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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第五章 大陸統一

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86 大帝国の野望

 会議室に残されたのは、私とミウとダクラ、元騎士団長のカリエス、それにアベル皇子とお付きの騎士であるセバスだった。

 チャールズが言う。


「実はライダース帝国のことでご報告と相談があります。その前に国際情勢を少し解説致します」


 この大陸には、魔族領を除くと最大勢力を誇っているのはライダース帝国だ。

 チャールズが言うには、未だに大陸統一の野望を捨てていないという。ただ、最近まではライダース帝国には劣るものの大国であるザマーズ王国が存在していたので、ライダース帝国も不用意には動けなかった。全面戦争となれば、ザマーズ王国には勝てるが、甚大な損害を受ける。そんなことをしてしまえば、他国に隙を突かれたり、無理やり併合した地域で内乱が起きることも予想される。なので、大きな戦争は起きていなかったのだ。


 しかし、ザマーズ王国が崩壊した今、ライダース帝国は動き出そうとしているようだ。


「今までは、ライダース帝国、ザマーズ王国、小国家群連合の三竦みの状態だったのですが、ザマーズ王国が崩壊した今、すべての戦力を我々に向けることが可能です。もちろん国内の治安維持に必要な最低限の戦力は残してでしょうが・・・」


 カリエスが言う。


「シュルト山だけを守るのであれば、どうとでもなる。しかし、我がライダース帝国軍の指揮官なら、まずは遠方の小国を狙うだろうな。それも同時に数カ国を・・・そうなれば、厄介だ。遠方の小国を見捨てるようなことがあれば、小国家群連合自体が崩壊する」


 小国家群連合の基本戦略は、お互いが戦争しない代わりに何かあれば、協力してみんなで対処しましょうというものだ。だから、小国家群連合内の紛争はなくなっている。ただ逆に言えば、一つでも見捨ててしまうと、小国家群連合の存在意義が失われてしまう。そうなると互いに疑心暗鬼になって、紛争を起こすかもしれない。紛争が起これば、ライダース帝国の思うつぼだ。弱った小国を各個撃破していけばいいだけだからね。


 チャールズが言う。


「既にその兆しはあります。ライダース帝国は、軍事演習と称して国境付近に多くの部隊を展開させています」


 問題はかなり切迫しているようだ。


「だったらまずは、平和的な解決を目指しましょう。アベル皇子もいらっしゃるし、その伝手を使って・・・」


 これにはアベル皇子のお付きの騎士であるセバスが反応する。


「それは逆効果かと・・・アベル皇子は、皇位継承権を放棄されましたが、伝説のドラゴンに騎乗する竜騎士となり、下手に口を出せば、逆に皇帝の座を簒奪しようと思われ、警戒されてしまうでしょう」


 前にも話を聞いたが、ライダース帝国は騎兵至上主義だ。

 今では、アベル皇子が率いる神聖竜騎士団は、ライダース帝国のどの騎兵隊よりも精強だ。そんなアベル皇子が、下手に首を突っ込めば、警戒されて当然だという。


「だったら、クルミさんに頼んでみてはどうでしょうか?レイア教会の聖女ですし、レイア教会を通じて、平和への道を模索してはどうでしょうか?」


 チャールズが言う。


「実は、クルミ殿の政策に反対した多くの関係者が脱退し、ライダース帝国に庇護を求めました。こちらも逆効果になるかと・・・」


 こっちも駄目か・・・


「それで、今後我が「鋼鉄の聖女団」、また小国家群連合はどうすればよいのかというのが、相談なのです。アオイ殿の意見を聞かせてください」


 ここで私に話を振るのか・・・

 こんな時はどんなことを言えばいいんだ?

 悩んだ末、曖昧でそれっぽい指示を出すことにした。


「まずは対話を試みながら、何かあってもいいように準備をお願いします。積極的に情報収集に努め・・・」


 チャールズが言う。


「基本通りにということですね。それでやってみましょう。また情勢が変わったら、改めて指示をお願いします」


 曖昧で抽象的な内容だったけど、チャールズは何とかしてくれるようだった。

 本当に優秀だ。



 ★★★


 最近、私は訓練場にいることが多い。それには理由がある。

 というのも、外交関係はチャールズに一任しているし、情報収集はアンさんが通常業務を通じて行ってくれている。私としては、そっち方面で手伝えることはない。なので、訓練員の激励を兼ねて訓練所で訓練に参加しているというわけだ。まあ、訓練といっても瞑想と太極拳だけどね。


 ミウとダクラはというと、私とは別で特訓をしている。

 ミウは、この町に住んでいる猫人族を集め、集団魔法の訓練をしている。


「私だけで魔法を撃つよりも、威力は格段に上がるニャ。でもコントロールは更に難しくなったニャ。それが課題ニャ」


 今よりも威力が上がるなんて・・・


 ダクラはというと、エレンナやエルフとともに更に弓の精度を高めている。


「1キロまでなら、ハエの片目も射抜けるだろう。指揮官を狙い撃ちにできるぞ」


 ダクラもパワーアップしている。ただ、エルフの試練を継続中なので、頻繁には撃たないようだけど。


 一方、訓練所で訓練している訓練員の士気も高い。

 なので、訓練は当然厳しくなる。そのため、私は最初の体力強化訓練にも、ついていけなくなった。だから、最近は瞑想と太極拳ばかりしている。



 そんな時、私の頭の中にあるイメージが浮かんだ。


「集団鋼鉄化」


 どうやら、私は新たなスキルを習得したようだ。

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