表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パーティーから追放された万能型暗殺者がエルフの聖女、獣人の盾役、魔人の特化支援術士、小人の従魔士、オッサン槍使いと出会ったのでパーティー組んでみた結果面白い事になりました  作者: 久遠
『追放者達』岩人族の国を救う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

159/220

『追放者達』、アルカンターラに帰還する

今回から新章に入ります

 


 ガリアンがガルガンチュアにて決闘を行い、自らの過去に清算を付けてから約十日。


 彼らの姿は、ホームグラウンドでもあるカンタレラ王国の首都アルカンターラへと戻ってきていた。



 行き道とは異なり、途中で大筋から外れて寄り道する事もせず、余計な事に手を出す様な事もしないで最速でかっ飛ばして来た為に、行き道よりも大幅な時間短縮を図る事に成功したのだ。



 橇を引く従魔達も、数々の戦闘を経験して成長を遂げたらしく更に力強くなっており、そのお陰で行き道の半分……とまでは言わない迄も、確実にそれに近しいだけの日数にて戻って来れたのは彼らの尽力が在ってのモノだと思って良いだろう。



 そんな訳で、久方ぶりにアルカンターラの門を潜る『追放者達(アウトレイジ)』のメンバー達。


 元々この都市出身、と言う者はメンバーの中にはいないし、そこまで思い入れも良い記憶もあまり無い場所では在るものの、それでもここ最近の自分達の活躍はこの都市で得られたモノであり、かつ曰く付き物件では在ったもののパーティーホームとして購入した物件もここに在る為に、やはり何だかんだと言ってもここが自分達の帰ってくる場所なのだ、と言う感覚が湧くのだろう。



 そんな事を倩と考えていたアレスだったが、取り敢えず通用門を潜った処で手綱を握るナタリアから、これからどうするのか、と言った質問が飛んで来る。




「取り敢えず、こうして到着したのですけど、これからどうするのです?

 まずはギルドにでも顔を出しておくのですか?それとも、さっさとパーティーホームに帰っちゃうのです?」



「…………ふむ。規約に従うのであれば、まずはギルドに寄るべきであろうな。

 ……だが、当方らに対してのギルドからの扱いを鑑みれば、別段後回しでも構いはすまいよ」



「そうだねぇ。別にオジサン達が何したって訳でもないのにあれだけの事やらかしてくれてたんだから、少し位ヤキモキする位で丁度良いんじゃないのかなぁ?」



「……ですが、顔を出すだけならば別に構わないのでは無いでしょうか?前回少しキツめに言っておきましたし、こうして帰ってくるタイミング迄は流石に把握出来ては居なかったでしょうから、厄介事を押し付けられる事も無いのでは?」



「……まぁ、顔を出しておいた方が、後々面倒は無さそうだとはアタシも思うけど、ソレって大丈夫なんでしょうね……?

 虎視眈々と面倒な依頼押し付けようと待ち構えられてたら、流石に逃げる自信が在るんだけど?」




「…………いや、そのどちらでも無いよ」




「「「「「………………え?」」」」」




 予想を裏切るアレスの一言に、思わず、と言った様子で揃って声を挙げ、彼へと視線を向ける五人。


 その視線には『その二つ以外で行くべき場所なんて在ったか?』『それら以外に優先すべきモノって一体……?』と言った疑念が渦巻いている事が容易に見てとれた。



 彼ら自身にはあまり覚えが無いらしく、訝しむ視線をリーダーたるアレスへと向けているが、本人は涼しげな表情にてなんて事は無い、と言わんばかりな雰囲気にて軽く口にする。




「いや、先にドヴェルグのオヤジの処に顔を出すつもりだけど?

 帰って来たって言うのもそうだけど、皆の装備のメンテナンスとかも必要だし、何よりも送った土産がちゃんと届いたのかも確認したいしね?」



「「「「…………あっ!?」」」」



「成る程、ねぇ……。

 そうやって、装備のメンテナンス、って事を言っておけば、遅れてギルドに顔を出しても嫌味を言われる事も無いだろうしねぇ。

 何せ、オジサン達が命を預ける装備の数々だもの。そっちを優先したとしても、向こうは文句を言える筋合いは無いからねぇ」



「そう言う事。

 まぁ、先に顔を合わせるなら、厄介事しか押し付けてくれないシーラより、煩いけど仕事は信頼できるドヴェルグのオヤジの方が良いでしょ?

 急ぎの依頼が在るって言うなら話は別だけど、ガルガンチュアで寄った時には何も言われなかったし、どうせ指名される程の知名度も無いんだから心配は要らないんだから、あっちは後で構わないしね」




 そう言い切り、黒い笑みを浮かべるアレス。



 流石の彼も、これまで受けたギルドからの諸々の扱いに関しては思うところが在るらしく、もう積極的に自分の都合を押してまでギルドへと貢献しよう、と言う気概は捨ててしまっている様子だ。


 とは言え、未だに目標としては『Sランクに到達する』と言う事を掲げてはいるので、完全に跳ねっ返りになるつもりも無いのだろうけど。



 そうして、別段悪巧みをしている訳でもないのに黒い笑みを浮かべたり、その表情を目の当たりにしたセレンが何故か興奮して彼に抱き着いたり、タチアナも羨ましくなったのかヒギンズの腕へと絡みに行ったり、それらの光景をまだ正式にカップリングに成功はしていない(ほぼ公認だが)ガリアンとナタリアが微笑ましさと苦々しさの中間の様な表情を浮かべながら見守っていると、橇が目的地であった職人区域に在るドヴェルグの工房の近くへと到着する。



 ケンタウリの街の支部は散々に脅してやったが、それでも荷物の中身をちょろまかされて紛失していたりだとか、そもそも約束の通りにキチンと発送の手続きをしていなかった、だとかの可能性も十二分に考えられる為に、それらがキチンと届いているのかの確認、と言う意味合いも確かに大きいのだが、実は純粋に土産を貰ってドヴェルグのオヤジが喜び、普段の仏頂面を綻ばしている姿を見てみたいから、と言う理由も在ったり無かったりする。


 ついでに、発送せずに手元に置いてある、大迷宮で手に入ったモノを渡した際にどんな反応をしてくれるのか、と言った事も気になっている、若干サディストの気が見え隠れするアレスが、それまでと同じ様に遠慮も呵責も無しに、無造作に工房の扉を乱暴に叩いて在宅を確認する。




「おぉい!俺だ、アレスだ!

 オッサン、居るんだろ!?居るんなら、返事の一つもしてく「漸く来おったか!!」……うぉっ!?」




 そうして問い掛ける声を挙げたのとほぼ同時に扉が開かれ、尋ね人であったドヴェルグが、何処か焦った様な様子にて転がり出て来た為に、思わず驚きの声を挙げてしまうアレス。



 しかし、当のドヴェルグはそんな彼の様子も碌に目に入ってはいないらしく、畳み掛ける様にして言葉を放ってくる。




「遅い!遅すぎるぞ!!

 幾らこの都市から離れていたとは言え、依頼が入ったのだからさっさと来ぬか!!

 まぁ、良い。急げば、まだ間に合おう!ほれ、早ようせい!!やること、やらねばならぬ事は全て依頼書に纏めておいてやったのじゃから、お主も分かっておろう?」



「…………いや、待て!?本当に何の話だ!?

 オッサン、一体何の話をしてやがるんだよ!?」



「……あ!?今更何を抜かしておる!?

 お主も、ギルドで儂が出した指名依頼を受けてここに来たのであろう!?なれば、そんな無駄な説明をして、時間を無為に消費する事の方が重大な損失であろうが!?

 ほれ、お主はコレを、そこのお主はそこのやつらをさっさと積み込まぬか!儂は急いでおるのだぞ!?」



「……いや、だから!俺達は別段依頼を受けて来た訳でも、ギルドで何らかの説明を受けて来た訳でもないんだよ!偶然!偶々来ただけなんだから、あんたの事情なんて何も知らないんだって!!」



「なんじゃと!?!?!?」




 アレスからの説明を聞き、逆に驚きの叫びを挙げてしまうドヴェルグは、彼が指定した金槌や金床と言った道具をどうするべきか?と悩んでいる他のメンバー達を尻目に、衝撃的な一言を漏らすのであった。





「……では、儂が出した『ガンダルヴァへの護衛依頼』と、ガンダルヴァ到着後の『スタンピード(・・・・・・)鎮圧要請(・・・・)依頼』について、欠片も知らぬ状態であると言いたいのか!?」





 …………その一言により、どうやらギルド以外の方向から厄介事が飛び込んで来たみたいだ、と内心で嘆息するアレスなのであった……。




とうとうスタンピード発生!?果たしてどうなる!?



面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価等にて応援して頂けると励みになりますのでよろしくお願い致しますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱりシーラとギルドを同一視してるのがモヤっとするなぁ……アレスたちの立場だと仕方ないのかもしれないけど…… まぁ仲直りイベントもそのうちあるみたいなんで楽しみにしておきます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ