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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第五章 大陸統一

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78 精霊王

 山頂に冒険者を派遣し始めて、1ヶ月が経過した。未だに土の精霊王とは、接触できていない。

 今日から私たち三人が、フェルスと一緒に山頂で泊まる。3日間の予定だ。

 ミウが言う。


「楽な依頼ニャ。最近はボンバーロックにも慣れたし、温泉施設もできたからニャ」

「そうだな。最近はボンバーロックの数も減っているような気がする」


 どうしてかは分からないが、山頂のボンバーロックの数は減っている。

 土の精霊王に会う前に世界樹を植えようという話が出るくらいだ。

 ルージュが言う。


「食料の準備も万全じゃ。早く行くぞ」

「ルージュ、いくら急いでもご飯の時間は、変わらないわよ」

「そうではないのじゃ。今日は新作のスイーツを用意させたから、ご飯の前に食べるのじゃ」


 ルージュの食いしん坊は、相変わらずだ。


 ルージュに乗って、山頂にやって来た。

 2週間前に来た時よりも、更に施設が充実していた。宿屋もできている。まあ、野宿しなくていいので、嬉しいことではあるけどね。


 現地の冒険者と引継ぎを済ませる。

 特に異常はないみたいだ。


「それにしても、かなり施設が充実しましたね」

「私たち冒険者も、びっくりですよ」

「冒険者が作ったのではないんですか?」

「私たちは、ここで待機しているだけで、何もしてませんよ。前回の当番の冒険者が言うには、親切な魔導士がやって来て、色々な施設を作ってくれたそうです」

「奇特な魔導士もいるんですね・・・」


 どこの誰かは分からないが、有難い。


 フェルスはというと、今日もゴロゴロとしていて、私たちに気付くと声を掛けてきた。


「久しぶりだね。僕はいつもどおり頑張っているよ。さっきまでお風呂に入っていたんだ」

「フェルスよ。頑張っているお前に新作のスイーツを持って来てやったぞ」

「ありがとう、ルージュ。すぐに食べよう」

「うむ」


 どこをどう頑張っているのかと、ツッコミを入れたくなった。

 まあ、ドラゴンだから放っておこう。


 初日は特に何もなかった。

 みんな思い思いに過ごす。ミウは魔法の研究、ダクラは弓の練習、ドラゴン二匹はゴロゴロしている。私はというと、鋼鉄化した状態でいつもの太極拳をして過ごす。


 そして次の日、噂の魔導士がやって来た。

 その魔導士は若い女性で、緑の髪をした美人さんだった。フェルスが声を掛ける。


「やあ、ドロス。今日は何を作ってくれるんだい?」

「今日はメンテナンスに来ただけですよ」

「そうか。じゃあ、お菓子もあるからゆっくりしていきなよ」


 ドロスと呼ばれる魔導士を見て、ミウが小声で言う。


「かなりの魔力を感じるニャ。ただ者ではないニャ」


 そんな魔導士がどうしてここに?


 そんな思いを抱えながら、とりあえず挨拶をする。


「こんにちは。私は「鋼鉄の聖女団」代表のアオイです。色々と施設を作っていただいて、ありがとうございます。代表して、感謝を申し上げます」

「貴方が、噂の聖女さんですね?私はドロス。シュルト山の管理を土の精霊王様から委託されているのです」


「「「えっ!?」」」


 三人は固まってしまった。


 土の精霊王からシュルト山の管理を委託されてるだって!?

 なぜ、フェルスはそのことを言わなかったんだ?


 それとなく、フェルスに聞いてみる。


「土の精霊王は、今は用事があって、ここにはいないみたいなんだ」

「だったらなぜ、そのことを言わないのよ?」

「だって、『精霊王が来たら、教えろ』としか言われてなかったしね」


 指示した私が悪いのだろうか?

 そういえば、ポンコツ新入社員にそんな奴がいた気がする。私が「社長が来たら報告するように」と指示したら、急遽社長秘書だけが来て、「社長は少し遅れる」と言っても、報告に来なかった。問い詰めると、「社長が来たら報告と指示されたけど、その他のことは指示されていない」と答えた。その時は、開いた口が塞がらなかったけど、多分、そんな感じだ。

 ドラゴンだから仕方がないと思うことにした。


 気を取り直して、ドロスと交渉を始める。


「実はこの場所に世界樹を植えたいと考えておりまして、その許可を土の精霊王様にいただきたいのです」

「構いませんよ。土の精霊王様は現在、エルフの国の世界樹の視察に行っております。世界樹の植樹の件で、エルフの女王から相談を受けると言っていましたからね」


 えっと・・・それって、もう話がついているってことなんじゃないのか?

 私たちの活動って一体・・・


 私は膝から崩れ落ちそうになった。


「私たちは、何のためにボンバーロックを駆除していたのかニャ?」

「私もそう思う」


「ミウ、ダクラ・・・仕方ないよ。真相が分かってよかったと思おうよ」


 ドロスが言う。


「無駄ではありませんよ。私は儲けさせてもらいましたからね。というのも、ボンバーロックを開発したのは私なんですよ。ボンバーロックは私が開発した魔道生物の中でも自信作です。しかし、その優秀さゆえに一度販売してしまうと、なかなか次の注文が来ないのがネックでしたからね」


 ドロスって一体、何者なんだろうか?



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