き手を下ろして『ちぇーっ』と詰まらなさそうに嘆息を漏らすアリサと、その後ろで肩口に構えていた得物たる戦斧を下ろし、まるで『自分は何もしていませんよ~』『同じ様な事しようとなんてしてませんよ~』とでも言いたげな様子にて、下手くそに口笛を吹いて見せるガシャンダラ王の姿まで在った為に、思わず額を押さえて頭痛を堪えるアレス達。



 そんな時であった。唐突に





「そうだな。ソレを壊されるのは少々困る故、流石に止めさせて頂こうか?」





 との聞き覚えの無い声が、この場にいる面々からは発せられるハズの無い立場からの言葉として発せられたのは。



 咄嗟に全員が反応し、声の聞こえて来たガラスケースの側へと視線を向けながら、前衛後衛に別れて散開して行く。



 一見、瞬時に隙無く反応して見せた様にも思える一行であったが、その背筋には一様におぞましさすら感じる程の悪寒が走っていた。



 ……それは、何故か。


 言ってしまえば、簡単な一言で全て説明出来てしまう。




 それは、()()()()()()()()()()()、である。




 彼らの近くには、普段から哨戒の任に着いているナタリアの従魔達も居た。


 それに、彼らよりも殺気や敵意と言った感情には鋭く反応する事が出来るアレスに、それまでの長年の経験から異常な程に第六感を強化しているヒギンズや、彼らには若干劣るとは言え鋭敏な感覚を持つガリアンも、その実力相応に鋭い感覚を持つ実力者達も多く居た。



 ……なのに、それなのに、その場に居た誰しもが、誰一人として声を発した相手の事を、向こうからアクションを起こされるその時まで気付く事が出来なかったのだ。



 全員の意識の間隙を縫って現れ、その結果として行ったのがただ単に声を掛けただけ。



 ソレを成そうと思ったのであれば、それこそアレスを優に上回るだけの技能とスキルを持った超級で凄腕の暗殺者を連れて来るか、もしくはダンジョンマスターを含めた極一部の理外の存在が限定条件下で可能とする空間転移でも行わない限りは、普通は不可能な芸当であるハズなのだ。



 ……しかし、彼らの目の前に存在し、先程の声を掛けて来た相手であると思われる、外見は低級の魔物として有名な『小鬼(ゴブリン)』とそっくりで子供程の矮駆で緑色の肌をしており、相違点と言えば白衣と思わしきモノを着ている位にしか違いが無さそうな見た目をした存在からは、それらと等しく強大な存在である、と言う圧力にも似た気配を感じ取る事が出来ずにいた。




「…………クククッ。成る程成る程。これは、私の存在を図りかねているが故に、手出し出来ずにいる、と言った処かね?

 流石、ここまで辿り着けただけの事は在る様子だ。まぁ、もっとも諸君らの戸惑いも当然なのだろうが、私には『こう言う事』が出来る程度に過ぎないのだから、そこまで警戒されると滑稽にしか見えんのだがね?」



「「「「「「「「「……………っ!?」」」」」」」」」




 そうして戸惑いも露に警戒を強めていると、その『小鬼(ゴブリン)』の様な存在は、突如として再び口を開き、笑声と共にそんな事を口にすると、突如としてその場から姿を掻き消し、いきなり警戒を最大限のモノとしていたアレスの懐に出現すると、大きく引いていた拳を無防備に晒されていた彼の腹部へと突き出して来たのだ!



 …………しかし……




 …………ボスッ……!




「………………ん……?」




 …………しかし、そうして繰り出された一撃は、彼の腹部に見事に命中する事に成功してはいたものの、特に彼に対して致命的なダメージを与えられた訳では無く、また大した痛みすらも碌に感じさせられてすらいない様子であった。



 それには、半ば反射的に手にしていた得物で薙ぎ払い、またしても掻き消す様にして姿を消失されて攻撃を回避されてしまったアレスも、間の抜けた声を挙げつつ首を傾げながら片手で殴られた部分を触って確認する事となってしまい、遅れてセレンが各種状態異常に対しての回復魔法を彼へと目掛けて発動させて行く。



 そんな彼らの姿を尻目に、その矮駆相応の大きさしか無い拳を手首でプラプラと振りながら肩を竦め、矢鱈と人間臭い動作をしながら『小鬼(ゴブリン)』の様な何かが再び口を開く。




「まぁ、見ての通り、私に出来る事と言ったらこの程度でね。

 自由に動けても、君らを直接どうこう出来る力が在る訳じゃ無いから安心したまえよ。

 まぁ、あからさまに敵対的な『魔族』の言葉を信じる事が出来るのならば、と言う条件は付くだろうがね」




 そう言って、再度笑声を溢す目の前の存在に対して彼らは、言い様の無い戦慄に背筋を支配される事となるのであった……。




『魔族』って一体……?



面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価等にて応援して頂けると励みになりますのでよろしくお願い致しますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ