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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第五章 大陸統一

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92 帝国の聖女 2

 ボンバーロック駆除作戦が始まった。

 作戦といっても、いつも通り私が先頭を進み、後方からミウたちが遠距離攻撃を繰り返す。ただ、いつもと違うのは、私たちの他にノーリたちサポーターズ、カリエス率いる精鋭の冒険者部隊が随行している点だ。大量にボンバーロックが発生しているので、多少人数が増えても違和感はないしね。


 どんどんとボンバーロックの駆除は進んでいく。

 後方の攻撃部隊が優秀なので、いつも以上に駆除は捗っている。でも初めて私たちの駆除方法を体験した冒険者からは、ドン引きされていたけどね。


「こんな駆除方法があるのか・・・」

「無敵すぎるだろ・・・」

「ああ・・・味方でよかったよ」



 そんな声は無視し、私たちはどんどんと進んで行く。2日程で帝国軍部隊の直近までやって来た。

 遠方から確認すると、帝国軍部隊から怒鳴り声が聞こえてくる。


「俺たちに死ねって言うのか!?」

「これは帝国のためだ。誇りに思え!!」

「なんだと!?こっちは訓練に参加したら報奨金が貰えると聞いてやって来ただけなのに・・・」

「緊急事態だ。仕方がない」

「だったらお前らが犠牲になれよ。普段から俺たちの税金で暮らしているんだろ?」


 どうやら正規軍と徴募兵の間でトラブルが起きているようだった。


「どうするのニャ?」

「そうね・・・作戦通りやりましょう。何も知らないフリをして・・・それからいつも以上に派手にやれば、もめ事も収まるでしょうしね」


 私はボンバーロックの群れに向かって行く。

 そこにミウを中心に遠距離攻撃が炸裂する。そこかしこから爆発音が聞こえる。そして、とうとう帝国軍部隊の所までやって来た。帝国軍部隊は呆気に取られている。


 私は何も知らないフリをして、帝国軍部隊に語り掛けた。


「あれ?もう帝国領内に入ってしまったのでしょうか・・・もしかして、帝国のほうでもボンバーロックの駆除依頼があったのですか?」

「い、いや・・・」


 私は近くにいた隊長っぽい男に依頼書を見せた。


「申し遅れましたが、私は冒険者パーティー「鋼鉄の聖女団」のアオイと言います。このとおり、街道に大量発生したボンバーロックの駆除依頼があって、こちらに来たのです」

「そ、そうであったか・・・ご苦労である。とりあえず、指揮官に伺いを立ててみる。しばらく待たれよ」


 隊長っぽい男は近くの天幕に入り、すぐに第一皇子がやって来た。


「我はライダース帝国第一皇子のグスタフである。そこの冒険者よ、駆除依頼で来たと?」

「そうです。こちらの方にもお見せしましたが、依頼書もあります」

「依頼書は本物のようだが・・・」

「依頼書にありますように、ルメンダの領主様からの依頼です。ボンバーロックの駆除並びに安全に帝国との交易ができるようにしてほしい旨の依頼になっていますので、できればご協力をお願いしたいのですが・・・」


 しばらく考えた第一皇子は言った。


「構わんが・・・帝国領内にも多数のボンバーロックが発生して困っているのだ。協力してやらんこともないが・・・」

「それでは一緒に駆除しましょう。こう見えて、私たち「鋼鉄の聖女団」は、ボンバーロックの駆除には定評がありますからね」


 そう言うと、私たちは帝国領内のボンバーロックの駆除を始めた。

 私が先頭に立ち、どんどんと進んで行く。帝国軍から驚きの声が上がる。


「おい!!死ぬぞ!!」

「命を無駄にすることはない!!」

「誰かが犠牲にならなければならないが、アンタが犠牲になることはないぞ!!」


 私はそんな声を無視して、どんどんとボンバーロックの群れの中を進んで行く。


 ドカーン!!


 爆発したのが、ビッグボンバーロックだったようで、激しい爆発が起きる。

 もちろん私は無傷だ。


「そ、そんな・・・あり得ない・・・」

「あれで、無事だなんて・・・」


 そして驚きの声から、歓喜の声に変わっていく。


「も、もしかして、俺たちは助かったのか?」

「おい!!村が見えたぞ!!」

「俺たちは助かったんだ!!」


 段々と大歓声になっていく。


「皆さん、これで街道付近のボンバーロックは駆除できました。それはそうと、皆さんは怪我をされている方や病気の方が多いですね。よろしければ、食料やポーション類を持って来させますが?」


 第一皇子が言う。


「かたじけない・・・よろしく頼む・・・」


 私はルージュに言って、ルメンダに待機しているアベル皇子にその旨を伝えた。

 しばらくして、ピーコに乗ったアベル皇子が、10騎のドラゴンライダーを引き連れてやって来た。またまた、歓声が上がる。


「あれは、アベル皇子!!」

「ドラゴンを引き連れている」

「なんて光景だ・・・生きている内に見られるなんて・・・」


 こちらは正規軍、特に騎兵隊の隊員にはウケがよかった。


 物資を配り終え、私たちは帰路に着くことになった。

 何も知らない体でこちらに来たのだから、何も言わない。別れ際、第一皇子が言った。


「貴殿をライダース帝国第一皇子グスタフの名において、帝国の聖女と認める。そして、最大限の感謝を」


 帝国の聖女?


 アベル皇子がそれとなく説明してくれる。


「帝国のために貢献した女性に贈る称号のことです。皇族には任命権があり、様々な特権が与えられます。まあ、皇族とほぼ同等の権限が与えられたと思ってください」


 そんな・・・


 私たちは、ドラゴンに分乗して、帝国領を後にした。


 そして、私たちが見えなくなるまで、「聖女様!!バンザーイ!!」という声が聞こえてきた。


 今回の作戦は、全くの自作自演、マッチポンプだ。

 自分たちで、ボンバーロックを撒き散らし、恩着せがましく駆除をする。少し心苦しいが、これで当面の戦闘が回避できたということで、よしとしよう。

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