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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第一章 冒険者アオイ

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9 冒険者活動

 ギルマスのジャンヌさんに勧められ、断ることもできず、猫人族のミウとダークエルフのダクラとパーティーを組むことになってしまった。

 とりあえず、話し合いの場を持つことになった。


 まずは、自己紹介だ。

 ミウは猫人族で、モフモフしている。ジョブは詳しくは教えてくれなかったが魔法職で、高威力の魔法をバンバン使えるようだ。しかし、異常に威力にこだわっている所為で、コントロールが悪く、味方への誤射が絶えず、前衛職の冒険者からは敬遠されているようだ。

 本人に威力にこだわる理由を聞いたが、詳しくは教えてくれなかった。


「詳しいことは言えないけど、私には使命があるニャ」


 続いて、ダークエルフのダクラだが、普通のエルフと同じような長い耳に褐色の肌をしている。

 こちらは弓の達人だが、的を外すことに異常な恐れを抱いているようだ。なので、いくら味方がピンチになっても、100パーセント当てられる確証がないと、撃たないようで、こちらも前衛職の冒険者から敬遠されている。それと命中率にこだわる理由を聞いても、教えてくれなかった。


「それは言えない。1本でも外すと、私は死ぬんだ」


 嘘か本当か分からないけど、深く追及することはしなかった。因みにこの二人は、それぞれライダース帝国の宮廷魔導士団と弓兵隊に所属していたがクビになり、ジャンヌさんにスカウトされたそうだ。スカウトしたジャンヌさんが言うには、実力はあるけど、使いどころが難しい人材で、このギルドでは二人を加入させてくれるパーティーは、もうないそうだ。


 私の番になった。

 私は、ザマーズ王国に勇者召喚されたことや別の世界から転移してきたことなどは、二人には話さなかった。いくらパーティーを組むといっても、すべてを言う必要はない。それにミウもダクラも、何か訳アリだしね。

 一通り自己紹介が終ったあと、ミウが質問をしてきた。


「とりあえず、スキルのことを教えてほしいニャ」

「あまり使えるスキルじゃないの・・・体を固くするだけのスキルなんだけど、強度は・・・」


 簡単なスキルの説明をしたら、ミウが目を輝かせて言った。


「アオイは私たちが探し求めていた人材だニャ!!」

「うむ。これなら私たちの能力が生かせるな」


 全く使えないスキルなのに、なぜか二人は大喜びだ。どういうことだろうか?


「私のスキルなんて、冒険者に向かないよね?」

「普通ならそうニャ。でも私たちとセットになると飛躍的に強くなるニャ」

「そういうことだ。すぐに実戦してみよう」


 あれ?もうパーティーを組んで依頼を受ける話になっていないか?


「ちょっと待ってよ!!装備も持ってないし、武器も・・・」

「それは心配ないニャ。ギルドには初心者用の装備を無料で貸し出してくれる制度があるニャ」

「で、でも・・・」

「報酬のことか?きっちり三等分しよう」


 二人の勢いに負け、私は依頼を受けることにした。


 まあ、私の実力の無さが分かれば、パーティーを組むこともなくなるだろう。



 ★★★


 まずは、私の装備を準備する。流石にパンツスーツで冒険者活動はできないからね。

 ただ、本格的に冒険者をするわけではないから、すべて無料レンタルにすることにした。ギルド職員に見繕ってもらう。


「無料となると・・・こちらの神官服と短剣になりますね。よろしいですか?」

「ではそれでお願いします」


 ギルド職員には、皮の鎧や長剣を勧められたが、有料だというので、この装備にした。どうせ、1回だけだし、私のスキルだと鎧なんて意味がないし、武器も必要ない。因みに無料の理由を聞いたが、納得の理由だった。神官服も短剣も亡くなった冒険者の遺品らしい。


「壮絶な死に方をしましから、呪われているんじゃないかと噂になり、有料だと誰もレンタルしなくなりました。ギルマスから貴方には最大限便宜を図れと言われてますから、よろしければ差し上げますよ。好き好んでレンタルする人なんていませんから」


 本当は嫌だけど、1回活動するだけだから我慢しよう。


 装備を整えると、すぐに出発した。

 今回のクエストは、草原で大量発生したグラスウルフの討伐だ。そういえば、カリエスたちもグラスウルフの討伐任務を受けていたよね。大草原はザマーズ王国とマダマシーズ王国の国境に跨っているから、本当に大量発生しているのだろう。


「今回の依頼は、とにかく多く討伐すればいいニャ。討伐数によって、追加報酬があるニャ」

「それは分かったけど、作戦は?私は戦闘力はゼロに近いわよ」

「それは考えてある」


 不安しかない。


 ★★★


 グラスウルフが大量発生している草原に到着した。


「ところで、私は何をすればいいのかしら?」

「とりあえずこれを頭から振りかけてくれ」


 渡されたのは、ギルドから支給された魔物をおびき寄せるポーションだった。グラスウルフに特化して調合してあるそうだ。でも、頭から振りかけるとは聞いていない。


「ではその辺を自由に歩き回ってくれ。私たちは隠れて、襲って来たグラスウルフを撃退する」


 どうやら私は、囮に使われるらしい。

 でも冷静に考えてみると、かなりいい作戦かもしれない。私のスキルを活かせるし、彼女たちのスキルも活かせる。というのも、グラスウルフはかなり知能が高い。相手の戦闘力が自分たちよりも低くく、更に数も自分たちのほうが多い状態でないと襲って来ないのだ。ザマーズ王国が勇者を派遣しなかったのもそれが理由だ。戦闘力が高い彼らが現場に行けば、グラスウルフは襲って来ない。なので、騎士団を使った大規模な囮作戦をする予定だった。


 指示された通り、草原をぶらつく。

 すぐにグラスウルフの群が襲って来た。数は約20匹くらい、一斉に私に向かってくる。でも大丈夫だ。グレートボア程の迫力はない。グラスウルフは単体でCランク、群れでBランクだから、単体でBランクのグレートボアとの戦闘を経験している私にはどうということはなかった。


 まあ、戦闘というか、されるがままだったけど・・・


 しばらくして、魔法と弓矢による攻撃が飛んで来た。

 矢は正確にグラスウルフを貫いていたが、魔法は10発中3発は私にヒットする。こんなに味方に当てたんじゃ、クビになったのも納得だ。私じゃなければ、誤射によって大怪我をしただろう。

 しかし、ミウとダクラの攻撃力は並ではない。あっという間にグラスウルフは討伐された。

 戦闘が終わり、ミウとダクラが駆け寄って来る。


「流石は私が見込んだだけはあるニャ。次からはもっと威力を強くするからそのつもりで頼むニャ」

「こちらも、アオイに群がっているグラスウルフを射抜くだけだから、楽なものだ。これなら連射もできるかもしれんな・・・」


 かなり称賛してくれる。


「正式にパーティーを組むということで、いいかニャ?」

「私からも頼む。宿泊場所を確保していないのなら、私たちの宿に来るといい」


 これって断れないよね?

 それに私がいなければ、彼女たちも困るようだし・・・


 結局私は、しばらく冒険者をすることにしたのだった。

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