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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第五章 大陸統一

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77 ドラゴン教育

 オープン前の温泉施設にやって来た。

 フェルスが言う。


「ここの人たちは、ドラゴンに驚かないんだね?」

「そうね、ルージュがいるからね。もう一人、増えたところで、関係ないからね」

「それにみんな、優しいね。『ようこそ』だってさ・・・」


 それはそうだ。

 ここは温泉施設で、みんな接客スタッフだから、余程変な客でない限りは、基本的に愛想がいい。


「聖女様、話は聞いております。本番と思い、精一杯もてなしをさせていただきます」


 館長が言うとおり、最高のもてなしを受けた。

 温泉もそうだが、併設するレストランの料理も美味しかった。


わらわは大満足じゃ。フェルス、よかったであろう?」

「そうだね。僕も満足だよ」

「しばらく、わらわたちと暮らしてはどうじゃろうか?」

「そうするよ」


 こうして、シュルト山山頂の調査依頼は大成功の内に幕を閉じたのだった。



 ★★★


 フェルスは、びっくりするほどの怠け者だった。

 ルージュでさえ、簡単な荷物運びや私たちの移動の手伝いをしてくれているのに、この馬鹿ドラゴンは、全く働こうとしない。

 流石のルージュも怒るくらいだ。


「フェルスよ!!いつまで、そうしているのじゃ!?わらわでさえ、3日に1度は働いておるというのに・・・」

「僕は人と話すのが苦手だし、飛ぶのもあまり上手くはない。僕にやれる仕事なんてないよ」

「これがわらわの宿命のライバルとは、なんと嘆かわしい・・・」


 ルージュに聞いたところ、次期竜王になるため、若いドラゴンが人間界に修行に来ているとのことで、修行の進捗状況を定期報告しないといけないらしい。


わらわは、ドラゴンライダーを見付け、人との交流もできているので問題はないが、フェルスは、お叱りを受けるやもしれん。全く成果を上げていないからな」

「そうか・・・何とかしてあげたいけどね・・・」


 そんな時、私たちに依頼が舞い込んだ。

 ボンバーロックの駆除だ。依頼を持って来たマーサさんが言う。


「相変わらず、ボンバーロックが多くてね。駆除を頼みたいんだ」

「分かりました。いいですよ」


 マーサさんが言うには、私たちを含め、多くの冒険者が、結構な数のボンバーロックを討伐したが、一向に減らないらしい。

 私たちも、定期的に駆除依頼を受けているが、それでもあまり効果はないようだ。


「おかしいニャ。結構な数を駆除したけど、全く減らないニャ」

「ミウが言うのも、よく分かる。もっと減っても、いいはずだ」


 ミウもダクラも、ボンバーロックの駆除依頼には、うんざりしているようだった。


 そんなとき、昼寝から起きて来たフェルスが言った。


「減らないのは、当たり前だよ。ボンバーロックは、シュルト山に住む、土の精霊王が定期的に撒いているからね。特に人間や魔物に来てほしくない所に多く撒いているんだ」


 場が騒然となった。


「何で、そんなことを知っているの?」

「それは、土の精霊王からボンバーロックを貰ったからさ。僕の周りにいたボンバーロックは、全部土の精霊王に貰ったものなんだ。まあ、僕とアオイで全部壊しちゃったけど・・・」


 私たちは唖然としてしまった。

 落ち着きを取り戻したミウが言う。


「それって、精霊王に頼まないと、ボンバーロックは駆除できないってことかニャ?」

「そうだね」

「どうやったら、精霊王に会えるのニャ?」

「山頂で寝ていたら、偶に会うんだけど、どこにいるかは分からないよ」


 それって、確かな情報なのだろうか?


 ルージュが言う。


「フェルスは、この通り怠け者ではあるが、嘘を吐くようなドラゴンではないのじゃ。信じていいと思うぞ」


 ★★★


 早速、対策会議が始まった。

 当然だが、誰も精霊王に会う方法なんて知らない。それでしばらく、フェルスと一緒に精霊王に会えるまで、山頂に滞在するということになった。問題は、誰が一緒に滞在するかという話だ。

 ミウが言う。


「ボンバーロックに囲まれた中で、生活するなんて、まっぴらごめんだニャ」

「我もだ。適任者はアオイだろうが、アオイもアオイで仕事がある。いつ会えるとも分からない状況で、山頂に張り付くなんて、現実的ではない」


 ノーリが言う。


「それじゃあ、冒険者が交代で滞在するのはどうッスか?2~3日なら何とか、耐えられるッス」


 結局、ノーリの案が採用されることになった。



 それから2週間、フェルスは山頂に戻り、代わりに冒険者が交代でフェルスに張り付く。

 私はというと、偶にルージュに乗って、冒険者の食料や必要資材なんかを搬送している。まあ、フェルスの様子見を兼ねているけどね。


 山頂に必要物資を持って行ったときにフェルスが言った。


「仕事って楽しいね。ゆっくり寝るだけで、美味しいものを食べさせてもらえるなんてね」


 かなり勘違いしている。


「ルージュ、これって教育に悪いんじゃないの?」

「仕方がない。仕事は仕事じゃからな」


 まあ、本人たちがそれでいいなら、いいのだろう。

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