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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第四章 鋼鉄の聖女教団

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65 ギルマスのお仕事

 私は今、ブレダムにある冒険者ギルド総本部に来ている。

 理由は、年一回開催されるギルマスを集めた会議に出席するためだ。代理を頼んでもよかったが、ギルマスになって初めての会議だし、それに別の目的もあるからね。


 ミウとダクラと共にケアルさんの案内で、会議室の席に着く。

 隣の席にはなんと・・・


「久しぶりだな、アオイ。元気そうで何よりだ。活躍は聞いているぞ。これでも「月刊冒険者パーティー」の愛読者だからな」

「お久しぶりですね、ジャンヌさん。この後、お時間があれば話をしたいことがありまして・・・」

「もちろんだ。ここでは話せないことか?」

「そうなんですよ」


 私の目的というのが、カナリマの冒険者ギルドのギルマスだったジャンヌさんに会うことだった。

 ジャンヌさんや領主様は、何も言わないだろうけど、建前は「凶悪な魔物の発生原因を調べる」という依頼を受けているからね。


 会議自体は、退屈なものだった。ケアルさんが言うには、この後の交流会がメインイベントのようだった。

 私はダンジョン攻略成績優秀ギルドということで、表彰を受けたのだけど、私がやったことではないし、少し困惑してしまう。


 会議が終わり、交流会は辞退した。

 そして、ジャンヌさんを連れて、元々北ギルドのあった場所に向かった。今は支部として、簡単な依頼のみを受けているという。

 ケアルさんが、個室を用意してくれたので、そこで事情を説明した。


「なんだと!?ザマーズ王国が裏で手を引いていたということか!?」

「そうなんです。私もびっくりでした。ザマーズ王国の元宰相と元騎士団長の証言も得られていますし、公の場で証言してもいいとも言っていました」

「それは助かるな。すぐにでも兄上に知らせたい。できるなら、一度カナリマに来てほしい。もちろん、依頼として処理してもらって構わない。報酬も出す」

「報酬は必要ありませんよ。カナリマを経ったときにいただきましたからね」


 私たちは、ジャンヌさんを連れて一度、シュルト山に戻った。移動はルージュだ。


「ドラゴンに乗るだと!?まあ・・・アオイなら仕方がないか・・・」



 ★★★


 私たちは今、カナリマに向かっている。

 メンバーはいつものミウとダクラに加えて、ジャンヌさんとチャールズとカリエスも同行する。カナリマに着いたら、まずは領主様の前でカリエスたちが証言するらしい。


 移動中は、仕切りにルージュが聞いてくる。


「本当に旨い物が食べられるんじゃろうな?」

「前も言ったじゃない。魚は美味しいし、ハチミツを使ったお菓子も絶品だって」

「うむ。温泉に浸かり、ちやほやされ、旨い物を食べられる生活を捨てて、旅に同行するのじゃから、それなりの物を食わしてもらわんことには、割に合わん」


 ルージュは、シュルト山の生活を気に入ってしまっている。

 最近では、「もう竜王にならなくてもよい」とか言っているしね。



 カナリマには、2日で到着した。

 無理すれば1日で行けたが、ルージュが「お腹が空いた」と言い出したので、急遽、美味しい肉料理が食べられる町に舞い降りた。そして、ジャンヌさんの伝手で、その町一番のレストランで食事することになった。ルージュも大満足だった。


「最初からこんな物が食べられるとは・・・これからは、必ずアオイたちの旅には同行することにしよう」


 移動手段を確保できたことは嬉しいけど、行く先々で美味しい物を食べさせなければならないのは、ちょっとどうかと思う。今回の旅費はジャンヌさん持ちだからいいけど、そうじゃないと、経費がねえ・・・



 カナリマが見えてくるとミウとダクラのテンションも上がる。


「久しぶりだなニャ。懐かしいニャ」

「そうだな。久しぶりに魚を食べたいな」


「なんじゃと!!それではスピードを上げるぞ。早く魚を食わなくてはならん」


 ルージュがスピードを上げそうになるのを必死で止めた。


 そんなことをしている内にカナリマに到着した。

 ジャンヌさんが事前に連絡してくれていたので、巨大なルージュを見ても、大騒ぎにはならなかったのだが、大勢の人から歓迎を受けた。

 その中には、見知った顔も・・・


「ワーフさん、それにファーラさんまで・・・」

「アンタらが帰って来ると聞いて、出迎えに来たんだ。今日にでも新鮮な魚を食わしてやるよ」

「お久しぶりです、聖女様。こっちはハチミツケーキを持ってきましたよ」


 ジャンヌさんが言う。


「兄上への報告は、カリエス殿とチャールズ殿と向かう。アオイたちは、ゆっくり町の観光でもしてくるといい。町のみんなもアオイたちに早く会いたいだろうしな」


「ありがとうございます」


 ルージュが子犬サイズになって、私の肩に乗って来る。


「おい、まずは魚を食べるぞ。そこの漁師、早く案内しろ」

「おう。ドラゴンさんも気に入ると思うぜ」


 最近、食事の時ルージュは子犬サイズになる。

 本人が言うには、料理を楽しむためらしい。大きいままだと、一瞬で食べてしまうからね。


 まずは、ワーフさんの案内で、漁場に向かう。

 獲れ立ての魚をその場で料理してくれるみたいだ。ルージュはというと、待ちきれずハチミツケーキを3個も食べていた。


 そんな中、怪しい集団が私たちについて来ているのに気付いた。

 よく見ると見覚えがある。


「お久しぶりです、聖女様。実はカナリマが第二の聖地ということで、私たちは3ヶ月程前からこちらで取材をしていたのです。是非、密着取材をさせていただきます」


 折角、「鋼鉄の聖女団記者クラブ」のメンバーを同行させなかったのに、苦労が水の泡だった。



 ★★★


 密着取材は別にして、非常に楽しかった。

 出された料理も美味しく、久しぶりの町の人との再会にミウもダクラも大喜びだった。最後のほうは、仕事を終えたギルド職員や領兵が合流して、町を上げてのお祭り騒ぎになってしまったけどね。


 私たちはというと、キリがいいところで、前に住んでいたパーティーハウスに案内された。

 私たちが出て行った後も、管理はしてくれているようで、快適に過ごすことができた。ルージュも満足そうだった。


「温泉はないが、それくらいは我慢してやろう。明日の料理も楽しみしておるぞ」

「分かったわよ。明日は、領主様と会食の予定だから、期待していいと思うわ」

「うむ。今日の魚は旨かったな。町の者の話だと、放牧も盛んだと聞く。期待しておるぞ」


 そんな話をしながら、眠りに落ちた私たちは、朝を迎えた。

 旅の疲れもあり、少しゆっくりとしていたのだが、パーティーハウスに尋ねて来た者がいた。


「久しぶりだな。少し、見せたい物があってな」

「領主様?失礼しました!!」

「気にせずともよい。これはサプライズだからな」


 サプライズ?


 意味の分からない私たちは、領主様に連れられて、パーティーハウスを出た。

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