表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第四章 鋼鉄の聖女教団

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/103

64 思わぬ再会

 執務室に入って来たのは、ザマーズ王国の宰相さんだった。


「お久しぶりです、アオイ殿。立派になられて・・・本当によかった」

「あのう・・・宰相さんは、なぜこちらに?」

「宰相はもうやめてください。クビになりましたからね。今はただのチャールズですよ」


 前に宰相さんと騎士団長のカリエスが退職したと聞いていたけど、クビだったのか・・・


「えっ!?クビですか?そんなことをして、あの国は大丈夫なんですか?」

「大丈夫ではないでしょうね・・・」

「その辺の事情をお伺いしても?」

「分かりました。その前にアオイ殿に会わせたい者がいるのです。その者と一緒に話しましょう」


 私はチャールズに連れられて、訓練場に案内された。


「訓練所の所長に就任してます。もうすぐ訓練が終りますから、少し待ちましょう」


 その間に訓練を見学する。何か凄いことになっている。


「凄いニャ!!もう軍隊並みニャ」

「よく個性の強い者たちをまとめ上げたものだな・・・」


 あの仲が悪かった東ギルドの戦士たちと西ギルドの魔道士たち、それに南ギルドのメンバーが、一糸乱れぬ連携攻撃をしている。

 それよりも驚いたのは、指揮を取っていた人物だ。


「もしかして、カリエスさん?」

「そうです」


 理由は分からないが、ザマーズ王国の元宰相と元騎士団長が、「鋼鉄の聖女団」に加入したようだ。


「訓練も終わりましたので、カリエスと二人でこれまでのことを話しましょう」



 ★★★


 宰相とカリエスから、これまでの事情を聞く。


「久しぶりだな、アオイ殿。元気でやっているようで、安心した」

「お久しぶりですね。それはそうと、なぜこんなことに?」

「それはだな・・・」


 カリエスが話した内容は衝撃的なものだった。

 私が無実の罪で追放されたことは、もちろんだが、勇者召喚の裏事情も教えてくれた。


「魔族を討ち倒すという名目で、禁忌と言われる勇者召喚を行ったのだが、それが全て噓だったんだ。実際、魔族の仕業と思われていた事件はすべて、ザマーズ王国の暗部が密かに行っていたのだ。これはチャールズ殿のほうから話してもらう」


 話を引き継いだチャールズが言う。


「少し本題と逸れるのですが、ザマーズ王国は深刻な財政危機に陥っていました。国王陛下や王族の散財が主な原因です。それで、起死回生の策として勇者召喚を行ったのです。実際、魔族とは敵対関係にないのですが、人々に魔族に対する恐怖心を煽り、召喚した勇者を利用して、各国から支援金を集めようと画策していたのです」


 あまりのことに、私は怒鳴ってしまった。


「そんな身勝手な理由で、私たちは召喚されたのですか!?」


「申し訳ありません・・・返す言葉もありません」


 カリエスが言う。


「アオイ殿が怒るのも無理はない。しかし、最後まで話を聞いてほしい」


「取り乱して、すみません。では続きをどうぞ」


「うむ。魔族の不安を煽る作戦についてだが、危険な魔物をテイムし、周辺国に配置するという非人道的なものだった。主に狙われたのが、隣国のマダマシーズ王国だ。当初の予定では、魔物被害で、どうにもならないマダマシーズ王国に勇者たちを派遣して、魔物を討伐し、マダマシーズ王国の信頼を勝ち取る。併せて各国に魔族がやったかのように吹聴して、支援金を集める・・・」


「それって、まさか・・・」


「そうだ。アオイ殿が討伐したグラスウルフも、キラーピラルクも、キラービーもすべて、ザマーズ王国の工作だ」


 眩暈めまいがしてきた。


「このことを知ったとき、我はもうザマーズ王国に愛想が尽きた。アオイ殿を捜索するという名目で、騎士団長を辞した。そして、アオイ殿の捜索をしながら、ザマーズ王国の悪行を世界各国に知らしめるため、活動していたのだ。そのとき、アオイ殿の活躍を聞き、こちらにやって来たというわけだ」


 チャールズも続く。


「そのような状況で、当初の計画が頓挫したので、更に財政状況が悪化しました。なので、クルミ殿以外の若い勇者3名は、何も知らされぬまま、魔族領に旅立ちました。国王陛下は『戦果を上げれば、自然と支援金は集まる』と言って、私の話は聞いてくれませんでした。そして、最終的には辞任という形でクビになりました」


 召喚された当時のことを思い出しても、この二人が国を離れた時点で、ザマーズ王国は終わりだろう。


「事情は分かりました。それでなぜ、私はザマーズ王国から手配をされているのですか?」

「それについては、心配しなくていい。依頼を出したのは我だ。騎士団長時代に独断で行ったことだ。手続きをして、すでに依頼は取り下げている」

「それを聞いて安心しました」


 それからは細かい話になった。

「聖女」のクルミがレイア教会に移籍した経緯も聞いた。


「元々、他の三人と折り合いが悪く、ザマーズ王国に不信感を抱いていましたからね。教会も教会で問題はありますが、それでもザマーズ王国よりはマシだと思い、移籍を勧めました」


 クルミは、他の三人とは違い、ザマーズ王国の闇に気付いたということだった。

 教会がどんな組織かは分からないけど、無事ならそれでいい。


「それで私は、今後どうすればいいのでしょうか?」


「これは私もカリエスも同意見なのですが、アオイ殿はもっと力をつけるべきだと考えます。なぜならザマーズ王国は、アオイ殿を連れ戻そうとするからです。如何に勇者たちが強いとはいえ、魔族を簡単に倒せるとは思えません。そうなると、次の旗頭が必要となります。それがアオイ殿です」


「絶対にそんなのは、嫌です」


「だから我らがここにやって来たのだ。我が可能な限り、戦力を高め、チャールズ殿が組織面の強化を行う。アオイ殿をギルマスにしたのも、宗教法人の申請を出したのも、それが理由だ」


 二人なりに私のことを思って行動してくれたことは、よく分かった。


 けど・・・絶対にやりすぎだよね?


 私もそれなりに色々な国を見て来たけど、戦力だけでいうと、中堅国くらいはあると思う。

 それが元で、また厄介ごとに巻き込まれなければいいけど・・・

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ