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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第五章 大陸統一

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90 ボンバーロック大作戦

 引きつった笑顔を浮かべているドロスにこれまでの経緯を説明する。


「なるほど・・・事情は分かりました。しかし、流石に大量のボンバーロックを持って行かれると、こちらも困ってしまいますね」

「す、すみません・・・状況が切迫していまして・・・」

「では、こういうのはどうでしょうか?」


 ドロスは私たちにあることを提案してきた。

 これを受けない選択肢は、私たちにはなかったけどね。


 ★★★


 私たちは今、ルクレア共和国のルメンダというライダース帝国との国境沿いの町にいる。

 民衆を前に私は演説する。


「皆さん!!なんとダンジョンが発見されたのです。これは神様のご加護に違いありません。私たちも探索で入りましたが、かなりの優良ダンジョンです。採取できる素材も豊富で、魔物も階層ごとで固定されています。これなら上級者から駆出しの冒険者まで、幅広く活動することができます。また、「鋼鉄の聖女教団」として、探索依頼も出していますので、是非依頼を受けていただきたいのです!!」


 民衆が騒ぎ出す。


「ダンジョンだって!?」

「これはビジネスチャンスだ!!」

「とりあえず、宿屋と食堂を改装しないとな」

「領主様にも報告しないと」


 上手くいっている。

 民衆に紛れて、様子を窺っているドロスも満足そうだ。


 なぜ、こんなことをしているかというと、ドロスに新規にオープンするダンジョンのPRを頼まれたからだ。ドロスが言うには、どんなダンジョンでも最初の集客に苦労するらしい。そこで、それなりに信用がある私の出番というわけだ。


 実はルクレア共和国だけでなく、ライダース帝国と国境を接するラドス王国とリドア公国でも同じようなことをしている。つまり、ライダース帝国と国境を接する三ヶ国すべてにダンジョンをオープンさせたのだった。


「これで報酬がボンバーロックって、ちょっと変な気分ニャ」

「だが、断ることはできなかったしな。少し民衆を騙しているようで、心苦しいが・・・」


 ミウとダクラは微妙な感じだ。

 ドロスはというと、かなり喜んでいた。


「聖女さんのお蔭で、かなりの来場者がありました。今後ともよろしくお願いしますね。それと、ダンジョン付近にボンバーロックの集積所を用意していますので、そちらのボンバーロックを自由にお使いください」


 それは有難い。わざわざシュルト山からボンバーロックを運んで来なくて、よくなるからね。



 そして、このダンジョン作戦は思わぬ効果をもたらすことになった。

 チャールズが解説してくれる。


「ダンジョンを探索する冒険者や騎士団員が増えたことで、自然とこの地に戦力を集めることができました。しかも、帝国を刺激しないようにね。表向きはダンジョンの探索ですが、当事者の三ヶ国には、対帝国の戦力を集めたと思ってもらっています」


 こちらも大人の事情だが、帝国には偶然ダンジョンが見付かったから、冒険者が自然と集まって来たという説明をし、当事者となっている三ヶ国には、「君たちのために援軍を用意した」という建て前にしている。どちらにせよ、ダンジョンが発見されて、冒険者が集まって来たことには、変わりはないんだけどね。


 一方、国境付近で軍事演習という体で配備されている帝国軍は、こちらの戦力が充実したことによって、かなり困惑しているという。かなりの被害を許容すれば、ボンバーロック地帯を突破することは可能だろうが、そんなことをしても、戦闘で勝利することはできないからね。

 というのも、ボンバーロックを駆除するにはそれなりの実力者が、それなりに装備を整えなければならない。情報部隊員からの報告によると、今回配備されている一般兵の多くは練度が低く、徴募兵も多くいるらしい。チャールズが言うには、手柄を焦って、急遽集めたからだろうとのことだった。



 ★★★


 今のところ、戦闘は起こっていないが、私たちは新たな作戦を決行することになった。

 それは、帝国軍に嫌がらせをすることだ。補給路にボンバーロックを撒き散らしたり、野営地にも夜中にボンバーロックを配置する。

 朝起きたら、テントの中にボンバーロックがいるなんて、悪夢でしかない。


「帝国軍は疲弊しているニャ」

「そうだな。それにボンバーロックの集積所が近くにあるから、こちらとしてはやり易くなったしな」


「そうだね。早く諦めて帰ってくれればいいんだけど・・・」


 補給も滞り、十分に休めない状況なのにもかかわらず、帝国軍は未だに配備されたままだ。

 日中にコツコツとボンバーロックを駆除しているようだが、焼け石に水だ。夜中には、私たちがボンバーロックを補充するからね。


 報告書を読むかぎり、帝国軍はどの部隊も崩壊寸前だという。

 ボンバーロックの駆除に当たっているのは、常備軍で練度の高い部隊だ。彼らが一生懸命に効果の出ないボンバーロックの駆除作業を行っている傍ら、一般兵、特に徴募兵はのんびりと惰眠を貪ったり、どこからか手に入れた酒を飲んで、酒盛りをしている。当然、常備軍の部隊員は面白くない。それが原因で、どの部隊も常備軍と徴募兵の間で喧嘩が絶えないそうだ。


 チャールズが言う。


「このまま、内部崩壊してくれれば、言うことはないんですがね・・・」


 果たして、そんなに上手くいくだろうか?

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