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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第四章 鋼鉄の聖女教団

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66 布教活動

投稿の順番を飛ばしてしまいました。入れ替えてます。

 私たちが案内されたのは、大聖堂だった。シュルト山の大聖堂程ではないけど、かなり大きい。

 中に入ると、私たちの像が祀られていた。

 領主のクロフォード伯爵が言う。


「びっくりしたであろう?」

「そ、そうですね。これは一体、どういうことでしょうか?」

「それを説明するのは、我ではないのだ」


 どういうことだろうか?


 しばらくして、如何にもオーラがある初老の男性が現れた。

 クロフォード伯爵が頭を下げる。領主のクロフォード伯爵よりも偉い人なのか?


「初めましてだな、聖女殿。我はマダマシーズ王国国王、アルフォンソである」


 お、王様!!


「は、初めまして!!アオイです。えっと・・・本日はお日柄もよく・・・」


「そう緊張せずともよい。我は貴殿に礼を言いに来たのだ。ジョアンよ、お前からも直接、聖女殿に礼を言うのだ」


 そう言われて、私の前にやって来たのは、金髪青目の10歳くらいの少年だった。


「マダマシーズ王国第三王子のジョアンです。僕の目を治してくれて、ありがとうございました」


 あれ?

 私が治療した覚えはないし、そもそも私は聖女設定だが、回復魔法は使えない。


 私が困惑しているとクロフォード伯爵が説明してくれる。


「こちらのジョアン王子殿下は、「鋼鉄の聖女団」のエリクサーで、再び光が与えられたのだ」

「えっ・・・でも私は何もしてませんが・・・多分、エルフたちが・・・」

「そのエルフたちと友好関係を築いたのは、聖女殿の功績だ。誇ってもいい」


 そう言われてもなあ・・・

 でも、私たちの活動が巡り巡って、少年を救ったのであれば、それはそれで嬉しいとは思う。


 国王が言う。


「ジョアンの件だけではない。ザマーズ王国の工作活動からも我らを救ってくれた。国民を代表して、礼を言う。そこで我らは、どうすれば聖女殿の恩に報いることができるかを考えたのだ。その答えがこれだ。我らマダマシーズ王国王家は、レイア教会を脱退し、「鋼鉄の聖女教団」に改宗する」


 あれ?

 ちょっと話が見えないんだけど・・・


 そんな中、子犬サイズのルージュが言う。


「そんな話はもういいのじゃ。まずはわらわに料理を持ってくるのじゃ。難しい話はそれからじゃ」


 国王が言う。


「ドラゴン殿の言う通りであるな。よし、早速準備をさせよう」


 私は、クロフォード伯爵に謝罪した。


「ウチのドラゴンがすみません」

「気にすることはない。それくらいは想定内だ」


 クロフォード伯爵が言うには、古い文献によるとドラゴンはかなり横柄で、我儘だという。ちょっと気に入らないことがあっただけで、町一つを潰したドラゴンもいるそうだ。それに比べたら、ルージュはマシなほうらしい。


 早速、宴が始まった。何とバーベキューだった。

 国王が言う。


「我も若い頃は冒険者をしていたことがあってな。久しぶりにこのような食事も楽しいものだ。気にせず、楽しんでくれ」

「あ、ありがとうございます」


 ルージュは言わずもがな、ミウやダクラも王様を接待しようという気はないらしく、好き勝手に飲み食いしていた。



 ★★★


 しばらくして、ミウたちが好きに楽しんでいるところで、私は国王に別室に案内された。

 そこには、ジャンヌさんとカリエス、チャールズが待機していた。クロフォード伯爵が仕切る。


「聖女殿には悪いが、少し真面目な話をせねばならん」


 まあ、そうなるとは思ったけどね。


 クロフォード伯爵が言うには、今後の世界情勢についてだった。


「今の状況で、正式にザマーズ王国に抗議することはできない。国力が落ちているといっても、まだまだ、我々だけで対抗することは避けたいのだ・・・」


 この大陸には、魔族領を除くと大きな勢力として、最大領土を誇るライダース帝国、続いてザマーズ王国、その他の国々に分けられる。最近は小国家群連合なるものが発足し、勢力図が少し変化しているようだ。

 国王が言う。


「恥かしながら、我らマダマシーズ王国だけでは、ザマーズ王国に対抗できないのだ。もちろん、総力戦となれば、どっちに転ぶかは分からん。しかし、お互いに疲弊した状態では、他の勢力に付け込まれてしまう。よって、我らはある決断を下した」


 国王が一旦、言葉を切った。


「我らは、小国家群連合に加盟することにしたのだ」


 小国家群連合?

 そういえば、シュルト山にそんな施設があったような気が・・・


「小国家群連合への加盟条件は、「鋼鉄の聖女教団」に改宗すること、そして加盟国の過半数の承認と、特別顧問の推薦が必要だ。できれば、聖女殿の推薦がもらいたい」


 特別顧問?誰だ?

 話の流れから、多分、私なんだろうけど・・・


 あっ!!思い出した!!

 そういえば、サインした書類の中に小国家群連合の特別顧問への就任という書類があった。説明では、ただの名誉職とのことだったけど・・・


 私が困惑していると、ザマーズ王国の元宰相であるチャールズが、発言する。


「聖女殿、少し補足を。小国家群連合に加盟している国には、亜人や獣人を中心とした国家もあります。現在のレイア教会の宗派の中には、露骨に亜人や獣人を排斥する宗派も存在します。亜人や獣人たちが出した条件が、自分たちを差別しないことだったのです。その担保として、亜人や獣人を差別しない「鋼鉄の聖女教団」への改宗を求めてきました」


 知らない内に凄いことになっている。

 ただの冒険者パーティーだった「鋼鉄の聖女団」が教団にまで、なってしまっている。ただ、ここで「加盟させません」とか言うと、角が立つだろうし・・・


「チャールズさん、私はどうすればいいんでしょうか?」

「私としては、マダマシーズ王国の加盟には賛成です」

「分かりました。認めましょう。細かい手続きなんかは、お任せしてもよろしいですか?」

「もちろんですよ」


 そこで、会議は一区切りとなった。

 チャールズとマダマシーズ王国の文官を残し、私たちは再び宴に戻った。

 国王が言う。


「正しい教えだけでは、世の中は変えられない。聖女殿の教えを実現させるには力も必要なのだ」


 聖女殿の教えって・・・あれか!!

 私が適当に言ってきた薄っぺらい、それっぽい話のことか・・・

 本当に大変な事態に陥っている。


 そんな私の気持ちを無視して、空気の読めない記者たちが質問をしてくる。


「今回の布教活動は、大成功と言っていいでしょうか?」


 布教活動?

 そんなつもりは全くなかったんだけどね・・・

 でも、何か言わなくてはいけないと思い、癖でまた、それっぽいことを言ってしまう。


「目の前で困っている人がいれば救う。ただ、それだけです」



 マダマシーズ王国が小国家群連合に加盟したことによって、また多くの厄介事が舞い込むことになるのだが、この時は、夢にも思わなかった。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

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