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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第五章 大陸統一

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70 異端審問

 クルミやラファエルの頑張りも虚しく、私の異端審問は決定したようだ。

 今日めでたく、その書状が届いた。数日後には、使者が来て、レイア教会の総本山に連れて行かれるようだ。


 ミウとダクラはというと、「そんなものは無視しろ」と言ってくれるのだが、ルージュはあまり分かっていないようだった。


「また旨い物が食べれるのじゃな?」

「でも、今回はどうか分からないよ」

「どうしてじゃ?」

「私たちで、食べる物を決められないかもしれないしね」

「それは困ったのう・・・何か良い案はないかのう・・・」


 ルージュだけは旅行気分なのだ。


「そうじゃ!!こちらから、料理人を連れて行けばいいのじゃ!!そして、現地でわらわが食材となる獲物を狩る。となると、あのコボルトの小僧も連れて行こう。キノコも旨いからのう。こうしてはおれん、早速、人員を集めて来る」


 ルージュは子犬サイズのまま、飛んで行ってしまった。


「まあ、アオイなら何とかなると思うけど、ルージュは全く緊張感がないニャ」

「それはそうと、ルージュが声を掛けたら、同行者が増えすぎないか?私はそれが心配だ」


 ダクラの予想は当たることになる。

 私を連行する使者が驚くほどの規模になった。まず冒険者集団だ。これは希望者が多すぎたので、模擬戦を行ったそうだ。それでもかなりの精鋭が随行する。カリエスを筆頭に戦士隊、エルフ隊、魔導士隊、斥候隊が名を連ね、ルージュの強い推薦により、ノーリたちサポーターズの随行も決まった。

 また、記者クラブは当然の参加で、今回はアンさんが無理やり参加することになった。そして、ラファエルを筆頭にする宗教関係者も多く同行することになった。


 使者の一人が言う。


「こ、これは一体!?」

「お気になさらずに。勝手について来るだけですから」


 今回、私は使者と行動を共にする。

 なので、馬車は別だ。いつもの馬車と違って、非常に乗り心地が悪い。私は堪えかねて、使者に言った。


「あっちの馬車に移動しませんか?乗り心地が全然違いますよ」

「そ、それは・・・とりあえず、確認する」


 確認の結果、あまりの乗り心地の良さに使者は、馬車を変更することを許可してくれた。

 また、食事も一流料理人が新鮮な素材を使って、最高の料理を作るので、使者のほうから「我々にも提供してほしい」という始末だった。

 なので、快適な旅が楽しめた。ルージュも満足そうだ。


「大勢で、ワイワイしながら食事を楽しむのも、いいものじゃな。できれば温泉に浸かりたいのじゃ」


 それは私も思った。


「だったら、こんなのはどう?」


 私が提案したのは、ミウが土魔法で湯船を作り、そこに水魔法で水を入れる。それをルージュがファイヤーブレスでお湯にするといったものだ。


「いい案だニャ。早速やってみるニャ」

「男湯と女湯を分けないといけないな」

「よし、早速やるのじゃ」


 即席だが、かなり立派なお風呂ができた。

 使者が言う。


「我々も入ってよろしいので?」

「どうぞ、交替で入ってください」


 楽しい旅を続けていたのだが、予想外のことも起きた。

 どんどんと同行者が膨れ上がってしまった。物見遊山の旅行者や、どう見てもどこかの貴族や王族が追従するようになった。

 様子を見て来たミウとダクラが言う。


「多くは商人だニャ。商売になると思ってついて来ているニャ」

「貴族たちは、物珍しさでついて来ている。異端審問を見物しようと思っているようだ」


 みんな呑気なもんだ。



 レイア山まで残りわずかのところで、神妙な顔をした使者がやって来た。


「貴方は、すぐにここから逃げたほうがいい」

「どういうことですか?」

「実は、異端審問なんて、審問とは名ばかりの処刑なのだ。貴方のような素晴らしい人が、死ぬことはない。今なら間に合う。すぐに逃げるんだ」

「そうすると、貴方たちが罰を受けるんじゃないんですか?」

「それはそうだが、我々は貴方を死なせたくないんだ」


 ここまで、使者たちと接してみて、結構、真面目でいい人たちだと思っていた。

 彼らは、私を極悪人だと聞かされて来たのだが、どうも違うと気付いたようだった。なので、良心の呵責に苛まれて、そんな行動に出たようだ。


「お気持ちは有難いのですが、私は逃げませんよ。それに神の加護がありますから、きっと大丈夫ですよ」


「なんと尊い・・・貴方こそ、真の聖女だ」


 ちょっと勘違いされているみたいだけど、説明すると長くなるので、適当に「神の加護」といつも通り言った。


 そしてとうとう、レイア山に到着した。

 使者と門番とが押し問答をしている。内容を聞く限り、同行者を入れる、入れないでもめているようだった。


「彼らは信者だ。異端審問を見届ける権利がある」

「しかし、この人数は・・・」

「そこを何とか頼む」


 使者さんの気持ちは分かるけど、多分無理だろうな。

 こんな集団を全員入れるわけにはいかないだろうし・・・


 そんなことを思っていたら、門番に大声を上げる者がいた。


「我はスメール王国第三王子のスリノフである。あれだけ寄進してやったのに、我を通さんというのか!?」

「そ、それは滅相もない。どうぞお通りください」


 あの門番は駄目だ。絶対突っぱねないといけないのに・・・

 せめて、上司に確認するとかしないとね。


 案の定、「俺は貴族だ」とか「我が商会を敵に回すのか?」とかいう輩が次々に通っていく。最後のほうは、「うるさい、ぶち殺すぞ!!」と怒鳴るだけの者も通してしまった。こうなるともう駄目だ。全員が素通りしていく。


 涙目になっている門番が可哀想になり、声を掛けた。


「失敗は誰にでもあります。気にせずに頑張ってください」


 色々なトラブルがあったけど、無事にレイア山に到着した。いよいよ異端審問が始まる。

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